13 執事は居ないが、通常運転。(後編)
読者の皆様どうもこんばんわ。そしてミスのご指摘有難うございます。早速直します……頑張って見返していても気付かない事も多い為、非常に助かります。
さて前回に引き続き日常編。従魔達のお披露目と、彼女のNAISEI面における奮闘を御覧あれ!!それでは本編をどぞ。
昼食が終わった後はどうしても疲れているので、一旦休憩を入れている。その間、庭に居る私の契約した動物達と戯れている事が多い。
普段、公爵家の庭に居る私の眷属達はそれぞれ自分本来の姿になって皆思い思いに過ごしている。
大体が大型魔獣で相当強いものだ。それが10匹現在居る。そして、実体の無い精霊等もいるので……結構な大所帯だな。
普段は前世の記憶を頼りにポケットに入るサイズにまで縮小できる魔術を開発したので移動の際はそうしてもらっている。
ここではその必要も無い…窮屈にさせるのは何となく忍びないのだ。
そして、何よりあの巨体をモフりたい(←こっちが本命)
そう、10匹中5匹は皆毛皮の手触りが最高な獣なのだ。いい機会なので、モフモフ連中をまず紹介しよう。
まず1匹は黒星狼。名前はウォーゼ・カムイ。アイヌ民族が狼を山の神として祀っている事を元にした。
全身黒いが額に星の様な白い痕が有るのが特徴。私の従魔の中ではジャンクリを除けば序列1位の強さを誇る。元群長とは思えない程普段は甘えん坊で可愛い奴。
群は病気でほぼ全滅し、何とか生き延びたコイツも弱っていた。偶然修行中に見つけたので仲間諸共直してやったら滅さ懐かれた為に拾った。ちなみに配下は彼に隷属しているので直接私の従魔と言う訳ではない。推定SSランク。
2匹目巨大黒豹。名前はナハト・ブラックにした。闇夜を思わせる様な体色と、得意としている魔術から取った。
新入り。森で親に見捨てられて弱っている所を捕獲したのでまだまだ幼いが、それでも序列は脅威の2位。少し人見知りだが、慣れると甘え倒して来る可愛い奴。推定Sランク。
3匹目は雪山に居た白毛魔兎。何となくリヒター・スノウと命名した。
大柄で、少しきつめの目元がチャーミングな癒し担当。序列は3位だが、雪山に行けば逆転する。一見するとクールだが、滅茶苦茶気遣い。元は群の参謀をしていた様だ。雪山で別の群との闘争で負けて瀕死の所を拾ったのが出会い。推定Aランク。
4匹目は巨大樹の洞に居た銀狐。ゴン・アージェンタムと命名。勿論あの『権狐』の名前から取りました。
幻惑するのが得意だけど、1番の魅力はやっぱりその銀色の毛。序列は4位。戦闘狂で愉快犯な部分が有るので多分1番の問題児。だが、かつて仲間にリンチされた上で捨てられた事が有り、特に秋口の夕方になると寂し気に甘えて来る、つか、悪夢でうなされる為、一緒に寝ている。推定Aランク。
5匹目は洞窟で暮らしていた熊。シグ・ルナティウスと命名。某兄弟錬金術師の師匠の夫を彷彿とさせる風貌だったのでそこから拝借。
月輪熊を彷彿とさせる三日月模様が有り、特に夜出歩くとその部分だけ闇に浮かぶ様に見える。普段はツンとしている事が多いけど、2人きりになるとデレデレに…。戦闘は肉弾戦が多いので絡め手は苦手らしい。推定Aランク。
以上が私のモフモフ仲間。
さて、次に紹介するのは後の5匹。感触は流石に前者の5匹には負けるけど、それ以上に思い入れの有る面子だったりする。全員名字が私の前世と同じ『ホンゴウ』で有る事が何よりの証拠。
理由はまあ、ウォルターとマンツーマンで修業合宿する前から一緒に頑張って来た初期メンバーだからって事が大きいのかな?兎も角、彼らも最初は滅茶苦茶弱かったけど頑張った、私と共に。
その結果、全員が全員危険度SSSランクの魔獣となった。
では紹介しますかね。
まず1匹目は無色スライムで、名前はポワンセ。始めてあった時に敵前なのに気付かずおっとり跳ねていたので、そう名付けた。ちなみに性別は雄で、変異種であるが故に群から排除されてしまった過去が有る。
特徴は魔術なら私直伝なので大体使える事。そして物理攻撃が一切利かない事。触ると滅茶プルンプルンしていて気持ちいい。特に夏は冷えているので最高。但し敵に対しては特殊な粘液を出して溶かすので、表面に直接触れるだけでアウト。
最近薬品作り、特に回復系統の薬作成に目覚めたので素材と本を差し入れたりしている。どうやって読んでいるのかは未だに謎。
2匹目はスケルトンロードで、名前はウィル。スコットランド民謡に出て来る鬼火伝説を元にした。
何故か初めから眼鏡を掛けていた小柄なスケルトンだが、戦闘では自分の何倍も有る大斧を軽く振るって相手を斬り潰す。墓地で集団リンチに有っていた所を拾って成長させた結果最強になった。
配下は持たず、孤高の王(只のボッチとも言う)として君臨している…同族は嫌いだそうだ。最近は読書がマイブームらしく、時折人化させて我が家の書庫にこっそり通している。
3匹目は夜鴉の丹波。コイツだけ何となく和名にした。元は普通の鴉で、縄張り争いに負けて彷徨っていた。そして餓死寸前だったので拾って育てた。
『関東鴉連合』(私命名)の総長。この辺の鴉は全員配下。蒼みがかった闇色の羽はどんなに煌びやかな鳥でも到底敵わない程美しく、その知性の宿った夕日色の目は日本刀の様に研ぎ澄まされた、今にも切られそうな雰囲気を持つ。
そんなクールな印象の奴だが、実際は義理人情に熱く涙もろい。そして滅茶苦茶過保護で心配性。…私が拾った当初、過保護過ぎたのが悪かったのだろう……。良く私の周囲に自分の部下を派遣する。
4匹目は巨大蜘蛛のクロード。何の捻りも無くてすいませんね…
コイツの場合は私が直接卵を孵化させて契約した。何か森を歩いている時に頭上から鳥が落としたのを偶然拾ったんだよね……運のいい奴だ。
特殊な糸を吐いてくれるので、私の戦闘服は大概クロードの糸を染めて使っている。戦闘は糸を使って相手の神経伝導を乗っ取ったりする事が多い……まんま蜘蛛女見たいな感じ?でも一応性別は雄らしい。
5匹目は、小鬼エンペラーのヘルメス。名前は彼の俊敏さと性格があの悪戯好きの神に似ていたので取った。
コイツに関しては少しだけ解説が長くなる。
まずはゴブリン、つまり小鬼族について説明する。小鬼族は末端であれば末端である程醜く矮小で、力も無ければ知能も低い連中だ。そして本能にとても忠実である。
そしてヘルメスだが、奴だけは何か違った。それも最初に見たときから………あれは領内視察で回っていた時の事だった。
村を襲っている小鬼の集団を見つけ、我々は慌てて村人救出に向かったのだが……その集団の中で珍妙な小鬼を見つけて私は一瞬固まってしまった。
その1匹は見た目難の変哲も無い何処にでも居る小鬼だった………だが奴は…何とさぼっていたのだった……それも村を襲っている連中に呆れた目線を向け、遣る気無さを隠す事も無く。
「コイツマジでゴブリンか?新種の珍獣か何かと違うか?」
等と疑ったが、もう一度言おう。見た目は何処にでもいる小鬼だったのだ。
更に私が護衛と共に村を救うべく動き出した時、真っ先に自分だけ地面に寝転がって死んだ振りしてやり過ごそうとしたのだった。
当然私がこんな面白い奴を野放しにするはずも無く、戦闘直後契約した。そして、知能が異常な程高く理性的な小鬼だと判明したのだった。
鍛えた所、エンペラークラスになった。まだ鬼種族としての最終進化形態に至って居ないので将来どの道に行くのか楽しみで有る。
以上が私の5強である。
さてと。モフモフ等のふれあいを堪能した後は、書斎で勉強だ。私は現在古代文字で書かれた魔術に関する論文と、冒険者として必須の地理学と薬草学、そして魔獣学に勤しんでいる。
隣ではポワンセが人型(白髪の気怠げな青年)で錬金術について学んでおり、後ろではヘルメスが人型(緑髪の喰えない感じの青年)で経済学を何故か学んでいる。
ちなみに窓には鴉が二羽とまっている。
………ちなみにジャンクリは、外でウィルを扱いています。あんまりやり過ぎるなとは言っておいたけど……まあいいや。
そして日が陰って来た頃、目が悪くなると行けないので勉強は終わりにして、外で魔力操作の訓練をひたすらやる。
そして夕飯前、厨房へ行って料理人と混じって調理をする。将来冒険者になった時、自炊しないといけないので責めて腕が訛らない様にしている。
……前世では戦場の脇でもよく自炊していたので割と余裕だと油断していたら、ウォルターとの修業合宿中何故か手際が悪くなっていたので結構ショックだったのだ。
公爵家の令嬢が恐れ多いとか最初はほざいていた料理人達だったが、私が前世の料理を何点か披露したら掌返して来た……現金な奴等だな…。まあいいんだけどね。
故に、我が家の食卓はいつも美味しいです。そして大豆が有ったので、当然味噌・醤油は作りましたとも。ええ。
造り方を詳しく知っていた理由だけど、かつて海外で親元は慣れて暮らしていた時に日本食が恋しくなって……当時の私は何を血迷ったのか、頑張って自力で作ろうとしたのだよ。
結果何度も失敗したね……………だけどその分色々収穫も有ったけど。そのへんは長くなるから割愛するけど。
そして有る時何とか完成に漕ぎ着いたのだった。滅茶苦茶感動したのを覚えている。……後で輸入して来てもらえば良かったと思いついた時の落ち込んだ事も、今ではいい記憶だと思う。
まあそんな分けで、かつて作った事が有るから出来るんですよ。
ちなみに最初は他の料理人達には敬遠されていたけど、実際に味噌使って肉焼いて振る舞ったら号泣しながら全部喰いやがったよな………
それから直ぐに、勝手に使おうとして来た奴が出た。だから許可無しに触れた奴は感電してアフロになる魔術式を罠として掛けておいて、下手人へ『1週間ファンキーな頭の刑』を執行してやった。
ちなみに犯人は何と料理長と副料理長、そして意外な事にカールだった……あの時の3人は気不味そうな顔とアフロ頭は私の脳内にしっかり保存されております。
その事を知ったウォルターは堂々と醤油味の焼きおにぎりをカールの前で食べながら何か笑っていたな……
ちなみにパパ上は胡麻味噌風味が1番好きらしい…甘党だからかもね。
そして製法は、私(当時4歳)がとある伝手で立ち上げた『ルナライト商会』に委託して生産させ……僅か2年で王都にまで広がったと聞いた時には顎が外れるかと思った。
それと、眷属の中でも人型に近いヘルメスに味見させたら感激して号泣した後、自分も商会で働くと行っていた……ああだから経済学か。
結局ある意味本能(食欲)に忠実なのね……
まあ気持ちは分からなくない。だってこう見えて、私も元は日本人であって食事には拘る民族の一員なのだから。
余談だが、私の従魔達には基本裏山に居る害獣等を餌として狩って貰っている。他にも遠距離に行ける連中は、従魔の証を首に下げた状態で領内の村付近に行くそうだ。
………以前同行したので全部知っている…実は村人から時々家畜の捌いた残りとか、野菜類を貰う事とかもね。
夕飯が終わると、食後の運動として軽いストレッチを30分行う。それから風呂に入って就寝時間まではひたすら魔力放出を行う。
ん?中世ヨーロッパ世界に風呂がどうやって出現したか?そんな事決まっているではないか…開発してやったのよ(ドヤッ
その元となったのはやっぱりアレだね……衛生環境を整える事の重要性に関するアレコレ。
いやね、私が大体3歳の頃領内で疫病が発生したのよ…家の屋敷でも使用人達が次々倒れてね〜…あの時は大変だった(遠い目)。
そして、症状見たら明らかに食中毒だった。
だって嘔吐と下痢、それから脱水症状と言う流れだったからね…
私と家族が掛からなかった理由は私が真っ先に症状の出た料理人を厨房から追い出して、こっそり自分達の食べる分を調理したかです。
兎に角スープ類にした上で、煮沸時間をなるべく長く取ったね…夏期なのに煮込み料理が続いたので暑苦しいと不満が出たけど、そんなもの無視しておいた。
……文句が有るなら自分で作って腹下せばいいんだ!
そして私は父上に『書庫で見かけました☆』という魔法の言葉を使って如何に衛生環境を整える事が重要か説いたのだった。
まあその結果疫病が収まった直後、各村や町に公衆トイレと公衆浴場を設置したんだけどね……開発者は私です。
後悔も反省も無いです(キリッ
そして今では多分王国内で1番衛生環境がいい領地なのでは無いだろうか?
同時に衛生環境向上企画の恩恵で、この領には基本的に無職の人はいません。スラムとかに屯って居た人達や乞食の人達全員を『ルナライト商会』で雇って清掃活動を派遣で行う事業を始めました。
そしてコレ重要ですが、業務内容には公衆トイレ(ボットン式)の汚物を回収して肥溜めを作る作業、それから風呂の清掃作業を入れております。
ちなみに前世に発展途上国で肥溜めの作り方を地元住民と一緒に研究した事があったので、割とあっさり作れました………あの時始めてやった時は大変だったな〜(遠い目)……。
だけど、何事も本当に経験しておく事が本当に大事だね。生まれ変わってあの経験が活きるとか、本当に人生分からない物である。
そして、十分熟成されて堆肥になったものは我が領の農民限定に売られます。主に施設の維持費と労働料金しか含まれていないのでコスパはいいし、何より収穫率が上がる事から農民の皆さんはこぞって買って行きます。
そして一部の料金を『商会』が貰うので、塵も積もれば何とやら…正直ウハウハです。
まあ結局、社員の給料と現在魔道具や薬品の開発費用に次々と消えて行くんですけどね……いいもん、先行投資何だし。
それと、商会の社員は私がトップだって知っています。つか、入社段階でスカウトしたのがそもそも私だったからね。でも表向きは別の人、スラムを牛耳っていたアルハザード・カポネ(27歳)が商会長をやっています。
スキンヘッドに入れ墨、更に筋肉モリモリなので中々の強面。一見脳筋に見える。だが、その実相当な策士で有り騙し合いはお手の物だと言えるだろう。性格は豪快かつ繊細…うん説明し難い。
そして私を全面的に信頼してくれるので、こちらも信頼出来る。だから仕事がし易い……未だに多分彼の奥さんを疫病の被害から救った事を恩に感じているのかも知れない。
別にいいって言ったんだけどね……まあいいや。
ちなみに娘と息子がいるんだけど、はっきり言おう…家の親父と同レベルの親馬鹿です。娘に彼氏が出来る度に脅しているからね……どうなるんだろう?
他にも色々商会に関しては有るんだけど、それを語るのは時間がかかるので今回はパス。
さて、魔力放出が終わり、普段だったらウォルターが就寝前にハーブティーを淹れてくれるんだったんだけど…後、私が寝るまではちゃんと居てくれていたな………
やっぱり寂しい。
そう思っていたら、突如窓が開き……今朝も見た色彩が日本人チック(黒眼黒髪)で安心するナイスガイが入って来た。
「………ほら、寝るぞ。」
「へ?」
パフン
ジャンは私を抱き上げると、そのままベッドへダイブ。そして私を抱き締めた手を全く緩めないまま……寝た。
狸寝入り……では無いな。完全に寝ている……
私?眠れるか!!
人間形態のジャンは相当整った容姿をしておられ、大体年齢は20代後半だと見た。そして私の精神年齢は一応大人ですよ!?
その上鍛え上げられた身体が密着しているんですよ……しかも上半身全裸で。
風邪引くよ〜と突っ込みを淹れる余裕が有れば如何に良かった事か。だけど、残念。私のタイプドストライクな肉体(割と有って無骨なのが好み、細マッチョは論外)されていますから無理です。
しかも吐息が耳に掛かって………フニァ〜ン!?!!
暫くして、私は緊張の余り意識を失った…だってまだ(肉体だけ)子供だもん、頭脳は大人でもね……何処かのピカピカじゃない万年1年生な名探偵じゃ無いけど。
そんな訳で、皆さんおやすみなさい。
さて、次回はまたジャンとの絡みが出て来ると思います…恋愛?かどうか知りませんが、そう言う要素が含まれると思います。
賛否両論有ると思いますが、どうぞ宜しく御願い致します。
10/25: そんな分けで → そんな訳で 訂正致しました、ご指摘有難うございます。
8/12: かの御過ぎ→過保護過ぎ 訂正致しました。有難うございます、毎度毎度申し訳御座いません。




