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セレクト・ファイター  作者: Aica
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3


「な……何、ここ。」


私たちは、異世界に来ていた。

空があるはずの頭上には、オブラートのように幕がかかっており、虹色に揺らめいている。その向こうに、かすかに見える暗黒の世界。

ところどころに柱が立っており、それがあのオブラートを支えている。柱は透き通っており、中で液体が上に向かって流れていた。虹色に光る、綺麗な液体だ。

周りには、いくつか建物がある。全てライムグリーンのような色をしていて、小さい。物置をちょっと大きくして現代的にしてみました、みたいな。



「セレクト・ファイターの皆様。」

抑揚のない声が後ろから聞こえ、振り向くと、そこには黄色いワンピースを着た少女が立っていた。耳には大きくて尖った形をしたヘッドフォンをしている。


「私に着いてきてください。」

そして少女は歩き出す。私たちは顔を見合せながら、歩みを進めた。



しばらく歩くと、大きな建物に着いた。ホテルのように豪華で、天辺が見えないくらい高い。

少女はエレベーターの10階のボタンを押した。

10階に着くと、「takeover」と書かれた部屋の前で少女は止まった。

「ここに入ります。」

私たちに告げると、間髪入れずに部屋のドアをノックする。

「マスター、連れてきました。」

部屋に入ると、中央に大きなテーブルがあり、4人の少年少女がニコニコしながらこちらを見て座っていた。私たちと同じくらいの年だろうか。


「いや〜、いらっしゃい!!」

そう言ったのは、いわゆるお誕生日席と呼ばれる場所に座っていた、50代くらいのオバサンだ。

「まぁ座って!!はいはい!!」

なんか大阪のオバチャン並みにテンションが高い。


座ろうとすると、椅子に名前が書いてあった。左から順に、私、優斗、焔村さん、吹森くんだ。


「まずは、セレクト・ファイター任命おめでとう!!そして、君たちの目の前に座ってるのは、君たちの前の代すなわち、今地球を守ってる現役セレクト・ファイターだ。」

なるほど。一つ年上になるということか。


「ミキミキ、教本を配って。」


ミキミキと呼ばれたさっき案内してくれた少女が、私たちの前に一冊ずつ本を置いていく。教科書みたいだ。表紙には「セレクト・ファイター教本 水属性用」と書かれている。隣を見ると優斗は「草属性用」と書かれている。一人一人違うらしい。

ってか「ミキミキ」……。


「その本の中にはセレクト・ファイターとしてのスキルとかマナーとか、まぁ色々載ってる。今日はそれを読むことに専念してほしい。」


パラパラとめくってみる。うわ、アース・イーター事典とかある。キモい。


「そして、君たちそれぞれ目の前に座ってる先輩が、君たちを指導してくれるパートナーさ。はい、握手!!」


私の目の前に座っていたのは、青い髪をした、美形の男の子。

「よろしく、華音。」

「よ、よろしくお願いします…。」

いきなり名前を呼ばれてびっくり。

握手をした手はとても冷たかった。


「じゃあいったん解散しようか。それを読んでもらわないとだから。ミキミキ、部屋へ案内して。」

「はい。では皆さん、着いてきてくださ……」


その瞬間、現役セレクト・ファイターが全員付けていた腕時計がピーと鳴り、男性の声が聞こえてきた。


『アース・イーター特捜課よりお知らせします!!ただ今、レベル6属性雷のアース・イーターが、本部に接近中!!セレクト・ファイターは急行してください!!』


「うわ、今か。」

「レベル6って結構高い……。」

「俺、雷苦手だ……。」

「ほら、みんな早く行くぞ。」

セレクト・ファイターたちはそれぞれ思いを喋りながら走って部屋を出ていった。



「「「「……………。」」」」

私たちは無言で顔を見合せる。

アレを今度は私たちがやるのか?



「不安になっちゃったぁ?」

マスターと呼ばれていたオバサンが私たちに問いかける。


「逃げられないからね。」



今までのにこやかさはどこへ行ったのやら、冷たい顔をしてこちらを見ている。


怖い。と、素直に思った。


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