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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第一章 逸般人な悪役令嬢、好き勝手過ごす
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107 死ニ神の事情(後編)

 読者の皆様投稿遅れて本当に申し訳ないです……リアルが立て込んでおり、大事な話しだったし適当に書きたくなかったので少しリラックス出来るまでここまでズルズル来てしまいました。


 後、ご指摘有難うございます。返信遅れて申し訳ないです。


 さて、今回は前回の続き……ヤンデレ注意報です。それでは本編をどぞ!


 僕はそれから『セカイ』に恨みや怒りを改めて感じながら無気力に日々を過ごした。



 僕は永久に“死ぬ事”のできない種族。


 けど、死ななければ…魂の循環に戻らなければ、逢えない。



 彼女に巡り会えない。




 何度も僕は自害しようとした。それでもだめなら死地へと何度も向かった。


 けど、弾丸が直撃しようと地雷を踏もうと、僕の身体は一切無傷だった……強い放射能をそれこそ浴びてもだ。



 その内僕は『バケモノ』扱いされた。



 多くに怖れられて職が無くなり、飢えるのを待とうとしていてかれこれ50年。


 その頃、僕は親父(ファーザー)に出会った。



 いきなり黒眼黒髪の若い少年が部屋に入って来たと思うと、そのまま僕の胸座を掴んで軽々と床へ投げた。


 そしてこう言ったのだった…



「噂通り腐った魚みたいな目だな、お前って。」



 初対面の相手にあんまりな態度だったので、僕は気付いたら言い返していた。



「……坊主、何の様だ?」



 すると、少年はニヤリと月を思わせる様な狡猾な笑みを浮かべる……歳不相応な、大人びた老猾な印象を与える笑みだ。


 唖然とした表情の僕を無視してそのまま答える少年…



「ああ、早速用件だけどな……













 お前に依頼だ。


 コイツらを消してくれ、報酬は『探し人』を届ける事。」



 僕は鼻で笑った……そんな事、できるはず無いと。


 だが、そう告げて仄暗く笑う僕に彼はこう告げた…



「出来る出来ない等、俺にァ関係ねぇ……」



“やるんだよ”



 何故かその言葉がしっくり来て、気紛れで僕はいつの間にか契約していた。


 さっさと指定された通りに写真の連中をあらゆる意味合で殺し、いつの間にか奴等の専属便利屋の様な立ち位置になっていた。


 まあそれでもいいかなと、少し思えていた。



 やがて彼らはどんどん力をつけて行き、裏世界を牛耳るようになる。



 どんな裏街の悪党でも彼らの名前を聞くと震え上がり、更には表の有名政治家や実業家、報道陣等にも勢力が入り込んで来た。


 その様子は見ていて痛快で、この長い転生人生の中最初の頃以外で初めて“楽しい”と心底思えた。


 だが、必ずそれにも終わりは来る。



 私はセカイの歪みの集積と旧セカイで称されていた『死ニ神』。


 彼は確かに裏社会の黒い英雄だが『ニンゲン』だ。



 故に、僕と違って衰えが来る。



 最初に感じ取ったのは、奴が他の勢力との諍いで銃弾を掠めたときだ。


 動きに少し違和感が有ったがその時は気のせいだと流していた。



 だが、段々反応速度が遅れて行った。



 それは仕事面でも現れていた……決断力が段々鈍って来ているのが分かった。


 本人はそれを感じていたが、自分以外に大きくなり過ぎた組織を支える事が出来ないと感じていたため引退が出来なかった。


 せめて、誰か彼の後継者がいれば……



 そしてそんなある時だった……彼がある依頼を他勢力が請け負った事を聞いたのは。




 ニホンと言う国の超有名大手企業『HONGOU』最高責任者の一人娘、本郷由樹の誘拐。


 それを後ろ暗い事をしているライバル社が依頼したそうだ。



 親父(ファーザー)は本郷一家と関係が有ったためその仕事を蹴った。その結果ライバル組織へ依頼が行った様だ。



 そして本郷家から連絡が入り、ここで僕へ何故か依頼が入った……直接彼から。



「悪いがあの一家に俺ァ借りが結構あるんだわ…この機会にある程度返さにゃならん。お前なら確実だろ?」



 確かに僕なら出来るな、簡単だ……相手を殺して奪えばいいからね。


 だが何故か嫌な予感がしたため僕はこの依頼は蹴った。


 そしたら無茶して親父(ファーザー)が自分から動いて彼女を確保したのだった。


 ……まあ、相手も本郷由樹と言う少女の処遇に困っていたみたいだしね。


 どうも依頼していた会社が訴訟を起こして倒産一歩手前に陥ったみたいだった……トドメに誘拐の事実が出て、もう事実上解散状態みたいな感じだったけど。



 だから依頼も出ない、そのうえ余計な火種かかえちゃったので相手は困っていたみたいだ。



 そこで何も知らない下っ端組織の娼館へ彼女を売ろうとしたみたいで……輸送前のアジトへ相手が油断している間に親父が数名引き連れて確保したとか。


 ただ、そこで親父(ファーザー)は何故か彼女を高く買った……自分の後継者候補として育てようと考えた様だ。



 僕は奴にそんな風に思った相手へ興味を抱いた。



 彼女が居ると言われた部屋へと勝手に向かった…依頼を聞いた時に感じた魂がざわめく様な嫌な予感を無視して。


 そして巡り会った……













 彼女こそ、僕の…僕の探している相手だった。




 早速僕は『ボク』の面を使って彼女へ近付いた……子供向けの、暗殺方面の顔を完全に隠した状態で。


 …ま、まあ、これでも結構怖がられるんだけどね……


 だから僕の待ち人であってもきっと顔面凶器(刀)だってよく親父(ファーザー)に笑われたこの顔をあの少女もきっと怖がるだろうと思って一応覚悟しておいた。



 けど、結果としては予想の斜め上を行ったかな?



 怖がられなかったし、寧ろ弟子になって色々気付いたら教え込んでいた……何故か押し掛けて来た糞ガキもいつの間にか一緒にね。


 拷問器具とか暗器の扱いとか怖がらずノリノリで習っていた。



 そして、僕と同類だと何処か感じていた糞ガキ(クリス)と彼女が互いを意識している事にいつの間にか気付いた。


 僕はその時大きな間違いを犯した。



“この糞ガキなら彼女を大事にしてくれる”



 そう思っていた……けど結果的にユキを傷付けこの世を去った。


 勿論傭兵として働いていたら死に易い事は分かっているし、そんなの日常茶飯事だ……けど、ボクはそんな柔な鍛え方した覚えは無い。



 勝手に油断して勝手に置いて行った……



 ボクが折角『僕』の運命を預けられると思って出来るだけボクの力を注いで行ったのにね…ボクが仮に近くで見張っていなくても2人で生を切り開いて行けるように。


 それなのにね……彼女を悲しませたんだ。



 そこからボクは狂い始めた★



 彼女はボクの前から去って行き、ボクはそれを敢えて見逃したんだ……これ以上傷ついて欲しくなかったからね♦︎


 だから最初ニホンに帰ろうが表の企業に居ようが別に彼女さえ幸せだったら別に良かったんだ♥︎



 けどね…結局彼女を守れるニンゲンなんて居なかった



 組織の人達が次々亡くなって……親父(ファーザー)も死んでしまった。


 その辺だったかな?ボクが完全に狂ったのって★



 気付いたら彼女を鎖につないでムリヤリ媚薬呑ませて奪おうとしていたんだよね♥︎


 だってさ、ボク以外彼女の隣に立てる奴が居なかったし★



 だからとっととボクを受け入れさせてボクしか見えなくしてあげようと思ったんだ♥︎♥︎



 彼女の涙を見てボクの中の『僕』が慌てて止めていたけどね……もうこれ以上彼女を傷付けないでって。


 彼女のこんな悲しむ顔を見たくないって。



 一瞬だけボクは『僕』に戻って彼女を逃がしたんだ…彼女の故郷へ。


 だけど彼女に群がる軟弱なニンゲンの男共はボクの独断と偏見で社会・物理どっちかで殺した♣彼女を守る程の力を持っていないくせに彼女に群がるなって♦︎


 彼女がボクに振り向いてくれるまでずっと同じ作業をするもりだったんだ……



 だけど彼女は死んだ。



 彼女を愛していた人達は彼女を追った……純粋なデータの塊へ自分を還元して異世界へと向かって行った。


 ボクはセカイが憎かったけど彼女へ巡り会う為に『死ニ神』の権限を行使した。そして向かった…彼女のデータが届けられたセカイへ。


 そこでとても珍しいものが見られた。


 まるで彼女が引き寄せられるようにクリスの近くで次の生命体へと肉体を構築されたのには驚かされた物だ。



 ボクからまた遠ざかって。君を傷付け“置いて行った”彼の元に、ね。



 ゆるさない
















“ねえ、何でボクでは駄目なの?”



“ボクなら君に並び立つ事が出来る”


“ボクなら君を置いて行かない”


“ボクなら…ボクなら……”





“ずっと逢いたくて、寂しくて、悲しかった”


“やっと逢えたのにボクの前から消えるんだね、君はまた”


“ボクを皆と同じで『捨てる』んだ”








「そんなのボクは許さない、君がボクを認めるまでボクは何度でも何度でも君の回りの大事なものを奪ってあげるよ」





“ほら、そうすればボクしか君は見えなくなるでしょ?”




………………………………………



 ボクは目の前の光景に反吐が出る思いをしていた。



 ボクの大切な(ヒト)とその親。美しく育った彼女はその美麗な顔に、誰もが見蕩れる優しく慈悲深い笑みを浮かべた。その笑顔を優しく見守る親。


 そこまではいい…


 彼女の向ける視線の先には『オレ』が得られなかったものを全て手に入れたもう1人の『僕』が居た。




 本当は愛情深く温かい家族も。


 スラムの暗殺者と違って奇麗な表の、それも国のトップと言う地位。


 皆が見蕩れ、同性以外には嫌われる事のない容姿。汚く穢れ、歪んだ、呪われた『記憶』を持たぬデータ。



 そして、『彼女』の異性としての好意。











 気が付いたら“生身”のボクが潜入させた古代魔術式の通路を頼りにその場へと向かっていた。


 そして次の瞬間久々浴びた鉄臭く生温かな液体。



 彼女の悲鳴が上がり、周囲にいた“多く”の大人達も狼狽していた……



 ボクは絶望に染まった『僕』の姿を見る為に奴の面を見た……すると何故かにやりとした笑みを浮かべていた。


 そして血反吐を吐きながら口パクでこう言った…



「ざ・ま・あ・み・ろ」



 ここからボクと『僕』の“意識の綱引き”が始まったのだった。



 ヤンデレですが、私としてはこの人物が気の毒すぎて……実は打ちながら少し涙目になっていました。


 ……と言うか、私的にはヤンデレに至るのに原因となったものは必ず存在すると思うのです!ただ気持ち悪い、そう言う気質だけが最初っからあった…それだけの場合も有るのでしょうけど。


 けど、『ヤンデレ×デレデレ=只のバカッポー』と言う図式も有るくらいですから元は愛しい相手にとことん甘い、砂糖とガムシロを吐き出すレベルに相手を大事に思って溺愛する人だと私は考えています。



 さて、前話で急に画面が変わった様な錯覚を多分多くの方が受けられたと思われます。今回の話しでどう繋がっているのか伝わって……いますよね?


 いなかった申し訳ないです……私の力量の問題なので。


 次回は誰の目を通じて描くか決めていませんが、既に展開は決まっています。リアルの合間を縫って書いて行きます。


 どうぞ宜しく御願い致します。

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