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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第二章 自由気ままな冒険譚⑴
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10 お願い、もうやめたげて!

 読者の皆様何とか原稿間に合いました……行を弄っていないので、後日行います。申し訳ないです。


 さて、迷宮篇の続きです。それでは本編をどぞ!



 重厚な扉を開くと、そこは洞窟になっていた。


 上下左右“ダンジョン”らしいゴツゴツした岩に囲まれており、松明が光源となって居る……酸欠起こさないか一瞬不安になった。しかし直後、そう言えば空間として最初から隔離されているから迷宮管理者が生存している以上何らかの循環機能が有るのだろうと想像した。


 しかしそれにしてもこれって最初へ逆戻りか?もし出て来る魔物のラインナップが同じだったら意気消沈するんですが…



 何て思っていた時期が私にも有りました。



 出て来る魔物の階級が一気に上がり、S〜SSS級が結構な数徘徊しているんですが……


 挙げ句、何故に巨大軍隊蟻の群を放った………あいつら郡単位だと確かギリギリSSS級へ片足突っ込んでいたよな。棍棒を4本持つ軍団に途中で遭遇した時は慌てた。正攻法で突っ込んで行ったら多勢に無勢であっさり喰い殺されるからね…ああ怖い。


 けど逃げた先に居やがったクリムゾンワーム見た時は流石に無傷で抜けるのは無理だと思ったね。何人か殺られるかもって本気で思った……まあ咄嗟の判断で元全裸が手榴弾投げ込んで何とかなったけど。


 そして私は一つ悟った……



「ゴメン、けど本音を言わせてもらうと君達は足手纏いだ。」



 紛れも無い本音です……正直言うつもりは無かった。



 けどね、言わないとやっていられないって気分にさせられた事もまた事実んだよね……精神的苦痛を道中もだけど今も受けている訳だから。主に変態と長耳によってね。


 何されたかって?聞きたい?


 フフフ…道中何度も有った事だけど、幾ら半不死身なぶっ壊れ体質持っていたとしてもあれ程行くなって言っているのに何で敵へ真っ正面から突っ込むかな…しかも挑発した上で大群引き連れて来るし。


 トレインは犯罪。駄目、絶対!


 …何度も注意したけど無駄だった。挙げ句、何故か魔物召還する魔法陣をわざと起動させるは、モンスターハウスだから入るなって言った部屋へ入った挙げ句出口壊す(魔物は溢れて来た…)。


 軍隊蟻の持っていた卵搔攫って何度追っかけられた事か…もうルーナさんのライフは0よ。



 挙げ句、その横で元全裸と軍服が独自のワールド作っている件。



 何て言うかな…バカップルと言うかリア充と言うか。取り敢えず爆発しろと何度呪詛を送った事か。つか、空気読め、空気。ここ洞窟、しかも迷宮。公園や遊園地ちゃいます。


 ねえ…危険だからお願いだから互いを見ないで前向いてよ、前。いつの間にか列から外れて慌てた事数回…途中でカウントするの止めました。


 何故かその時ばかりはポンと変態達から肩へ手を置かれた……同情するなら責めて敵へ無謀な特攻しかけないでお願いだから。



 けど私の思いは無駄になる何この理不尽。



 色々な意味で唖然とさせられた……やっぱり長耳へ近付くなって言う先人の知恵は正しかった。身を以て実証されたのだった(恐らく意味は違うんだろうけど私はそう受け取りましたが何か?)。



 けど、この階後残す所少しだな…体感的に階を行くごとに私は計算していった分かる。


 何と言うか……魔力的な“切れ目”を感じられる様になった。


 感知能力自体はそれほど高く無かったが、長耳達のお陰である程度鍛えられた気がする。感謝は一切していないけど。


 まあだけど此れが終わってもまだ1層残っている訳で、気を引き締めて行きますかね。油断して帰れなくなったらそれこそジルヴァが発狂するだろうし。



 ……何より、ここで死んでもウォルターの説教は地獄の果てまで着いて来そうだし…うん、そうなったらどんなSEKKYOU☆になるか…恐ろしくて想像できないししたくない。




◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆




 やっぱりあの程度だと悠々抜けて来るか……流石だ。



 迷宮管理者は、コントロールパネル上に指を走らせながら思う。



 あのフロアで真っ先に“ガン●ム”の胴体破壊した彼女は間違いなく『記憶』を持っていると見ていい。それはつまり、科学知識とサブカルチャーのイメージを持つ強力な敵だって事だ。


 ううん、本当は敵対者として逢いたく無かった…出来れば『同類』とは仲良く話したかった。


 恐らく自分の思想と同調してくれるだろう。少なくとも“平成”を知っているのなら、或いはその先に生きていたとしても自分達の国の歩んだ歴史を知っているならば。


 仮に外国の人だったとしても、一部の過激派思想家でも無い限りは同調するだろう。



 けど何となく想像付く……恐らく彼女も『元日本人』。



 初対面の相手の無礼を何度も許容したり、実は外交下手だったり……それ以外にも彼女自身は気付いていないだろうが結構事なかれ主義な攻略の仕方をしていると思う。


 何せ、彼女だったら容易にこんなちゃちな結界破れるだろう。


 術式も美しく無ければ君達の『古代語』と呼ぶ言語の使い方だって単純。何の捻りも無くただ余分な言葉の羅列が多いだけ。魔力も喰う割にはその機能は低く感じる。


 恐らくそれは『記憶』がプログラマーのものだったからだろう。


 だからこそ、彼女の魔術式の使い方は美しいものだと分かる……更に使って来る道具に付与された術式は洗練されている事にも。


 それ程の能力を持っているのに直接階を破壊せずこうして来るのは恐らく……



「…叱ってくれるかな。」



 別にMになった訳ではなく、ただ、懐かしく感じただけ……懐かしい相手も居ないけど。所詮は『記憶』だから。


 だけどかつてこの記憶保持者には居たんだ。



「下手クソなプログラムだな……全く、仕様がないから直してやるよ、全く。」


「またバグが出てるぞ〜、ほら!見直しちゃんとしろって言っただろうが、この馬鹿!!!」



 目を瞑り、記憶保持者の『親父』と読んでいた痩せ形猫背無精髭の揃った胡散臭い見た目の男を思い出す……ただ彼の作り出すデータは全てが美しく、芸術の域にまで達していた。


 その人を憧れ、背を追って………途中で記憶は途切れている。



 自分の記憶でなくても分かる…自分自身彼を尊敬している事に。



「だからこそ自分のプログラムを汚されたのが許せねぇ…10倍に返してやる。」



 若干死語になりつつある言葉を一つ、同時に押すは『Enter』キー。














カチッ



「さてと、後は自分の罪を清算しますかね……最悪彼女になら殺されても悔いは無いよ。」



 管理者は管理室を去る。


 未だ起動した状態の管理システムの画面には、人影が1つ2つ……多数に砕けると慌てた様に手足をばたつかせていた。



 だが、影は誰1人としてシステムへ触れられない。



 管理者権限の持つ最高の“ブロック”が掛かった上、今までと違って一切の油断の無い完璧に近いシステムの“壁”が守っていた。


 そして自動的に起動したシステムが次に言ったのはこの一言……



「番号29、58、154、394………“システム干渉法”により『観測者』の介入が認証されます。なお、現時点の罪状は“ソースの強奪”“ハッキング”であり、後日詳細は現―――星内の全迷宮管理者へ通達されます。」



 その言葉を聞くなり倒れる数名の影……後日彼らの持つ迷宮付近でスタンピードが起こった事は決して無関係では無いと言えるだろう。




◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆




 ……やっとボス部屋、ここまで長かった。



 これを抜けたら取り敢えず最後の100階分となる訳だ。ああなんだから既に目から汗が…


 っと、まだ気を緩めては駄目だ。思い出せ、どれ程この階層が鬼畜だったか……何度死にかけたか。



 それなのにまだウォルターの訓練の方が鬼畜って…



 まあその辺の話しは一旦隅へと置いておこう。それより今は目の前の問題へと向き合わねば。


 そうだ、さっさと攻略してしまおう…そして出来るだけ離れよう、この長耳達から。今も出来れば距離を置いて他人の振りをしたい所だ。



「ねぇ、この迷宮抜けたら「それ以上は言わせんからな!!」…何よ、もう。」



 フラグを立てる様な発言は控えましょうねと何度も注意してもこの有様です……しかも反省の色が一切見られないって言うね。ここまでされると正直ちょっと来るものが有る。


 と言うか、今現在自分の我慢強さに寧ろ驚いてる。



 でも本当、冗談とか洒落では無く彼女にフラグを立てられるのは困る……



 さっき何度か“死にかけた”って言ったけど、その原因が正にソレだった……道中何度かフラグっぽい発言をされて巻き込まれました。


 例えば私や変態達が軍隊蟻を始末している時、集団に対して『虫ケラ共』だの『クズ共』だのとのたまったので慌てて黙らせたんだが……気付いた時には囲まれていた。


 或いは、道中何度か『ここがお前の墓地になる』と言った発言をして下さいましてね……しかもSSS級相手に。私?泣きそうになりながら倒し切りましたとも。


 まあここからも分かる様に、彼女が立てたフラグは何故か回収されそうになると言う謎現象が起こっている。恐らくこれこそ長耳族の恐るべき能力(いや、違うから…)



 そして案の定、扉を開けたら強敵フラグが立っていた件。




「GYAOOOOOOOOO!!!!!!!!!!」




 ここまで熱気が伝わって来た……アレを前にすると、どうしても一瞬ひるんでしまう。


 何せ、相手は日本人なら誰でも良く知る“怪獣”だから…



 だけどリアルでソレを相手取るとは色々予想外だったな…ウォルターから対処法聞いておいて良かった、方法は鬼畜外道以外の何ものでもなかったが。


 誰だよ……実践してこそ身になるとかほざいた奴は。


 方法を聞いたのに何で“そのもの”の前へ放置してさあやってみようとか言うかな…と言うか、よく私も生き残ったものだ。



 気を引き締め、相手を見る……伝説の『怪獣王』の姿を。



 けど奴と違って放射能熱線も出さなければ進化もしない。或いはかつて殺された家族とかも居ないだろう…迷宮で作られたからには。


 だから“もどき”と一言付け加えるべきか。



 だが、それらが無いからと言って相手が簡単な相手であると誰が言った?攻撃の通らない厚い皮膚や身体に似合わす鋭い動きは変わらない。相手は圧倒的“強者”。



 まあだからこそ相手になる甲斐があるといったものだ…何せ私は強敵が大好きだから。


 そして、相手に勝つ事は大好きだ……特に命懸けなら尚の事ね。



「…皆下がれ、このエモノは私のだ。」



 低い声で脅す様に告げると、察した変態共が空気を読まない2人を下がらせた。彼ら自身も壁際へと行くと、どうぞどうぞと全員が手を差し出した。


 …若干某お笑い芸人のノリに似ていたせいで気が緩むも、対峙する敵の出す威圧感に緊張は直ぐ戻った。



 ああ楽しみだ……これ程心躍ったのはいつ以来?




「さあ勝負をしようか。」




 戦闘開始。



 もう直ぐ迷宮編は終わります。


 ウォルターの説教が有るルーナちゃん戦々恐々ですねwそれ以外にもっと恐ろしい相手がいるんですけどねww


 さて、次回もどうぞよろしくお願い致します。

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