表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
一章 始まりの■■
5/10

受付嬢ハイカ

どうも、作者です。五話です。

「私の名前はハイカ、この七番受付で受付をしている、ただの受付嬢です。 以後、お見知りおきを」


目の前の女性は、そう言いながら綺麗にお辞儀をする。何というか、見た目だけで言えば、幼いと言っていい姿だが、蒼銀の髪と顔立ち、それ以上に雰囲気が大人の女性なのだと訴えている。多分俺より年上だ。


「それと、妹がずいぶんとお世話になったようで、ありがとうございました」


…妹? まて、この場合、俺たちが世話をしたような相手は一人しかいない。そう、


「...まさか、アイカの姉か?」


「はい、アイカは私の妹です」


「...なんじゃと!?」


身長も、見た目も、雰囲気も何もかも違うと言っていい。


「驚かれるのも無理はありませんね。異母姉妹な上、二人とも母似ですから」


それなら似ていないのも納得である。


「なるほどのう、見た目だけなら、アイカの方が姉っぽいのう!」


失礼である。というか、見た目は幼女の三百歳には言われたくないだろう。それに対するハイカさんは、表情にあまり出ていない、気にしていないのだろうか。いや、この感じは気にしている。何となくわかる。


「...お主ら、二人そろって無表情で怖いんじゃが」


「そうか?」「そうですか?」


表情には出しているつもりなんだが。


「これでも、表情には出しているつもりなんですが…」


「はっ」


俺はハイカさんと目が合う。何か通じるものを感じた。俺たちは無言のまま握手する。この人とは仲良くなれそうだ。


「...無表情で握手するなぁ!」



「――とにかく、二人は冒険者になりたいということでよろしいですね」


「ああ、そうじゃ」


ハイカさんの方から本題を切り出してくれる。


「では、二人のステータスを見せてください」


小山 泉 所属:なし 職業:なし 種族:人間

攻:1 防:4 魔:1 耐:3 速:3

スキル 翻訳 再生


クラン 所属:なし 職業:平民Lv.2 種族:人間

攻:3 防:1 魔:2 耐:1 速:1

スキル 夜行Lv3 速読Lv44


本当にステータスを変えられるのか...。俺のステータスは相変わらずだが、クランのステータスは偽装されたものだ。といっても、数値はごまかせないそうなので職業はそのままだそうだが。確かにこのステータスと見た目的に、吸血鬼だとはばれないだろう。


「...なるほど。 まぁ…いいですか」


なんだろう。最後の一言にすごい何かがこもっていた気がする。隣のあほ面は、よっしゃ耐えたという顔をしているが、これ本当に耐えたのか?いや、考えないでおこう。ハイカさんも勘ぐるなという視線を送っている気がするので考えないでおこう。


「さて、ステータスに問題はなさそうですね。 二人は、職業に希望などはありますか? なければ、私の方からアドバイスさせていただきますが」


「わしはヒーラーじゃ! 何せヒーラーになるために、冒険者になりにきたからのう」


クランは希望通りのヒーラーだ。それに対して、ハイカさんは虚を突かれた顔をしている。まぁ、こんな槌を持っている奴がヒーラーになると言い出しているので仕方ないか。


俺はどうしようか。というか、よくよく考えたら、どんな職業があるか知らんな。


「すまん、冒険者ってどんな職業があるんだ?」


クランは、あ、という顔をしている。確かに、こいつは冒険者についてちゃんと知っていたのに、教えてくれたことなかったな。


「そうですか、ならまずは簡単なところから説明しますね。職業は大まかに分けると五つ、厳密には六つですね」


ふむ、何故言い直したんだろうか。


「アタッカー、キャスター、タンク、ヒーラー、サポーターの五つ。 そして、サポーターは、バトルサポーターと、フィールドサポーターにさらに区別されます。 何となく名前でどんな職業かわかるでしょうか?」


アタッカーは、攻撃職、キャスターは魔法職、タンクは防御職、ヒーラーは回復職、サポーターは支援職、といったところだろう。 そしてさっき言い直したのは、サポーター職はそこからさらに二つに増えるからか。


「ん? フィールドサポーターとはなんじゃ?」


「知らないのか?」


どうやらクランは、フィールドサポーターという職業を知らないらしい。それに対してハイカさんは慣れているのか、よどみなくその質問に答える。


「冒険者の方々は、よくクイックサポーターと言われますね。 私たちギルド側の正式名称としてはフィールドサポーターなのですが…そうですね、これからそちらの名称で聞くことが多いでしょうから、そちらに合わせましょうか」


それに合点がいったのか、クランは疑問が解けた顔をしていた。


なるほど、冒険者側とギルド側で呼び方が違うのか。


「何となくは分かった」


「では、どれがいいですか?」


アタッカーにサポーター、色々あるが、やっぱりこれが一番、自分には合っていると思う。


「タンクかな、それが一番性に合っている気がする」


「そうですね、この再生というスキルやステータスを鑑みても、それが一番でしょう」


ハイカさんは肯定してくれる。実際俺は、別に攻撃するのもためらいはない気がするが、人を守る方が性に合うだろう。


「ヒーラーにタンク、ですか…。 お二人は他の誰かとパーティを組む予定はありますか?」


俺はクランと目を合わせる。クランは、俺の方を見ながら首を振る。誰かとパーティを組む気はないらしい。正直なことを言ってしまえば、俺もその方がいいと思う。何せ、俺は異世界からの転移者で、こっちは吸血鬼だ。下手にそれを隠したままパーティを組んでは、必ずトラブルの種になるだろう。


俺は、クランの無言の意見に対して、相槌を打つ。それでクランは察したのか、ハイカさんの方を向く。


「今のところはパーティを組む気はないのう。 とりあえず今は、二人でいくつもりじゃ」


「そうですか…。でしたら、どちらか片方はアタッカーか、キャスターの職を取るのを推奨します」


確かに今のままでは、攻撃力が皆無だろう。


「となると、ヒーラーがやるよりは…」


「いえ、泉さんよりクランさんがやったほうがよろしいかと」


俺の言葉を遮ってハイカさんはそう言う。


「どうしてなのじゃ?」


「恐らくですが、泉さんは、攻撃力がかなり低いかと。 それに、逆にクランさんは攻撃力が高いでしょう?」


そう言われて、クランは苦い顔という顔をしている。図星らしい。どうやら、ヒーラーになりたいがためにその部分を隠していたようだ。だが、どうして、そう言えるのだろうか。


「そう言うのもステータスを見ればわかるのか?」


「はい、実は、ステータスの数値はレベルと共に上がるものですが、これには職業による数値だけでなく、その人間の素質、言ってしまえば才能ですね。 それによっても、ステータスの上がり方が関わります」


なるほど、そもそも攻撃力の才能が低ければ、レベルを上げても攻撃力は低いままということか。


「それにしても、俺の攻撃力はそんなに低いのか」


ハイカさんは気まずそうに一瞬目をそらすが、すぐにこちらに目線を合わせて口を開く。


「まぁ、はっきり言ってしまえば、攻撃力は低いと思います。 ですが、あくまで攻撃力だけです。 むしろ他は、高いと思いますし、何でしたら防御力に関してはかなりのポテンシャルがありますね」


ギルドの受付嬢がここまで言うのなら、間違いはなさそうだ。俺もここまで言われては異論は無い。


「だが、クランはそれでいいのか?」


「はぁ、仕方ないのう。 まぁ問題はない。 サブ職業に攻撃職を入れればいいだけじゃ」


クランは、そう言って微笑む。問題はなさそうだ。だが、この世界にはサブ職業なるものもあるのか。


「でしたら、こちらである程度は職業を選定しましょう。 あとは、転職をするだけです。 転職した後は、いくつか書類などがあるので、実際にクエストを受けられるのは明日からになります。 書類はお二人の方で書きますか?」


書類もあるのか。まぁ、どうやら俺の持つスキル翻訳は、書いた文字まで、相手に翻訳されて伝わるらしいし(来る前に確かめた)、問題はないだろう。クランも文字は書ける。


「うむ、それで良い」


「了解しました」


「では、書類を渡すので、記入が終わりましたら、確認しますね」


そう言われ、渡された書類に、名前などを記入していく。他には、冒険者になるにあたっての注意などだ。ちゃんと読み込んでおこう。意外に記入欄が多く、少しの間沈黙が訪れる。それにクランが耐えられなかった。


「そう言えば、どうしてこの受付だけ人がおらんのじゃ?」


それは、俺も気になっていた。どうしてなんだろうか。


「ああ、ここは文字が読める人専用の受付です。文字が読める方が何かとスムーズですから、どこのギルドにも設置されていますよ。 といっても、このダンジョン街に来る大半の人は文字が読めませんから、専用受付はここ一か所ですから」


「なるほどのう」


確かに、文字が読めた方がスムーズだろう。この書類も自分でかけた方が速く済むのだから納得だ。


「――まぁ、ここに人が来ないのはそれだけではないですが」


「今、何か言ったか?」


「いえ、何も言ってませんよ」


「なら良いが」


ハイカさんは、優しく微笑む。俺もなんて言ったかは聞こえなかったが、この人は何か隠している気がしてならなかった。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ