表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/48

1-2 お弁当

 生徒名簿って

なんでそんなものみれるんだ…

さらに実技云々かんぬんに関しては

教員の評価にまつわる資料だろうか…


 アビリティなのか姫特権なのか知らないが

完全にバレている。

ピンチだ。



 なんとか平静を装って続けた。

「なんのことかわかりません。

あれは自分のためなのでお気になさらず…」


「ぐすん、食べてくれないの?」


 目に涙をためて上目遣いで大木を見上げてきた。


 か、可愛い。

しかも居場所までバレている……


「わ、わかりました。

そちらは頂きますが、もう大丈夫ですからね

気持ちは十分頂きました。

ありがとうございます。」


「……あなたがめんどくさがり屋

なのはわかったけど…

お礼くらいちゃんと言わせて欲しい…」


「いやいやそんな泣きそうな顔で

言われても私は妖精なので……」


「分かった


レイ=セプテンブァーに会いに行く


放課後すぐ……泣きながら」


 そして泣いていたはずなのに

ニヤリと笑った。

悪魔め


 こんな美人がクラスに来て

しかも泣きながら僕を探したら

間違いなく目立ってしまうじゃないか。


「じゃあねー」


「ちょっまっ、待って!」


「何ですか妖精さーん?」


 やられた…


「何だっていうんだ……」


「私はただお礼が言いたいだけなの…

ごめんね?」

 上目遣いでこちらを見上げながら言った。



「お、お礼は分かったから

お弁当ももらうから……

ありがとうございます」


「一緒に食べる…」


 ……なんだこれは

とてつもなく可愛い


「な、何故?」


「なに、いやなの?」


「いや、いやとかじゃ……」


「はやくおりてこーい」


「……」


「ここでしゃべるんじゃだめ?」


「だめ」


 なんて強引な……

そっと逆側に降りた。

「……木の後ろにいる…」



「わーい

おりてきてくれた

その、ありがとね……」


「……うん」

 見えていないだろうが、

ぶすっとしながら答えた。


そしてレイラにお弁当を持ってこさせ……

られなかった。


レイラは魔王の手に捕らえられたのだ。


「こっち」

 パンパンと自分の隣を叩いている。

ちゃっかり二人で十分に座れる

シートのようなものを用意し、座っていた。


 もう開きやおってやることにした。

隣にどかりと座る。

そっぽを向き、拗ねてる感じを前面にだしてやった。


 彼女は黙ってレイラを解放し、

僕はレイラからかごを受けとる。


「では頂きますね

ありがとうございますー」


 未だ彼女と目は合わない。

拗ねている振りもあるが、

女の子と関わることは少なく、

普通に恥ずかしいのだ。


 かごの中身はお弁当であり、

色とりどりの具材が入っていた。


この学園にきて安物のサンドイッチ

しか食べてこなかった僕にとっては

超ごちそうたった。


「やばうま…」

 夢中でむさぼり食っていた。

ふとこちらを伺う視線に気付き、

顔をあげる。


「めっちゃうまいです!

ありがとう!エナ姫!」

 満面の笑みでそういった。

そしてすぐに気付く

しまった心の中の呼び方で呼んでしまった…


 顔を赤くしてプルプルしている

怒らせてしまっただろうか…


「か、かわ……

いや、なんでもない……

うむう、やっぱり……私のこと知ってる……」


「えーなんのことですか?

 物語のお姫様みたいに

優しくて可愛いらしかったので

思わず呼んでしまいました…

先輩……ごめんなさい」


「ん…別にいい

いいわ一旦はあなたのルールに従う。

ごめんね?一人のところ無理に入ってきて」


「んえ?

いえいえーいいんですよ

こんな美味しいお弁当も頂けましたし」


 ルール?と思ったが

笑顔でそれだけ返すと彼女は続けた。


「私はエナリオン=エーゲルトではない……

エナ=リーベル

この国の第三王女よ……」


「え、えぇー

そうだったんですかぁー!?」


 大袈裟に驚くと彼女は無表情で

こちらを見つめてきた

…なんだよぅ


「まぁ、いいわ

面倒だから身分は隠してるの

そういう意味では似てるんじゃないかなーって

勝手に思っててね」


「え?」


「ごめんね迷惑だよねほとんど知らないやつに

勝手に似てるとか言われて…」


「いや、そんなこと…

むしろ僕もそう思ってたから嬉しいです!」


 彼女はほんのり頬を赤らめながら

「そ、そう

隠せてないけどね…」


「あ!」

 そこで僕は失言に気づいた

似た境遇だと思えるのは

彼女の立場を知っているものだけだ。

まぁどうせバレているからいいのだが

この辺りは気持ちの問題である。


「まぁいい…

あなたが実力を隠してるのは知ってる

でも私も身分を隠してる

これで一緒…

大丈夫誰にも言わないから」


「一緒か…

えへへ…ありがとうございます…」


 彼女は未だほぼ無表情であるが

何故か頬をそめて、俯いていた


「助けてもらって嬉しかった……

ねぇ明日もきていい?」


「もちろん!

ほんとにありがとうございました。

めちゃくちゃ美味しかったです!」


 あまりに美味しかったので、

興奮してついオッケーしてしまったが、

嫌いなわけではないので構わないだろう。


「喜んでくれてよかった…

こっちのサンドイッチは没収…

明日から持ってこなくていいから」


「な、なんでですかー」

 うらめしそうに、伺うようにきいた。


「うぐっ」

 彼女はなぜか奇声をあげ、頬を染め俯いた後


 僕のサンドイッチをペロリと平らげ

「こんなの毎日食べてたら大きくならない……

明日から毎日私が作ってくるから」

「そんな!?そこまで頼めないですよ

毎日なんて」


「食べて……くれないんだ……」

 またお得意の技だ。

涙目でこちらを見上げてきた

ズルい…


「いや、そんな

嬉しいですけど

ほんとにいいんですか?」

「うん…最近メイドに教えてもらったの

作るの好きだから……一緒に食べよ?」


 彼女は身分は隠しているが

貴族も通う学校のため、

寮にメイドが同伴するのは許可されているのだ。

さらには寮にも種類がある。

僕の寮とは違い豪華なところに住んでいるのだろう。


「わーい」

 恥ずかしくてたまらなかったが誤魔化すように

僕が笑うと彼女も笑ってくれた。

こうして僕たちの昼休みが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ