1-3 条件
そんなある日
実技の授業があった。
魔法とアビリティを実戦形式で
鍛えあげる授業だ。
それが終わり、教員が引き上げたとき、
そいつらはやってきた
「おいてめぇ!
ここはアビリティを磨きあげる場だぞ!
なにしにきやがった!」
「そうだそうだ!」
「お前みたいな雑魚とっとと
やめちまえ!目障りなんだよ!」
「そうだそうだ!」
今日も絡まれてしまった……
こいつらは僕が心の中で三馬鹿と呼んでいる
クラスの馬鹿三人組
リーダーはそこそこ有力な貴族らしく
学年ではそこそこ強いようだ。
名前も忘れてしまったが
暇なのだろうか
僕をいたぶることを日課にしている。
僕は目立ちたくないので
いつも爽やかにやられてあげているのだ。
はやくエナ姫の美味しいご飯が食べたい……
「ご、ごめん」
「ごめんですんだら自警団なんて要らねーんだよ!」
「そうだそうだ!」
「俺たちが鍛えてやるよ」
そういうと三人がかりで
ぼこすか殴られた
痛いし服も汚れてしまった
最悪だ……
お得意の演技力でめちゃくちゃ痛そうに
倒れ混むと満足したのか彼らは帰っていった。
実技の授業が終わり、
昼休みはもう始まっている。
僕の教室の方が近いので
いつもは僕の方が早い
でも今日はさすがにそうもいかないだろう
何か嫌な予感がする。
僕がつくと彼女はいた
「ごめんねー遅くなっちゃって」
「いい…手に
それよりなにかあったの?」
そこまで言うと僕をしっかり見て
僕の状況に気づいたのだろう。
少し驚き、心配するように続けた
「汚れてる…どうしたの?」
「ちょっところんじゃってさー」
「嘘…」
いつものように僕の分の弁当を渡すと続けた
「誰かにやられたんでしょう
誰?そんなことするやつ
消す……」
物騒なことを言ってくれた
「いや、僕はほら
全然大丈夫だからさ!」
彼女はジト目で僕を睨み付けて言った。
「平穏に暮らせてない……
やっぱりあなたは実力を見せつけるべき
あなたが苦しむのは見たくないの」
この学園は強ければすぐにでも卒業できる。
逆に言えば強さこそすべてに近いので
弱いものは見下される。
故にこういういじめは日常的に行われている。
だから僕もそうだと気付いたのだろう。
「ごめんね
そう言ってくれるのは嬉しいんだけどさ
僕は別に大丈夫だから」
「そう…」
僕がそう言うと彼女は
そのことについてもう何も言わなかった
--そして翌日
「ねぇ良いこと考えたの」
ニヤニヤしながらそんなことを言ってきた
こういうときは大抵よくない
「それはよかったですね」
そういうと僕はご飯をかきこみ、
ご飯に集中して続きは
聞かないようにした。
しかし食べ終わると待っていたかのように
「サーマント祭……出よ」
「いやでふ」
即答で断った。
「うー」
涙目でこちらを恨めしそうにみている
例の反則技だ。
でも今回はなんとかこらえた
あんなものこんな美人で学園でも有名な
先輩と出てしまえば
それだけで目立ってしまう
サーマント祭とは年に一度の催しで、
ペアで学園が所有する無人島に飛ばされ、
魔法、アビリティ何でもありの
勝ち残り形式で、優勝をきそう大会だ。
一定以上ダメージを受けたら
その瞬間無人島にかけられた
能力により強制転移させられ、
脱落となる。
その能力については
教員のアビリティか魔法だと思っているが、
定かではない。
冒険者になるとパーティーを組むのが
通例のため、個々の強さだけでなく
いかにペアで協力できるか、ということも
重要になってくるらしい。
ギルドの有力者も見ていたりするので、
優勝したら、それなりの将来が約束される。
しかし……
「今まで断って来られたのでは?
僕なんかでは……」
彼女は実力も相当なので候補がいくらでもいるはずなのである。
しかし、彼女はなぜかサーマント祭に
出ないことでも有名だったのだ。
「あなただからでたいと思ったの
大丈夫……悪いようにはしないから」
「ご、ごめんなさい
気持ちはありがたいんですけど……」
涙目でこちらを無言で見つめ続ける
…………
やばい 陥落しそうだ
「私……あなたのこともっと知りたいな」
上目遣いでそんなことを言ってきた。
よし分かった。
そっちがその気なら
いいだろう
僕はちょっと気が動転していた
そして諦めさせようと、言った。
「優勝したら付き合ってくれるとかなら
出てもいいんですけどねー」
「!?」
驚愕の表情を浮かべた彼女は
そのままうつむき、
頭から煙が
上がりそうなほど赤くなっていた。
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