112 楽しい冒険の予感
読者の皆様どうもこんばんは…何とか投稿間に合いました。後、御意見有難うございます。
さて、今回はルーナちゃん視点です。それでは本編をどぞ!
バタン、ガタン、ガタガタガタ…
「目が覚めたのか!!…私が分かるか、ジルヴァ!?」
『『ヴィンセント殿下、ご無事ですか!!』』
「ルーナ、彼は目覚めたのか?!!」
周囲が騒々しいと思ったら国王陛下と彼の部下達、そして公爵家の人々が来ていた。
そう、大勢の人が一気に入って来たのだ……そして私とジルヴァは現在抱き合ったまま…
私は途端に恥ずかしくなって彼から離れようとした。
だがまあ案の定離れられない……彼の腕が私を引き寄せ、逆に私と彼は密着した。
ああ恥ずかしい……
睨むように彼を見詰めると、フンと鼻で嗤うのみ。
「別に離れる必要は無いだろ?」
赤面して下を向いていると、“ズシンバキリポロポロポロ…”と壁側から不穏な音が聞こえた。
……慌てて顔を上げると親父が王宮の壁を素手で壊していた。
そして冷たい笑顔のまま、鋭い眼光でジルヴァを射抜いた…どす黒い冷気を纏いながら。
そのまま普段よりオクターブ低いドスの効いた声で静に怒鳴った。
「……いい加減その手を娘から離せ。
それと私はまだ全然全くこれっぽっちも貴様を認めていないのだからな!
っておい、いい加減にしろ!!!」
……ここに来て親馬鹿爆発である。
ジルヴァを心配していたさっきまでの表情はどこに行った…
まあこれだけ騒ぐ元気が有れば大丈夫と判断したか。
一方の国王陛下は部下と共に涙腺崩壊していた。
このカオスな状況に溜め息を吐き、彼の気の済むまで少し待つのであった。
…ああだけど、幸せだな。
………………………………………
「……え、つまり終わっていないってこと!!?」
「まあそう言う事になるね…残念ながら」
あの後落ち着いてからも色々あったのだが、説明しても面白くないし長くなるので取り敢えずキ○グ・クリムゾンと言う事で☆ミ
現在、公爵領へ移動しつつ改めて事の顛末を師匠から聞いている。
……まあ次々と爆弾が投下されており、帰ったら取り敢えず胃薬を本体に飲ませてからデータを送る予定になっている。
その中でも特にヤバい裏話へ現在突入している。(←今ここ)
……そう、大陸全体を巻き込んだ今回の騒動はまだ終わっていなかった様だ。
私は『シャドウ』こそが黒幕だと思っていたのだが、真の黒幕は別の存在。
……その存在は正体不明。
師匠であっても全く理解出来なかったそうだ。
「一つだけ分かった事と言えば、『死ニ神』であった僕をあんな簡単に籠絡する事が出来るってこと…まあ相当危険な存在だってことだよ。」
そして、彼曰くまだ私達…と言うよりこの惑星の事を取り敢えずまだ諦めていないらしい。
またあの巨大目玉や暗黒物質、感染病の放出を続けるとか…
「だけどよくそんな得体の知れない連中と組もうと考えたね……師匠ってもう少し慎重な性格だったよね?」
そう、それがずっと疑問だった……
私の記憶が正しければ、彼はスプラッタ等のグロは職業柄平気…だが何故かホラーが駄目だったはず。
巨大目玉やゾンビ量産等は特に駄目だった。
ドラキュラとかフランケンシュタインも怯えながら見ていたっけ?…後、四谷怪談教えたら途中でダウンしていたな。
ちなみに学校の怪談見た後は、夜中トイレに1人で行けなくなっていたな。
……まあそれ以外にも本当に師匠は付き合う相手を限定している人だった印象が有る。
好き嫌いが激しくて、殆どの相手に対して路傍の石であるが如き扱いをしていたのは確かな記憶だ…だからコミュ障担ったのだと思うけど。
閑話休題
やっぱり師匠にしては今回の件かなり気が緩んでいたのかも知れないな……或いは師匠を掌で踊らせる様なマジで洒落にならない相手だって事か。
そう言えば以前『霊山』の魔獣領へ病原菌散撒いた『歩く闇市』の商人……確か“マスター”と呼んでいた存在が居たっけ?
師匠かと思ったが、違うヤツだったのかもしれない…
思考を巡らしていたら、ジルヴァが答えた。
「いや、実は次元を渡る時に何か変なものが着いて来た気がしたんだよね……本当に気のせいだと思っていたのだが、もしかしたら“それ”かもしれない。」
……そしてとんでもない事を言った。
「え、じゃあ何?この惑星何かパラサイト的なヤツに食いつかれているってこと?!
それとこれ最も重要だけど、ジルヴァはもうその変なヤツは離れたの?」
魂を見た所今は特に問題は無さそうだが……油断は禁物だな。
「多分離れていると思うけど、もしかしたら何か埋め込まれたかもね……その辺は気をつけてみるよ。
後確かに外来種の癖にここへ寄生して根を張ろうとしているね。」
幸い師匠が行動範囲を広げる為奴等と協力して各国へ魔法陣を仕掛けた時、1ヶ所を除いて何とか防ぐ事が出来た。
もしあれが上手く行っていなかったら……
『分身体』のデータによると、現在各国の民衆に根付いた『自警』の概念を元に各自が怪しい魔術式や人物を警戒しているそうなので在る程度は対策出来るだろう。
……と言うか、出来なければ不味い。
まあでも、これで旅の目標が一つ出来たな…
ジルヴァ曰くその組織は様々な所へ散っているそうなので、しらみつぶし式に潰して行かなければ滅する事は不可能だそうだ。
そして現在進行形で猛威を振るっている可能性があるのか……
「……これは僕のせいだね。」
気落ちした様子で静に消え入るように懺悔するジルヴァ……私は思わず彼の肩を叩いた。
「なら原因排除を頑張ればいいだけじゃん。
誰にだって失敗は有るのだから、それを上手く解消する事を考えた方が建設的でしょ?
失敗した事自体をずっと悩んでいたって仕方ない訳だし。」
…そうだ、別に怖がらなくたっていい。
怖がったり悩んだりしても、何とかなる訳ではないのだから。
別に相手が向かって来たならば徹底的に排除すればいいだけの話しだ。
我々の歩む道を阻むならばそうされても仕方ない。
この世は『弱肉強食』、只弱い者は淘汰されるだけ。
相手を排除するのに正義も理由も要らない……行く手を阻む奴等を野放しにして泣いているなんて全くのナンセンスだ。
そして、排除されたくなければ自分が強くなればいい。
今回は相手がただ上手だっただけ…実力的には恐らく冷静なジルヴァの方が上だろう。
…と言うか、奴等の行動を見る限りそうとしか思えない。
それに私だって加わる訳だ……こちとら腐っても前世と今世入れて約40年分の経験値が有る肉体・魔力スペックもチートな人間(笑)である。
人外と逸般人が手を組めば、きっと何だって出来る。
私の目標:彼と世界を巡る旅をする。
彼の目標:誰にも阻まれずに私と今世を過ごす。
目標達成の為に手段なんて選んでやらない。
いつの間にか彼は微笑を浮かべていた……何処か吹っ切れた様な、そんな爽やかな表情だ。
「…確かにそうだね。相変わらず情けなくてゴメンね。」
「そこは感謝しておけ。」
「それもそうか……けど、これだけは言わせて欲しい。」
彼はそう言うなり狭い車体を気にせず膝を片方折って片手を胸に当てて別の片手を差し出す、所詮は騎士の忠誠のポーズを取った。
「ルーナ・カーマイン・フォン・ラウツェンスタイン、
どうか僕と共に世界を巡って下さい……そして一緒にずっと戦って下さい。
僕と共に今世もその後も在って下さい。」
………全く、ムードも何にも無いんだから。
まあそんな事は求めていないし、それこそ“私達らしい”かもしれないけどね。
不安そうに肩を揺らす彼の手を自分の手で重ね、私は口づけをした。
ピクリと反応して耳まで真っ赤に染まった彼を見て一瞬吹き出しそうになるも、何とか堪える。
そして……
「私ルーナ・カーマイン・フォン・ラウツェンスタインはこの名前に誓います、
彼と共に私の人生も死後も在る事を。」
この時私達の周囲の空間が祝福するが如く光りに包まれたのがだが、一切気付く事は無かった。
後に歴史に残った瞬間だがそんな事は知らない。
ただ、この特は心からこの人を愛おしみ抱擁し合った。
きっとこの先私達の旅路は困難の連続だろう。
だが2人ならば乗り越えて行ける……2人ならば何ものにも負けずに生きて往ける。
一緒に歩んで往こう、きっと楽しい事が沢山待っている。
生も死も冒険、きっと飽きる事は無い……特に“君が/私が”隣に居るならば。
『2人冒険』が楽しみだ!!
前半はルーナちゃん達のリア充化に伴う父親の号泣w、後半は次の章に向けてのプロローグ。
そう、やっと皆さん本格的な冒険が始まります!!
今まで恋愛が苦手だった方々、大変失礼致しました……もう少ししたら世界を巡る浪漫と冒険の旅が始まります(まだまだ未熟者なので過度な期待はご遠慮下さい)。
でも甘い展開がこれから皆無とは言いません、リア充ですから。
これからも好き勝手ハチャメチャに過ごしてその場を良い意味で引っ掻き回す主人公とその周囲を描いていきます、最後まで御付き合い頂けたら幸いです(^^)
さて、次回もどうぞ宜しく御願い致します。




