第1話 ~GMERCH~
ウェイw 俺は「伽羅野 陽」。
大学の2年生だ。
所属サークル、<サックス部>――――――――
ピアス付けてるぜ
髪も染めてるぜ(金色だ!)
トゥルルルルル
ガチャ
「もしもし?あゆみ?ちょっと今月、"カネ"、無くてさァ……後で会わネ?」
俺は、お気に入りのサフレ、”あゆみ”に電話をかける
「ねえちょっと陽クン……♡また今月もなの?♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
電話出た瞬間”メス”になりやがった……!ったく……チョロい女だゼ……w
この調子で「あゆみ」「さやか」「ゆうか」「かえで」「まゆ」「みなみ」「しおり」「あいり」「ひかり」「かなえ」「あすか」「れいか」「みさき」「ことみ」「えりか」「ゆりこ」「なおみ」「めぐみ」「のぞみ」「ちさと」にも、『ライン』と『インスタグレム』で媚びるぜ。今月も140万は堅いな!
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ウェイw (回想)
俺、小学生―――サッカー部。
俺、中学生―――バスケ部。(県大会にも出たぜ)
俺、高学生―――ダンス部。(県大会にも出たぜ)
ン、大学はどうしたって?
「指定校推薦」――――――――――
偏差値、世界上位0.2%、GMERCH――――誰もが羨む超高学歴大学群。
俺は、ダンス部をアピったら面接官に大ウケ!勉強もナシに即入学ってワケ。
今後はこのトークスキルを活かして、外資行くぜw
当然、年収単位は”億”―――――――。
ったく、この人生、超イージーモードだぜ!!!
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「おい、あゆみ!一緒 ”講義室” 行くぞ!」
「ンァッ♡陽クン///♡♡♡♡♡」
講義に出席するのかって?もちろん代行<ピ逃げ>―――――。
ダチに出席カード渡せば、俺は個室でサックス吹き放題ってワケ。
”講義室”? これ、即ち、演り部屋の事だゼ(陰キャには分からねえだろうなw)
ガチャリ
俺は、使われていない講義室に入る。
「陽クン♡♡♡♡陽クン♡♡♡♡陽クン♡♡♡♡」
「まぁ待てってあゆみィ、俺のテナーサックスを直ぐにでもチューニングしてやっから……w」
ガサガサガサッ!
「キャッ!陽クン、誰か居るよ……!♡♡」
「誰だテメェ!!!!出てけや!!!!」
机を隔てた隣の座席には、チーズ臭ぇ丸眼鏡のNERDが座っていた。存在感薄すぎるだろ!
「ア……イヤ……ここは講義室……自習に使うのはワタクシ個人の自由カト……」メガネカチャカチャカチャカチャ
「んだオラァ!!!!」ドンッ!
俺はオタクを蹴り上げる。オタクは2,3mほど吹き飛んだ後、着地先の机を叩き割る。
おっ、サッカーは久々だったけど、思ったよりまだいけんじゃん、俺。
「キッ、キエエエエエエ!!!!」
オタクは逃げ出す。
へっ、小汚えチーズが……
「さて、あゆみ、演るぞ」
「ンァァァッ♡♡♡」
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俺は一通りリサイタルを演奏しきると、その鑑賞料を徴収する。
「おい、あゆみ、”今月の分”」
「ハイ♡♡♡陽クン♡♡♡♡♡」
「オイオイ、ちょっと少ねえんじゃねえの?」パァン
俺はあゆみに平手打ちすると、満足げに帰路につく。
今日は帰ったらATM-5番、ATM-7番と三重奏<トリオ>だな……
俺のスラップタンギングで、あいつらのブレスコントロール、乱してやるぜ……
俺は笑顔で『ライン』を取り出す。OSはもちろん、最新の『アイフォン』だ。
「チ・・・チギュァアアアアアアアア!!!!!」
……!?何だこの鳴き声は……?
振り向くと、さっきのNERDがこちらに向かって突進してきている!手には鋭利な刃物が!!!
「体育系舐めんじゃねえ!!!」ドゴォッ
俺は、左腕で刃物を受け止めると、右手でオタクを殴り飛ばす。
オタクの体はゴムのように捻じれ、4m先のゴミ箱に入り込む。ダンクシュートだ!
刃先は左腕に0.3cmほど食い込んでいるが、オタクの腕力ではこれが限界だったのだろう。俺は刃物を抜く。
「ったく、2度もチーズが叶うと思うな……よ……」
俺は自分の掌を見る。血濡れている。
しかし妙だ。少しばかりの負傷にしては出血の量がおかしい。
「ゴハァッ!!!!!」
俺は鉄の匂いとともに、大量の赤い液体を吐き出す。
「ククク……」
「テメェ!!!何しやがった!!!!」
「青酸カリチギュねぇ……刃先にコーティングされた致死毒は、貴様を1分も経たずに地獄に導くカト……w」
「クソ……が……!!!!」
「地獄で詫びるチギュねぇ……ハハハハハ!ハハハハハハハハハ!!!」
視界がブラックアウトする。
薄れゆく意識。
俺は、終わってしまうのか。
こんな所で
こんな所で…………
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「………………」
なにか聞こえる……
「……のです……」
この声は……何だ……?
「起きるのです…………!」
!!!!!!!!!
俺は目を覚ますと、広い草原のど真ん中で寝転んでいた。
どれほど時間が経ったのだろうか。
「俺は確か……NERDに毒を……」
「俺は何故生きている?ここは……どこだ……?」
「キャァアアアアアア!!!!」
突然の叫び声。
「何だ!?」
その方向を見ると、金髪の女が、怯えた様子で座り込んでいた。
その表情の先には―――――恐ろしい、巨大な8本足のクリーチャー!???
「そ……そこの人!助けて!助けて!!!」
女は、こちらに気付くと俺に助けを乞う。
クソ!!何だあのバケモノは!?!!!どう考えても現実じゃねえ!!!
CG……だよな!!!???
「は……はやく……!!!!キャアアアアア!」
クリーチャーは、体制を整えると、勢いよく女に突進する。
クソ……行くしかねえのか!!!!!!????
つづ
く