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編集者とCランクパーティ

草原。


乾いた風が吹き抜ける中、四人の冒険者が巨大な鹿の魔物と対峙していた。


漆黒の角。岩のような皮膚。

土を踏みしめるたびに、地面が軋む。


《断罪角のグラズ》。


「な、なんでこんなやつが草原にいるんだよ……!」


ガルドが歯を食いしばり、剣を構える。


次の瞬間。


――ゴォォォォォッ!!


咆哮。


空気が震え、草がなぎ倒される。


「来るぞ!!」


グラズが地を蹴る。


爆発のような踏み込み。


「避けろォ!!」


四人が散開する。


突進が地面を抉り、土塊が宙を舞う。


「ルーク! ミリィ! 援護だ! バルトは二人を守れ!」


「了解!」


ガルドが吠え、単騎で駆ける。


全力の斬撃。


――キィン!!


火花。


刃が弾かれる。


「ぜ……全然、通らねぇ……!」


グラズの眼が赤く光る。


角が振り上げられる。


「ガルド、下がれ――!」


間に合わない。


ドォン!!


衝撃。


ガルドの身体が宙を舞い、数メートル先に叩きつけられる。


「ガルドォォ!!」


ミリィが叫ぶ。


動かない。


震える手で杖を握る。


「ファイア・ストーム!!」


炎の渦が巻き起こる。


高火力の炎がグラズを包み込む。


だが。


炎が晴れたとき、そこに立っていたのは――無傷の巨体。


「き……効いて、ない……?」


グラズが前脚を高く掲げる。


――ズンッ!!


地鳴り。


草原が波打つ。


地面が裂け、衝撃が四人を襲う。


「伏せろォ!!」


バルトが盾を構え、二人を庇う。


ルークが転がり、ミリィが体勢を崩す。


揺れる大地の上で、グラズが低く構える。


突進体勢。


狙いは――バルト。


「まずい……!」


その瞬間。


風が切れた。


次の瞬間には、黒い残像がグラズの側面に立っていた。


――ズバッ。


鮮血。


グラズが苦痛に唸る。


「な……?」


ルークが目を見開く。


そこに立っていたのは、静かな目をした青年。


フェン。


視線が魔物に向く。


【断罪角のグラズ】

Bランク

HP:12000

MP:2000

A:4000

D:8000

MAT:5000

MDF:4000

S:6000


土属性/地鳴り/岩槍射出


フェンが短く息を吐く。


グラズが怒りの咆哮を上げ、再び踏み込もうとした瞬間――


「ルシア」


その一言。


銀閃。


草原を裂く光。


ルシアが一瞬で懐に入り込む。


「――戦舞閃連」


斬撃が連なり、空気を裂く。


角を避け、脚を断ち、腹部を抉る。


最後の一閃。


静寂。


巨体が揺れ、ゆっくりと崩れ落ちる。


ズシン、と草原が震えた。


沈黙。


風だけが吹く。


ルシアが剣を払う。


フェンは倒れた魔物を一瞥し、視線をガルドに向け、


「朔夜ヒールお願い、まだ……生きてる」


「うん」


朔夜が静かに駆け寄る。


地面に倒れ伏したガルドの胸は、かすかに上下していた。


鎧は砕け、血が滲んでいる。


朔夜が手をかざす。


淡い蒼光が溢れた。


「ヒール」


光がガルドを包み込む。


砕けていた肋骨が、音もなく戻る。

裂けた皮膚が閉じ、血が止まる。


呼吸が整う。


ガルドの指が、ぴくりと動いた。


「……が、は……?」


ゆっくりと目が開く。


「ここは……」


「よかった……」


フェンの肩の力が、わずかに抜ける。


バルトが呆然と立ち尽くしていた。


「うそ……だろ……?」


視線が倒れたグラズに向く。


巨大なBランク魔物。


草原を荒らしていた脅威。


それが、すでに動かない。


「相手は……Bランクだぞ……?」


ルークが喉を鳴らす。


「それを……一瞬で……?」


ミリィは言葉を失い、ただフェンとルシアを見つめていた。


風が吹く。


草が揺れる。


フェンたちと、Cランクパーティ。


二つのパーティの視線が、静かに交差していた。



         続く

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