死にたい私
「何て言ったら良いんだろ? なんつうか、パッと思い付くんだよ。分かる?」
学校からの帰り道、私の友人はそう、答えてくれる。
「ストーリーが?」
「いや、ワンシーンが。んでそれで、ストーリーが勝手にできてく。お前もそうだろ?」
絵の事を言っているのだろうか。
「絵の事をかな? うん。そうだよ」
「んじゃソレと一緒だよ」
けれど彼女はキャラとソレの設定も共に作る。やっぱり才能なのだろう。
「どれだけ努力してもやっぱり、才能には勝てないね」
「当たり前だろ」
彼女は笑いながら言ってくる。
「努力は絶対才能には勝てない」
絶対って言いきった。この子は簡単にそんなこと言ってしまう。
「何で?」
「ん~何でって、そうだな。何でだろ? あ~そうだ。例えばだけど、才能を持ってないヤツがレベル一だとすると、才能を持ってるヤツはレベル五十なんだよ。んで、持ってないヤツが努力して五十レベになったとしても、持ってるヤツはちょっとしただけで、知っただけで、七十五レベになる。どれだけ努力しようとも、才能を越す事は、超える事は、勝つ事はできない。と私は思うね」
説得力は皆無だ。けれど、頷いてしまうのは私の悪いところだろう。
「まっ私は絵の才能は無いし、ゴミ出し。だからお前は羨ましいよ。評価されてんじゃん、先生に。絵に関しては何も言えないしねぇ」
私には絵の才能何てないよ。ずっと描いてきただけだし。唯、好きだから続けただけだし。やっぱり・・・
「死のうと思うんだ」
「良いんじゃない」
え?
「別に興味ないし、どうでもいいし」
あれ? え?
「あ~でも、死ぬんならドナーになって死ねば? 後、今持ってるお金で私に貢いでよ。ね?」
思わず足を止めてしまう。
「えっと、止めないの?」
「止めないよ、だってアンタがアンタの意思で決めた事だろ? だったら私が止める必要性は無い。死にたいんなら死ねば?」
振り向いて、言ってくる。今の私の顔はどうなっているだろうか。もしかしたら、笑っているかもしれない。
「それに、私も死にたい何て事思ってばっかだよ。でも、実行してない、怖いからね。だから、実行できるアンタはカッケェと思うよ。そうだ! さっきの話になるけどさ、今いくら持ってんの?」
あ~あ。何だか、うん。
「めんどくさくなってきた」
「え? 何が?」
「死ぬのが」
そう答えて、彼女の横に並ぶ。
「だから、お金貢ぎませぇ~ん」
少し煽り気味に言ってやった。彼女は残念そうな顔をして・・・
「マジか~!!!」
と大声で言った。
Vピースガオ~