12 執事は居ないが、通常運転。(前編)
読者の皆様どうもこんばんわ。そして感想有難うございます(_ _)さて前話に関しては賛否両論有ったと思いますが、今後の展開の為にクリス君にはカミングアウトして頂きました。
今回は日常編その一です…前半以外。それでは本編をどぞ。
……朝起きると、私と身を寄せ合う様に男と一緒に寝ていた。
−無骨で筋骨隆々な身体
−この世界では珍しい艶やかな長い黒髪
−少し渋みと酸味が有るが基本的に甘く優しい木の香り
………そして昨日、ウォルター異動の件で私が不貞寝した時の事を思い出した。
同時に夢の中の出来事も……
それは私に取っては懐かしくも既に古い追憶の1つ…何しろ前世の出来事だから当然か……
そして、それは私の若い頃。具体的には裏組織で仕事をしていた時期の話しだ。
私はそこである同僚と出会い、一緒に様々な戦場を駆けた。そいつとは気心知れた仲であり、仕事を組んだ時も1番私と相性が良かった。故に何度も組む事になった。
そして日本の両親の元へ一時的に帰る際、別れを言いに行っても戦場に向かったらしかったので放置していった。
その後、再び裏社会で働き始めて再会した……戦場付近のホテルで。
どうやら女と別れる・別れないで争っていたらしい。後でからかうネタにしようと私はこっそり近付いて………彼の言った事を聞いて物凄く後悔した。
「相手の女は誰?」
「……女?それだけでは無いよ、奴は。そいつは、俺の知る中でも最高の相棒になれる、いや、なりたいと俺自身が勝手に思っている奴だ。だがそれだけではないな…」
最後まで聞いたら今までの関係が崩れると思ったので、慌てて私はその場所から離れた事は鮮明に覚えている。
………………仕様がないだろう?私は純粋な好意に対してはチキンだったのだよ……私だって苦手な者くらいは有るのだ!
そして奴の期待に答えるべく、一緒に再び戦場を駆け回った。多分師匠の次位には背中を任せられる相手だったと思う。
奴の得物は刀と機関銃。私はダガーと銃槍の二刀流で敵と交戦。交渉しに行く時も私達は組む事になった。そしてその度にこのまま多分一生こいつと居るのだろうと思っていた。
だがその時間は……唐突に幕を閉じた。
奴が流れ弾に当たり、止血出来ずに死んでしまったのだった。責めて奴の血液型がボンベイ型でなければ………
情けない事にショックを受けて暫く戦場へは行かなかった。
だが結局復帰したのだが………
さて。一応奴の事は覚えているのだが、何故か奴の名前が思い出せなくなっている……まるでモヤが掛かった様に名前の部分だけがどの記憶もあやふやになっているのだ。
………ああ気持ち悪い。
まあ今それはいいとして……いつまでもこの体勢は結構やばい事は分かっている。
朝起きたら知らない男性と床を共にしている幼女………犯罪臭しかしないんですけど…
そんな分けで、起きますかね。
心地良さげに寝ているジャンを起こしたくは無かったので、私は全身の間接を一旦外してきつく締められた腕から抜け出した。そして空いた腕の中にクッションを挟んでおいた。
さて、早朝訓練と行きますかね。
……………………………………………
訓練内容は2時間のストレッチで身体を十分ほぐした後、走り込みで裏山周辺を50周。それから筋トレとして腹筋500、背筋500、腕立て200、をしている。それが終わったらやっと方の練習に入るのだが、これだけで大体5時間かかる。
その後今まではウォルターと模擬戦をしていたのだが、今日からはジャンクリと行う事になった。
まずは武器無しの組み手。それを30分続けてから武器有りで再び30分。最後に魔法以外の不意打ち等何でもありで45分続けた。
そしてそこで何故か私は人型のジャンクリの戦闘方法に妙な親近感を覚えた……何処かで戦った事は無かったはずだが。
そしてそこで1つ、面白い発想をした…もしかしたらコイツは私の『同類』か、あるいは似た様なナニカかもしれない。
それにしても何故か今朝見た『奴』の戦闘方法に似ている…まあでも世界には似た者が最低でも3人は居ると言うし、そんな事が有っても不思議ではないか。
それはさておき、一応私よりも長く行きているだけ有って戦い慣れている……主に身体が。
残念ながら現在の私の身体はそこまでには至っておらず、手加減されているのが分かる……でもそんな状態なら待遇の悪いここを出て行ってもいいと思うのだが………
つか、昨日何で添い寝してくれたんだろう?
………とか考えていたら、アッと今に運動後のストレッチ(2時間)が経過していた。
同時に太陽が登っていた事に気付いた……実は結構早い時間から訓練しているんですよ。それでも寝不足にならないんだけどね……何しろここって電気が無いから皆早寝なのだった(平均7時位?)。
……………日本でも、江戸時代はその位かもっと早かったらしい。
どうでもいい話だけどね。さてそれは今置いておこう。
そして、身体を動かす作業が終わってからは、ひたすら魔術の訓練に当てている。何しろこの世界で生きて行く上で魔術行使がスムーズに出来る事は必須だからだ。
最近私は科学理論だけではなく、ファンタジーな攻撃方法も何とか扱えないか模索している。
例えばこの世界に居て、前世には居なかった『アンデッド』。
確かに私が出せる最大出力の『白炎』で焼けばあっという間に消えるが、それでも『浄化』が使えないと仲間内に被害が出た時救えなくなる。
だが、残念ながら私は『神』とか割と信じていない上、理論が確立していない事はどうも上手く行かないのだった。
……具体的には、発動するにしても魔力を余計に喰うとか。
そこで私が次に浮かんだ事……それは前世の『漫画・アニメ』を参考にしてみたらどうかと言う案だった。
結果的にこの着想は中々良かった様で、魔術を問題なく発動出来ている。
例えば最近試したのだったら……某猿で野菜な宇宙人の繰り出す光の波だとか。某属性の有る魔法が一切使えずゼロ呼ばわりされていた短気な少女の爆発魔法とか。
他にも多々有るが、その内使うかも知れない。何にせよ、今は全部封印しているのだ……危なすぎるので。
では今は何をしているか?
答えだが………………………魔力量増加訓練と魔力操作訓練を同時進行で行いつつ、イメトレしている。
つか、魔力回復と魔力行使が将来同時に行える様訓練しているのだった。だって戦闘とかで魔力回復を行使と同等かそれ以上かのスピードで行えたら下手すると相手のジリ沈狙えるじゃん?
そうすると、格上相手が責めて来た時に割と安全だと思うんだよね……
ちなみにこの発想を得たのは漫画等の前世の記憶からではなく、以外な事にこの世界に存在する者達から学んだ事からだった。
それは、『精霊』と呼ばれる者達。
身体の80%が魔力で構成されており、後の20%が実体有る物質で出来ている事が最近分かっている。私の改良した『鑑定』と言う世界の情報末端にアクセスする固有魔術で調べたのだ。
どうやって開発したかは機会があれば話す。
さて、そんな精霊だが、当然魔力が無ければ我々に水が無くなった時と同様生存出来ない訳で…それでも魔力を常に行使している様子が見えたのだ。
現に、私と契約している連中の大半はそうやって行きている……まあ、中には例外はいるのだが、それは置いておこう。
そして、その件について尋ねてみた所……
『うん、分かんないけど何か使ったら直ぐ回復するんだ。』
と全員から帰って来た。気になって色々調べて行くうちに、精霊が魔素(魔力の源)の濃いものを好む事を思い出し、色々検証した。
その結果、魔素濃度の高い場所限定では回復が行使より上回る体質で有る事が判明した。
そして先程の発想に至った訳だ。人間にも出来ない事は無いのでは無いかと。
だが、最近になってようやく形になって来た訳で……実践となれば、先はまだまだ長い…気長にやって行くしか無いか。
…………………………………………………
朝食が終わると、私は礼儀作法の訓練を一通り行う事になっている…まあ既に出来る事だが、まだ完璧ではないからね。
ちなみにコレは母親の命令、と言うよりも約束。
私が家を出るにしても、公爵家としての礼儀作法はちゃんと出来ていなければ駄目だと言われたのだった……以前説明したが、高位の冒険者ともなれば必須だからね。
だから、今日も今日とてかなり厳しい先生に見て頂いている。
「そこ、0.05度傾いていますよ。」
「はい、先生。」
やたらと細かいこの教師の名前は何と、ロッテンマイヤーと言う名前だ……何故か某アルプス山脈でヤギと戯れる野生少女の物語を思い出すのはきっと気のせいだと思いたい。
そして訓練が終わると昼食を食べる。
ちなみにロッテンマイヤーさんも一緒なので、リラックスして食べられないのが滅茶苦茶苦痛……どうにかして貰いたい、割と切実に…
本当はもう少しストーリーが進んでからクリスの事を存在を開示させるつもりでしたが、ルーナちゃんには早急に冒険フラグを回収させたいが為にこういう流れにしました。詳しくはストーリーを暴露する事になりますので語りませんが。
恋愛チックな表現は数話有ると思いますが、あくまでこの話しは”冒険”と”ファンタジー”メインですので悪しからず。
次回も宜しく御願い致します。




