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お前ら!武器屋に感謝しろ!  作者: ポロニア
第三章 異端の女

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40/206

第40話 学院の平和を護れ!

す、すいません。40話と41話はヘタクソ過ぎです。直す予定ですが、生温かい目で読んでやって下さい。筋は変わりません。


2013.12.29

 長年の悩みが解決した上に空腹まで満たされて気分の良くなった私は、気の向くままにあちこちを見て回った。


「うーん。そろそろ行かなくちゃ……」


 見るべき名所は無限にありそうな学院都市だが、先ずは私が魔導学院に入学するに相応しいか、『戦闘訓練所』という施設で能力を測定してらわなくてはならない。

 実に名残惜しいが、好奇心を満たすのは魔導院に行った後にしよう。


 学院都市の南北に走る「アベニュー」と東西を繋ぐ「ストリート」が交差する地点には、詳細な案内地図が立てられている。ボタンを押すと行きたい場所が光る、この便利な壁地図のおかげで道に迷う事は無かった。

 こうした便利な物を自由に発想し、柔軟に取り入れる所が人間族の美点であり、特性だと思う。エルフ族は変化を望まないので、こういった利器を取り入れようとしない。実に残念な事だ。

 目印の魔導塔は遠くから見ても巨大な建築物だったが、近くで見上げると威圧感すら覚えた。その麓には魔導院の研究棟や図書館などの施設が立ち並んでいる。どの建物も大きいはずなのに、魔導塔の高さは遠近感すら狂わせる。


 学院都市では殆ど人間族しか見かけなかったが、学院の中は様々な種族の坩堝(るつぼ)だった。

 低い身長ながらも頑強な体格のドワーフ族、猫人間としか形容出来ない猫人族(ウェアキャット)、または犬人族(ウェアドッグ)などの獣人族(セリアンスロープ)、同族のエルフたち。

 ふと視線を感じると、そこには同族の目があった。冷たい視線と動かない耳。

 だが、もう気にする事は止めだ。ここは森では無い。エルフの郷でも無い。ここは学院都市、そして私は私。私は日に焼けたエルフなんだ。





 戦闘訓練所での「ステータス鑑定」は、まるで厳粛な儀式のようだった。私の周りを六人のステータス鑑定師たちが取り囲み、各々の「能力」を司る神に祈りを捧げている。

 歌のような詠唱が劇場のような円形の部屋に響いた。エルフの乙女たちの森と泉を讃える歌も確かに美しい歌であったが、男女が織りなす混声合唱は、また違った美しい響き。


「久々に凄い数値が出たぞ。これほどの数値、何年振りだ?」

「速さの数値が人間離れしているな。あ、エルフだったか」

「新入生とは思えない数値ね」

「力の数値を見ろ。女の子とは思えない。あ、聞こえちゃったかな?」


 私のステータス数値は、「生命力」と「運」以外は高めのようだった。

 ステータス鑑定師たちの説明を受けた後は、職業適性検査だ。


 私の希望する職種(クラス)は、やはり「騎士」だ。黄金の聖槍を携えた「金色の戦乙女」のイメージが頭から離れない。だが、たまたま『ステータス鑑定』に立ち会っていたレンジャー科の教官に勧誘され、断わりきれずに『レンジャ―』の適正検査だけは受けてみることになった。


 「レンジャー」は、とどのつまり「猟兵」の事を指す。正面攻撃を是とする「戦士」や「騎士」などの違い、主に側面攻撃、後方支援を得意とする「弓兵」の性格を持つ。攪乱や偵察を得意とし、(トラップ)を仕掛けたり、その逆にトラップ解除も得意とする万能職種(クラス)だ。

 レンジャーには、「力」や「速さ」のステータス数値が重視されるそうだが、私の持つステータス数値は、必要とされる数値を大幅に上回っていた。


 まずは限られた道具を使って即席の罠を作る試験を受けた。五種類程度の金属とバネで作ったトラバサミを作ってみせたら、人間族の教官に(しき)りに関心された。獲物を獲るときの罠を応用しただけなのに。私からしてみたら、人間族の創意工夫の方がよっぽど凄いと思う。


 次はレンジャーの主武装ともいうべき弓の試験だったが、弓の扱いは我らエルフ族の御家芸といっても過言では無い。およそ荒事に向かないお姉様でも、狙った的はそうそう外さない。

 私は短弓が得意なのだが、手渡されたのは長弓だった。だが、試験内容に文句は言えまい。


「え? こんなに的が近いのですか?」


 射場に案内されて驚いた。的が近すぎるし大きすぎる。これではかえって外しそうだが、仕方が無い。矢の数は五本のうち三本的中させれば合格だという。こんなの簡単過ぎやしないか?

 三連射の後、同じところに矢を当てすぎて的を破壊してしまった。


「君はレンジャーになる為に生まれてきたんだよ!」


 的を壊した事を謝罪したつもりが、レンジャー科の教官から改めて熱烈な勧誘を受けてしまった。


「今なら桃色のポジションが空いている。女の子の固定ポジションだ!」


 赤い制服を着た教官が熱く語る。桃色とは何の事だろうか。女性レンジャーの制服の色だろうか?


「だが、君なら女性レンジャー初の黒色のポジションも似合いそうだ。どうだい? 僕らと一緒に学院都市の平和を護らないか!」


 私は学院都市の平和を護る為に森を捨てたのでは無いので、折角の申し出だったが丁重に断った。

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