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今日から学校と仕事、始まります。②莞

社蓄の深夜食はどーでもいい

作者: 孤独

働いている者と働いていない者が食べている物は同じだろうか?

答えは違う。

同じ飯食っているから同じという言い方、考えた方をする人は、たぶん。いや。十中八九で後者。


そもそも、そんな言い方が不自然なわけだ。俺はそんな言葉が嫌いだ。


働いている者は自由な食事なんて摂れないのだ。せめて、周囲の目を盗んでカロリーメイトを食うのだ。堂々となんか食えない。お菓子箱が横に置いてあっても、自由にとる者などほぼいない。

仕事疲れに来る空腹は結構、来る。その時に何かを食べたいとかの思考はなく。

なんでもいいから食いたい。それが脳を侵食する。できるなら早く出してくれるとこ

自由になんだって食えるようで、不自由なところもあるから。同じ飯と一緒にするなというものだ。


「ちっ……」


普段ならチェーン店に入る。だが、この深夜の時間帯はチェーン店も従業員の人数を減らして回している。クソムカつくとは言えないが、出てくる時間が昼間と段違いだ。

コンビニで弁当も悪くはないが、外で食うのはマナーが悪い。というか、寒くなる外で食うほど健康に自信はない。せめて、夜風を凌げる温かいところで食事をとりたい。それにたぶん。自宅で食おうとするから、空腹のまま帰宅するのは睡眠に支障が出る。

駅前だし色々ある。

そろそろこっちも閉店間際だ。テキトーな店のテキトーな料理でいい。多少高くても、この頭がボーっとする状況から解放されたいのだ。別に寒くないのに、手足が栄養不足で震えているのだ。ガッツリと働くための朝食を準備するためにも、夜の食事を早く取りたい。帰宅が丁度いいクールダウンにもなる。


「ここにすっか」


長々とした思考も、いい加減ウンザリ気味に。ちょっとした高級な洋食店を訪れる。個人店だろうか。あんまり聞かない店名だが、もう頭が思考を追いつかない。


「いらっしゃいませ。ラストです」


何が残っているか分からない。

それとちょっと騒がしい。よく周りの声の中身が聴こえないが、合コンでもやっているのか。仕事終わった男女が盛り上がっている。

メニューを開いても、値段も1000円ぐらいのものでお高め。さすがに高いが、関係ない。匂いもしていたし


「ビーフカレーで」

「あー、すみません。ビーフカレーはもう終わっちゃいまして」


……ま、こーいう事はよくある。


「何があります?」

「そうですね。店のまかないがあるんですけど……どーです?」

「それでいいよ」


そして、こんな事もある。たまたまの偶然なんだろう。気が利くお店でよかった。

7分ぐらいと、ちっと時間が掛かってでてきたのは。ライスに申し訳程度に掛かったビーフカレーと、チョコレートみたいな◇の形をしたお菓子のようなもの。あとは一人前のサラダと言ったところ。

どれがまかないか分からなかったが、そんなものどーでも良かった。見た瞬間、よほどの味じゃなければ全部食い終える。そして、このイライラとモヤモヤがかかった思考から解放される。



ガツガツ


体の中に入れば、助かったという体の叫ぶ声が。徐々に消えて、旨いから、辛くて、甘くて、野菜食っててが分かってくる。

この深夜帯の食事は命と日常を懸けたものだ。常に助かっている奴には分からない。そんなことにはならない?……逆だよ。そーいう事を思い知るから、誰かの助けとなる仕事をしたいのだ。社蓄の考えだが、人間同士が思い合える程度にいい。


カツン


「ごちそうさま」


挨拶程度の事で、こんな飯食って、寝床確保して、休日は遊ぶんだ。



「ありがとうございました」


店を出た時、ようやくこのお店の名前をハッキリと覚えた。ちょっと高かったが、その値段には十分な食事だった。ビーフカレー、旨かった。まかないだろうチョコレートの方は頭を回すには良い甘さ。ドレッシングの味が強かったサラダ。


「今度は夕飯時に来るか」



仕事終わった時のご褒美を、たまたま増やした一日の終わりだった。


珍しく自分のお話しで登場人物の名前が出ませんでしたが、誰がやっているのかは分かりました。短編ではお初ですね。

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