9 私は悪く無い!(キリッ
読者の皆様どうもこんばんは。投稿度々遅れてしまい申し訳ないです……体調崩しました。熱出して寝込んでいたのですが薬で何とか熱だけは下げました。長引きそうです…周囲も風邪引いている人が多いので恐らく感染したかと。皆様も気をつけましょう。
その影響で行の調整を行っていませんが、後日修正致します。読みにくくて申し訳ないです。
さて、今回は迷宮の謎へと迫ります。それでは本編をどぞ!
爆破した危険物の残骸を回収しようとした所、まるで迷宮が慌てたかの如くパッと消失した……折角のモビ●スーツ、研究したかった…
特に、前々から重力空間で二足歩行しても酔って酷い事にならない秘訣を解明したかった…
当然八つ当たりするかの様に、私は“迷宮”へと攻撃する事にした。
「ああ、君達も自由にやっちゃっていいよ。」
仲間勧誘もちゃんとやりました★
そして、暫く道中急いでいる事も忘れて破壊の限りを尽したのだった……反省はあっても後悔は無い。
◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆
迷宮、いや、迷宮管理者は困惑していた……空間へ急にひびが入り、ぐわんぐわんと揺れている。しかも先程から入って来る映像は自分の作った迷宮とは明らかに違う構成だというのに…
“誰かの介入を受けたか?”
捉えた敵の扱いは各迷宮管理者にとっては自由である。それこそ殺して自分で喰ってもいいし、雇って部下にするも良し。それ以外にも奴隷の様に自由を縛って無理矢理働かせても、生贄や禁術の素材にする者だっている。
けれど、自分は敢えて挑戦者は逃がしていた筈。
挑戦してくれた人は失敗した段階によって報酬を与える。その代わり相手の体感時間“数日間”は迷宮で彷徨する、或いは罠に嵌って寝ていてもらう。
兎に角、迷宮内部にさえ一定期間留まっていて貰えれば迷宮はそれだけ迷宮拡張ソースを入手出来るシステムになっている。少なくともそう『セカイ』が定めているから。
かつては街を作ろうとしたものの、力及ばず兄弟達に攻込まれて強奪されてしまった。しかも知的生命体との共存は不可能、夢物語と嘲笑われた。
けど、別に独りくらい夢見たっていいじゃないか…
弱者は喰われ強者は喰う……それが自然の摂理である事は分かっている。実際自身もそう生まれながらに刷り込まれた。“ダンジョンマスター”である限りは喰う側だと。
『だが、別に長期的に共存関係を結べるならその方が圧倒的に生存に有利ではなかろうか?』
恐らくそう言った発想が出来たのは、偏に自分の内側に存在する摩訶不思議な残像とも呼ぶべき記憶が入っているからだろう……時折夢みたいに見る、魅力的な場所の記憶が。
その記憶に含まれた平和な思想やそれを維持する『管理体制』とその仕組み…語ってもきっと誰も理解したり賛同したりしてくれはしないだろう。
分かっている……けど、諦めたく無かった…
「まさか、我が同胞から介入を受けて……!?!!?」
対抗する手段として一度管理室を抜けて冒険者ギルドへ張り紙をしに行った隙にこうして主導権を奪われていた様だ。その証拠に所々好き勝手した結果が出ている。
―攻略しに来た冒険者の成れの果て…
――迷宮へ突き落とされた長耳達の変貌…
―――迷宮自体に見られる構造・魔物・罠の変化……
監視映像に記録が残っていたので慌てて覗く…すると見えて来るのは次々と起こった惨状。
攻略に来た冒険者達は迷宮から出られず餓死、或いは迷宮に張り巡らされた悪質な罠に嵌って死亡していた。その様子は比較的緩く設定されていた筈の『低層』であっても見られた。
信じられない…だが気持ちを切り替える。
奴隷の首輪に繋がった長耳族が落ちて来たと思ったら捕まり、強制労働されている。薬品調合と魔術に優れた者とで別れ、それぞれ別々に働かされている…互いを人質に。
そして、何よりの失態は……絶対敵に回したらあかん相手を迷宮が激怒させている事。
理由は色々だが、まず迷宮にセンス無く配置された魔物と一部の手抜き設定に御冠な御様子……あの設置は自分も同意しかねるが、誰がやったのは想像出来るため無闇矢鱈と批判出来ない。したら恐らく監視している“奴”が物理的に潰して来る。
次に長耳族の扱い…確かに敵に回すと色々まずい種族でしかも王族へ手を出してしまった。彼女も関わった以上は恐らく逃げられないだろう。契約をしていても魔術式に長けた連中へは遅れを取る事になるだろう。
最後に、先程激怒させたのは言うまでも無い……戦闘報酬がいきなり消失した事だろう。だが言い訳をさせてくれ…
流石に“アレ”を世に出すにはまずい。
間違いなく自分も含めてセカイの危機に陥る事間違い無しだろう……何らかの『見えざる手』でひっそり消されてしまいかねない。
誰があんなモノを出したのか想像が付くがryk)
代わりに別のものを…そうだ、あのエルフを出すか。そう決めてそっとバレない様に迷宮管理権限を使用した…干渉を外から受けただけに心配していたが、正常通りに動いたので安心した。
しかし、彼女が攻略するまで気付けなかったのは明らかに自分の落ち度……『管理者』を名乗る資格もあったものではない。
だから責めて自分の持てうる力で相手を迎撃する。同時に、攻略された後拘束され極限状態で強制労働させられていた相手は報酬を十分与えた上で元の姿に戻して解放する。
仮にそれで『管理者』の資格を今度こそ失っても…即ち自分の命とも言える“ソース”を引き換えにしても……
「さて、最後の『ボス』として迎えますかね。」
◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆
怒りに任せて破壊行動を取っていたら、急に迷宮の空間自体が“裂けた”。慌てて攻撃を止めて何が出て来るか見守る。
すると、光りの繭が裂け目から一つ転がって来た。
新手か?
皆が緊張して息を呑む中、繭は傷だらけになった地面へと安置された……同時に用は済んだとばかりに裂け目は閉じられた。混乱した我々へ何の説明も無く。
暫く観察に徹し、見守る我々…そんな中、急に甲高い声が聞こえた。
「は、離して!!」
謎の繭から目線が完全に外れない角度へ移動しながら騒ぎの元凶へ目をやる……そこには目を覚ました軍服が居た。変態スーツ共の間でジタバタと暴れていた。
けど、やっぱり筋肉の鎧の前で悪あがきも無効……取り押さえられて、何故か私の前へ突き出された。
「…何故に私へ判断を委ねる?」
変態共曰く、現時点では私が上司なのだそうだ…それでいいのか近衛隊。
だがそんな疑問を他所に、私は軍服へ言った。
「一応騒いだ言い訳くらいは聞こうか…」
すると、必死な様子で応える軍服。
「兄様、兄様なのです!!」
彼女が指した先へと目をやる……すると、そこに有るのは鎮座した繭玉一つ。それ以外は空気とか塵とか破壊の残骸とか…殆ど残骸で埋め尽くされていて地面は見えない。
だから彼女の指し示すものは繭玉…フム。
「アレは敵では無いのか?」
「敵ではなく囚われていた兄です!!」
はっきり断言した軍服……だが、確証は無い。
「なら確かめ「その必要は無いです!!」……その様だな。」
得物の刃を向け言い放とうとすると、まるでタイミングを図ったかの如く繭が解けて行った。スルスルと光りの粒みたいに消えて行く…そしてだんだんと中身が露わになって行った。
到頭繭は消え、中身が完全に現れた。
「妹がお世話になっております……手前はブリトニア家長男、次期エルベスタ領当主のギリアム・オブ・ブリトニアです。お名前を窺っても…」
「……私は傭兵『イルマ』。お初にお目に掛かる…」
そして、私は溜め息を一つ吐いた…そうでもしなければ何と言うかやっていられない。
相手は私のそんな様子へ首を傾げているが、分かっていないんだろうか…ああそうだった、分かっていないんだろうね。だって変態共も現軍服も同じ共通点持っていたし…
盛大な溜め息をもう一度吐くと、私は決心して言った。
「悪いんだが、取り敢えず前を隠すなりしてくれ……同性異性関係なく目に毒だ…」
登場したばかりの全裸な長耳のきょとんとした顔表情が憎らしい…と言うか、まさか長耳の国はこれが標準って訳ではないよな?そうだよな?
そうだと言ってくれジャック!!(誰だよ…)
状態異常になる前に、私は服を亜空間倉庫から取り出す…変態共に貸したスーツだ。軍服は必要無いだろう。
その間に感動の再会で抱き合っている軍服と全裸、周囲で涙を拭く仕草をする変態……皆至って真剣なのだが、外側から見れば何故かギャグにしか見えない罠。
取り敢えず空気は読まない方向で。
「感動の再会はいいが、取り敢えず着てくれ…」
服を投げ渡して背を向けた私を誰が責めよう?
しかし、やっぱり幾ら美形であっても好いた相手以外の全裸は気持ちが悪いだけだな……所謂芸術品の絵画や彫刻ならそう言った文化だと思って受け入れられるが、リアルは生々しくて無理。
それに筋肉が足らん…骨皮痩型は私の好みからやっぱり外れるらしい。
ああ…ココに来てジルヴァ分が足らなくなって来た。早く攻略して会いたい。
グスン、負けないもん!!…攻略、頑張ろう。
人を喰う迷宮の正体は、実はコレだけではないです…ネタバレになるんでこれ以上は言いません。
さて、次回はいよいよ最終ラウンド……果たしてルーナちゃん達御一行は最下層まで突破出来るか。
次話もどうぞ宜しく御願い致します。




