第2話 ~ vs ”陰チャ”〜
陰キャの青酸カリで毒殺された陽キャの俺は、見知らぬ土地で目を覚ます――――
気が付くと、金髪の美少女がクリーチャーに襲われており……!?
ウェイ!襲われてるのは、金髪で青い目をした美少女……!
「キャアアアッッ!早く助けてェェッッ!!」
ラッキー!外人の姉ーちゃんとも一度、<共演>って見たかったんだよな!
「オラアッッ!」旋風脚!
俺は、クリーチャーの土手っ腹に踵を捩じ込ませる。
「ギ、ギチュアアアアアアア!!!!!!」
『ティックトック』で万バズしたこの技、中々キクだろ?
「ウェイ!姉ちゃん大丈夫か?」
「……ッッ♡♡♡♡♡♡♡ありがとうご……」
「ギチュギチュギチュギチュウウウウウウ!!!!!」
なんだよあのムカデ野郎!まだ動けんのか!
美少女との前奏、台無しにしやがって!
「まあ待てって姉ちゃん、俺がもう一度ぶっ倒してやっからよ!」
「き……気を付けて!あの化け物 "ドノタク"には強力な毒があります……ッッ♡♡♡♡♡♡」
ドノタク……気持ち悪い名前だな……
「その毒が体内に一滴でも入ったら、像でも数秒で死に至るとされています……♡♡♡♡」
「一度攻撃をかすったら即アウトって理由か……」
「ギチュギチュギチュニアアアア!!!!!」
化け物"ドノタク"は、真っ先に俺めがけて向かってくる。
「な……!!」
様子がおかしい、早すぎる!高校の体育祭で1位の俺より速ぇぞ!
最初の攻撃は金髪が襲われてる最中の不意打ちだったからか!?
一撃食らったらアウト……クソ、これは「回避」だ!!!!
「ギチュウウウウウウウ!!!」
俺は、ドノタクの進行方向に対し垂直にローリングする。『ティックトック』では千バズの技だ!
「ギチュウ!!」
ドノタクは、突進方向の先にある大岩に勢いよく衝突する。
クソ……このままじゃまずい!
「おい姉ちゃん!アイツに、何か弱点は無いのか!?」
「い……いえ……♡♡♡」
「なんでもいい!!特徴でも、生態でも!!」
「ひ……♡♡♡♡♡ひゃい♡♡♡♡♡"ドノタク"は、陰湿な環境で暮らす事で知られていますぅ……♡♡♡♡」
"陰湿"……"毒使い"……
!!!!!
姉ちゃん!!!こっちだ!!!
「ふ……ふぁい……♡♡♡♡♡」
俺はATMの手を取り、山の丘を駆け上る。
「ここなら……!」
俺は足を止め、ゆっくりとドノタクの方を振り返る。
「……あの……!?止まるんですか!???すぐそこまでドノタクが走って来ています!!!急いで走らないと!!!!」
「ギチュウウウウウウウ!!!!」
高速で迫りくるドノタク。
「キ、キャアアアアアア!!!」
「……」
俺は、ニヤリと笑う。
「ギ……ギチュ……!??」
「え……!?♡♡」
ドノタクは、その動きを止める。
毒使いで陰湿……!奴らの動きには覚えがある……!
そう、大学<GMERCH>の人気のない暗い講義室―――――。
そこでスマホの『アンドロイド』を弄っていた『陰キャオタク』だ!!!
「一か八かの賭けだったが、奴の弱点は"日光"……!雲の切れ間から日光が差し込むこのスポットに、奴を誘い込んだのさ!!」
「!!!!流石です♡♡♡い……今すぐトドメを……!♡♡♡♡」
いや、その必要はない―――――――。
観察していて思ったが、奴は、"何故直ぐに金髪を襲わなかったのか……?"
即ち、奴は女を "いやらしい目で見ているから――――――!!"
女性経験の薄さから来る挙動不審……トドメを刺す必要もない!
「……〜〜〜〜〜ッッッッッ!??!??♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
俺は、金髪のマウスにタンギングをする
「ギ……ギチュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺と美女のアツい<協奏曲>を見たドノタクの頭部は嫉妬で弾け飛び、聞くに堪えない悍ましい断末魔を上げる。
「―――地獄で詫びるんだな!」
べチチチッ
弾け飛んだ紫色の肉片は、そこら一帯に散らばる。
「あっ………ありがとうございますぅ♡♡♡♡♡♡♡♡」
「あのバケモノは一体何なんだ!?作り物じゃねえよな……?」
「ご存じないのでしょうか?あれは、"陰に凄むクリーチャー" 、略して『陰チャ』と呼ばれています♡♡♡♡」
陰チャ……なんて薄ら汚え存在なんだ……
「私達の国は最近、急激に数を増やした陰チャから甚大な被害を受けているのです……どうか……私達の国、”GMORCH”を救っていただけないでしょうか……♡♡♡♡♡」
”GMORCH”だと!?俺の大学群の名称にそっくりじゃねえか……!
それに何だ、つまりここは日本じゃないって事か……!?
「と……ところで……お名前はなんと言うんですか???♡♡♡♡」キュンキュンキュンキュン
「俺は"陽"。GMERCH出身のサックスボーイだぜ。ATMは?」
「ンアァッ……♡♡♡♡ "ア=ユミ"と申しますぅンン♡♡♡♡♡」
俺のあゆみと同名……偶然だよな……?
俺は、金髪少女の顔を見る。
!!!?
彼女の右頬には、赤いビンタの跡があった。
つ
づ
け