編集者、数に押される
すみません13話間違えて投稿してしまったので、
本日14話を6:00、15話を12:00、16話を21:00に投稿いたします。
お楽しみください
通路の奥、壁際、曲がり角の影――
岩の鱗を持つロックリザードが、次々と姿を現した。
一体、二体……十ではきかない。
「……多いね」
ルシアが低く言い、剣を構える。
フェンは一歩前に出て、状況を見切った。
「まず止める。ルシア、ゴーレムの加護――範囲のやつ、試せる?」
「分かった!」
ルシアが足を踏み込む。
「――ランドクラッシュ!」
地面が砕け、通路全体が揺れた。
石床が波打ち、複数のロックリザードが体勢を崩し、その場に縫い止められる。
「今だ」
フェンは地を蹴った。
疾走。
風を切るように走り、動けない個体の間を縫って刃を走らせる。
――一体、二体。
だが、倒しきれない。
(硬い……数が多すぎる)
揺れが、徐々に収まり始めた。
次の瞬間、
縛られていたロックリザードたちが、一斉に動き出す。
「っ――!」
フェンが前に出すぎていた。
数体が同時に距離を詰める。
左右、正面。逃げ場が狭まる。
フェンは咄嗟に身を翻し、刃を振るう。
一体、倒す。
だが、すぐ次が来る。
「フェン!」
ルシアは進路を切り開くようにロックリザードを斬り伏せ、フェンの元へ駆け寄る。
「これじゃ、終わらないよ!」
その通りだった。
一体ずつ倒しても、数が減らない。
フェンは歯を食いしばり、判断を切り替える。
「……これじゃ、キリがない」
意識が切り替わる。
「……これを使うか」
ゴーレム戦の後、
編集者のレベルが二に上がったことで解放された機能。
《編集アシストモード》起動。
視界に淡い光が走り、ホログラムが展開された。
――属性:風
――効果範囲:前方
――用途:制圧・吹き飛ばし
フェンは迷わず選ぶ。
《ウィンドブラスト》
「ルシア、下がって!」
「了解!」
ルシアが距離を取るのを確認し、フェンは前方へ手を突き出した。
次の瞬間――
圧縮された空気が、爆発的に解き放たれる。
轟音と共に、前方のロックリザード群がまとめて吹き飛ばされた。
風刃が鱗を削り、巨体が壁に叩きつけられ、通路を転がっていく。
――SP 30消費。
瓦礫と土埃の向こう、
数は――確実に減っていた。
フェンは息を整え、前を見据える。
(……これなら、いける)
地を蹴り、残ったロックリザードへ切りかかった。
通路の中央。
砕けた岩と鱗が散らばる中で、二人はその場に立ち尽くしていた。
フェンは膝に手をつき、肩で息をする。
「……はぁ……はぁ……」
腕が重い。
全身がじんわりと熱を帯びている。
「……な……んとか……勝てた……」
絞り出すように言うと、横から同じように荒い息が返ってきた。
「……だね……」
ルシアも剣を支えに、深く息を吐いていた。
「正直……ちょっと……きつかった……」
フェンは小さく苦笑する。
「数が多すぎた……」
その瞬間。
頭の奥で、澄んだ音が鳴った。
フェンは、わずかに目を見開く。
(……この音……)
意識の端に、見慣れた表示が浮かび上がる。
レベルアップ。
フェンは静かに息を整えながら、その表示を見つめた。
続く




