こん恥じ
「行ってきます。母さん」
「行ってらっしゃい。祐樹。しっかりね」
「わかってる」
今日、4月6日は弥生中学校の入学式であり、僕は今日から中学生として入学するのだ。
「祐樹ー。早くしろ、しょっぱなから遅刻するぞ」
「わかってる。ちょっと待って。真司」
幼稚園のころからの親友の真司である。今年も同じ中学校だ。
「お前、何部入るんだ?」
「真司は?」
「俺はもちろんサッカー部だ。子供のころからやってたし」
「やっぱり真司はサッカーか。俺、どうしよっかな?」
そう、弥生中学校は、入学式の日に部活説明会がある。
「入学おめでとうございます。今年もたくさんの生徒が入学してくれて先生ほっとしてますーー」
「校長の話長いな」
「どこの学校も長いだろ」
「そんなことより、やっぱ俺たち同じクラスか」
「これで10年連続か。もう腐れ縁の枠超えてないか」
なんだかんだ話しているといつのまにか校長の話は終わっていた。
教室は、1-D。席はさすがに離れていた。まずは、友達作りから始めるか。まあ、疲れたし少し寝るか。
「後藤君。後藤君。起きて」
「んん・・・。誰?」
「隣の席の佐藤 香織です。1年間よろしくね」
「あー、よろしく。えーと、佐藤さん」
よかった、友達ができそうだ。まだ一人だけど。
「席に戻れ!今日から1年間1-Dの担任をする神田だ。よろしく。さっそくだが、お前たちには部活を決 めてもらう。今から配るこのプリントに入りたい部活を書け」
「後藤君は何部入るの?」
「実はまだ決めてないんだ。佐藤さんは?」
「私も実は決められてないんだ」
「とりあえず、何があるのかみたいな」
神田先生が配ったプリントを見たとき驚愕した。僕の大好きなプラモデル部訳してプラ部があるではないか。
「佐藤さん。僕、プラ部に入るよ。プラモデル好きなんだ」
「へー、プラ部か。て、後藤君」
「え、何?」
「この部活プラ部だけど、プラモデルじゃーー」
「佐藤さんと後藤君うるさいですよ」
「ごめんなさい先生」
結局何だったんだろう。
ここがプラ部か。
「失礼します。1-Dの後藤 祐樹です。よろしくお願いします。実は、僕プラモデルが大好きでここに入 部させて・・・て、ここはなんですか。プラモデルの一つもないじゃないですか」
「君は何か勘違いをしてないか。ここはプログラム部。訳してプラ部だよ」
「マジ?」
「マジ」
「失礼しまし・・」
「ちょっとまってせっかく来たのなら少しは体験してってよ」
「いや、僕プログラミングなんてこれっぽっちもわかりませんよ」
「それでもいいから、ぜひ見てって」
「わかりました。しかし、条件があります。もし、僕が少しでもプログラミングを面白いと思ったらこの部活に入りあす。でも、面白いと思わなかったら、僕に部活案内してください。いいですね」
「・・・わかった。では、さっそく僕が作ったゲームを見てみて」
「これは、シューティングゲームですね。これを一人でですか?」
「もちろん一人だ。部員が俺以外いないからな」
「どうやって作ったんですか?」
「これは、Javaを使っているんだ」
「へー。よくわかんないけど簡単にできるの?」
「簡単ではないけど勉強すれば簡単にはなるんじゃない。というわけでプラ部に入ってくれるか?」
「嫌だ。勉強するの大変だし。というわけで部活案内よろしくお願いします」
「ちょっと待ってくれ。ちょっとはすごいとは思わなかったか?」
「確かにすごいとは思いましたがプロモデルの方が好きですし」
「一つ言っとくがこの学校にプラモデル部はないぞ」
「え!じゃあ、この部活に入ってあげないわけでもないけど」
なんてことだ、プラモデル部がない。
「これが入部届だ」
「わかりました。これからはプラ部の一員として頑張ります」
こうして後藤 祐樹の中学生生活は始まった。