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編集者、草原での激突

フォルナ草原。


《紅晶蛇バシリスク・ルクス》が、大きく鎌首をもたげる。


赤い結晶が脈打ち、空気が震えた。


「ギャアアアアアアアアアアッ!!」


咆哮。


衝撃波のような音圧に、草がなぎ倒される。


ガルドが剣を構える。


「全員、戦闘態勢だ!」


ルシアが盾を前に出し、静かに呼吸を整える。


ミリィが杖を握り直し、朔夜はフェンの隣へと歩み寄った。


フェンは、視線を逸らさずに呟く。


「……朔夜。君の目、共有できるか?」


朔夜は一瞬だけ瞬きをし、頷く。


「……できる」


次の瞬間。


フェンの視界が、重なる。


赤い結晶の内部構造。

魔素の流れ。

鱗の隙間。


弱点の輪郭が、線となって浮かび上がる。


(……見える)


「ありがとう」


フェンは一歩、前に出た。


巨大な蛇と、真正面から視線がぶつかる。


地を蹴る。


一直線に突っ込む。



蛇が尾を振るう。


土塊が弾け飛ぶ。


フェンは寸前で踏み込みを変え、回避。


そのまま横へと駆け抜ける。


「ルシア!」


短い叫び。


「僕がこいつを誘導する!」


走りながら続ける。


「今から君にもステータスを共有する!」


視界情報をリンク。


赤い結晶の光度変化。

魔素が集中する部位。


「狙える瞬間が来たら――」


蛇が噛みつきを放つ。


フェンは地を滑るようにかわす。


「《ブレイクスラッシュ》を使って!」


ルシアの瞳が鋭く細まる。


「了解!」


フェンはさらに声を重ねる。


「削れてきたら、《聖魔転換焔ホーリー・フラックス・ブレイズ》を叩き込んで!」


「分かった!」


巨大な蛇が再び咆哮する。


地面がひび割れる。


フェンは、その中心へと駆ける。


地面がひび割れる。


フェンは、その中心へと駆ける。


「――神速」


世界が、遅くなる。


踏み込みと同時に、


「【疾牙転化】」


身体の内側で魔素が弾ける。

筋肉が熱を帯び、感覚が研ぎ澄まされる。


一瞬で懐へ。


黒鱗の隙間――赤い結晶の根元。


「はぁっ!」


斬撃。


金属を裂くような硬質音。


だが――


確かな手応え。


「ギャァアアッ!?」


紅晶蛇バシリスク・ルクスが身をよじる。


赤い結晶が乱れ、脈動が一瞬鈍る。


(効いてる)


フェンはそのまま地を蹴る。


「牙走!」


斬る。


踏む。


また斬る。


攻撃を重ねるごとに、踏み込みが速くなる。

刃が鋭くなる。


黒鱗に火花が散る。


「す……すごい……」


ガルドが呆然と呟く。


視線が追いついていない。


紅晶蛇が怒りに震える。


次の瞬間。


口腔が赤く光る。


「――っ!」


何かが放たれる。


フェンは直感で跳ぶ。


直後、赤黒い液体が地面に叩きつけられた。


ジュゥゥゥゥ……!


白煙。


草が溶け、土が泡立つ。


(酸性……!?)


一滴でも浴びれば終わる。


その思考の途中。


影が落ちる。


「――しまっ!」


巨大な尾が、上空から振り下ろされる。


ビタンッ!!


爆音。


衝撃で地面が割れる。


だが――


フェンの姿はそこにない。


尾の軌道に合わせ、短剣を滑り込ませていた。


力を受け流し、衝撃を逸らす。


土煙の向こう。


低く着地。


「……っ、はぁ……は……」


フェンの呼吸が荒れる。


視界がわずかに揺れる。


足に、鈍い重さ。


神速の反動。


「フェン!」


ルシアが駆け寄る。


「大丈夫!?」


フェンは短く頷く。


「……うん……」


だが、次の瞬間。


片膝をつく。


土を握る指先が震える。


「ごめん……神速が、やっぱ来てる……」


荒い息の合間に、言葉を絞り出す。


「まだ……使い慣れてないな……」


視界の端で、巨大な影が動く。


紅晶蛇バシリスク・ルクスが、こちらへ向き直る。


地を這い、一直線に迫ってくる。


ルシアが一歩、前へ出た。


「……フェンは休んでて」


剣と盾を構える。


「ここは、あたしが食い止める」


「ルシア!?」


フェンが顔を上げる。


ルシアは振り返らない。


「大丈夫。あいつとは能力値の差があるけど……」


剣を握り直す。


「フェンの能力共有がある。弱点は見えてる」


「なんとか、なると思う」


その背に、迷いはない。


ガルドが前に出る。


「俺たちにも手伝わせてくれ!」


剣を構え、震えながらも立つ。


「正直、何も役に立たないかもしれない。でも――」


歯を食いしばる。


「おとりくらいには、なれるはずだ!」


バルトとルークも並ぶ。


ミリィが杖を掲げる。


フェンは、皆を見る。


「……みんな……」


一瞬、目を閉じる。


そして、頷く。


「分かった。無茶だけは、しないでほしい」


ルシアが小さく笑う。


「当然」


前へ。


フェンの前に、仲間たちが並ぶ。


巨大な蛇が迫る。


ルシアが叫ぶ。


「みんな、行くよ!」


「おう!!」


咆哮と共に、再び激突の瞬間が迫る。

  


       続く

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