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編集者、月華洞へ

いつもご愛読ありがとうございます。

本日6時の投稿ができずすみませんでした、寝過ごしました。

明日は投稿できるよう頑張るので、応援のほどよろしくお願いします

リンドベルクの中央通り。


石畳の上を、ガルドが真っ直ぐな目でフェンを見つめていた。


「フェン。ちょっと頼みがある」


「頼み?」


「俺、ダンジョンに入りたい」


フェンは首をかしげる。


「ダンジョン? いいけど……どこ?」


「《月華洞》だ」


即答だった。


「そこのクリア報酬、《蒼誓の指環》が欲しい」


ルシアがぴくりと反応する。


「へぇ? そんな強いアイテムなの?」


ガルドは一瞬、視線を逸らした。


「……いや、その……強いっていうか……」


フェンがきょとんとする。


「?」


ガルドは耳まで赤くなりながら、ぼそりと言った。


「……ミリィに、あげたくて……」



ルシアの口元がにやぁっと歪む。


「ははーん。なるほどね」


フェンはまだ分かっていない。


「……なにが?」


ルシアが肩をすくめる。


「フェンは分かってないねぇ〜。ガルドはミリィのこと好きなんだよ」


「なっ……お前、はっきり言うなよ!!」


ガルドが真っ赤になって叫ぶ。


通りを歩いていた人がちらりと振り返った。


朔夜が、フェンの袖をちょんと引く。


「……フェン」


「うん?」


「手伝ってあげよ」


フェンは少しだけ考えて――すぐに頷いた。


「そうだね。いいよ」


「本当か!?」


ガルドの顔が一気に明るくなる。


「今から受注してくる! あっ、このことはミリィたちには内緒な! 絶対だからな!」


そう言って、るんるんとギルドの方へ走っていく。


その背中を見送りながら、ルシアが呆れたように笑った。


「分かりやすいわねぇ」


フェンは首をかしげる。


「……そうかな?」


朔夜が小さく


「……単純」


と呟いた。


《月華洞》


森を抜けた先。


ぽっかりと口を開けた洞窟が、静かに佇んでいた。


内部から、淡い青白い光が漏れている。


まるで月光そのものが、地の底に流れ込んでいるかのようだった。


岩肌には細かな結晶が張り付き、外からでもほのかに輝いているのが分かる。


夜でもないのに、そこだけが“月の中”のようだった。


ルシアが小さく息を漏らす。


「……綺麗」


思わず、という声だった。


朔夜は静かに洞窟を見つめている。


ガルドは、その入口の前で足を止めた。


さっきまでの軽い調子はない。


少しだけ、緊張した横顔。


「……フェン」


「うん?」


「ありがとな」


短い礼。


それから、視線を洞窟へ向けたまま続ける。


「手伝ってもらうって言っておいて、こんなこと言うのもなんだけど……」


拳を握る。


「俺の力で、クリアしたい」


一瞬の沈黙。


「……でも、今の俺じゃ無理なのは分かってる」


悔しさを飲み込む声。


「だから、補助を頼みたいんだ」


フェンは、まっすぐガルドを見た。


そして、こくりと頷く。


「分かった」


それだけ。


余計な言葉はない。


だが、はっきりとした肯定。


続けて、静かに言う。


「ただ、危ないと思ったら加勢する。それでいい?」


ガルドは一瞬だけ考え――頷いた。


「……分かった」


ルシアが剣の柄に手を置く。


「主役はガルド、ね」


朔夜が小さく呟く。


「……補助」


フェンは洞窟の奥を見据える。


青白い光が、静かに揺れている。


「行こう」


月光に満ちた洞窟へ。


フェン、ルシア、朔夜、そしてガルド。


四人は足並みを揃え、《月華洞》へと踏み入れた。



         続く

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