緑はもえて
緑はたしかに
もえていた
緑にもえた
あの駅
あの山
あの町
光をたらふく
食みながら
風の調子にのって
花のことなど
忘れろ、と
緑はもえあがった
空と手をくんで
花のことなど忘れろ、と
緑はもえあがった
気まぐれな雨が通りすぎ
緑は益々広がり
何かも覆い尽くす勢いで
まぶしくもえあがった
緑に負けじと
紅い花黄色い花が
日に向かって身を広げる
日は隔てなく光を注ぐ
緑は
ひたすらの緑で
精一杯の生をもやす
華やかに負けない
輝きをもって
生を分け与え
清々しく
もえつづける
いつから
いつまで
気にすることもなく
ただひたすらに