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八雲レポート  作者: 和尚
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病院と流れ星

どうもはじめまして。『バカとキセキと恋姫†無双』の方で会ったことある方はこんにちは、和尚です。

このたび、この空想科学祭2010に参加させていただきました。いや~……無謀ですね。


別の小説でコメディーは書いてるんですが、SFはこれが初めてです。

スロースタートで登場人物が出てくるのが遅かったり、話の長さがバラバラだったりと、至らぬ点も多々あるかとは思いますが、暇な時にで結構ですんで、なにとぞお付き合いくだされば……と。


それでは、『八雲レポート』、ごゆるりとお楽しみください。


 床……白い。

 壁……白い。

 天井……やっぱり白い。

 どこもかしこも白。清潔感がある色、って理由で、建設当時に設計されたらしいんだけど、私……あんまり好きじゃないな、この色の、この病院。

 何でって……そりゃまあ、理由は色々あるよ? 汚れが目立つとか、けっこうすぐに黄ばんじゃうとか(現在進行形で)

 ……でも、一番の理由は……


「………すぅ………すぅ……」

「………………」


 穏やかな寝息を立ててベッドの上で寝てる、青葉の赤い顔色が映えるから……かな。


 私の弟、常磐(ときわ)青葉(あおば)。中1。2日前から……病気で寝込んで、入院中。何の病気かって? こっちが知りたいよ、そんなの。

 顔が、額から首のあたりにかけて異常に赤くなってて、けど特に腫れてるわけでも、皮下出血してるわけでもない。熱は……今は平熱だけど、ピーク時は40度オーバーだった。おまけに、視界がかすむとか何とか言ってたっけ……。

 医者は、解熱剤で熱が下がって『もう大丈夫』とか言ってたけど……絶対違う自信あるし。

(あれ絶対……風邪とかの苦しみ方じゃないよ……)

 発症したその瞬間を間近で見た私は、そりゃもう怖かった。このまま青葉が死んじゃうんじゃないかってくらい、すごい苦しみ方だったもん。顔なんて、みるみるうちに赤くなっていって……。

 それから青葉は救急車でここに運ばれて、処置を受けた。咳とか熱とかは薬が効いて収まったけど……この、周囲の白い色に映えてしまう赤い顔色だけは治る気配無し。お医者さんは何かの炎症だろうから直に治るとか言ってたけど、そうは思えない……だって、炎症なら腫れるじゃん?

 とは言うものの、嫌な予感だけが根拠の医学系知識ゼロの私の反論なんか通るはずもなく、青葉の病名は『風邪』で決まった。とりあえず入院、炎症が収まり次第退院……ってことになったけど……。何でだろう? この赤い顔色が肌色に戻る様子が想像できない……。

 やっぱりさ、これ……

「常磐さん? もう面会時間終わりましたよ?」

「えっ? あ、はい、すみません……」

 あれ、もうこんな時間? やれやれ……タイムアップかあ。

 病室で1人ボーッとしてた私に、見回りの看護婦さんが声をかけてくれて、ようやく我に返る。青葉は……とっくに寝てるし。幸せそうな寝顔……。この顔だけ見てると、病気って風には見えないのよね……まあ、みんなそう言ってるし、そうであってほしいんだけど……。

「私の考えすぎ……なのかな……?」

 誰に尋ねるでもない独り言を呟きつつ、私は荷物をまとめて帰る支度をした。明日また来よっと……。

 ……と、

(ん?)

 ふと、窓の外に視線を向けた私の目に、あるものが映った。

 すぐ近くにある海に、うっすら見える、風情のある(?)砂浜。すっかり暗くなった空。と言っても……そこら中に街灯やらネオンサインやらあるから、あんまり暗い感じはしないんだけど。ま、一応黒いことは黒い。暗黒。

 その、墨汁ぶちまけたみたいに黒い空に、一筋の光が……飛行機? いや、それにしちゃ速いような……

(もしかして……流れ星!?)

 わぁ、びっくり。私のこの17年の人生で初めて見た。ホントにあるんだな……ちょっと嬉しい。嬉しいついでに……おとぎ話なんかにあるみたいに、願い事の1つも叶えてくれない、流れ星さん?

(……青葉が元気になりますように……)

 気付くと、合掌して星に祈っているところだった。やれやれ、小1でサンタの正体を見破ってお父さんを落胆させた私が、まさか、こんなに真剣に迷信に祈る時が来るなんてね……自分でもおどろいた。ま、気休めにはなるかな。

 それにしても、なんだかずいぶん長く見えてる流れ星ね……相当大きいのかな? まだ燃え尽きないと見える。

 輝きを保ったままどんどん高度が下がって……あれ?

 え、ちょっと、それ以上はホントにその、落……


(……っ!?)


 落ち……た……?

 え、もしかして、あの位置は……海岸のあたり!? マジで!?


「あ、今帰りですか、常磐さん。お気をつけ……と、常磐さん!?」

 看護師さんが疑問系で返すのも当然なくらいのスピードで私は病院内を疾駆し、外に出た。あ、忘れ物無いか確認し忘れたけど……ま、いっか。明日また来るし。

 それよりも……今は流れ星! っていうか隕石!

 確か、隕石ってマニアさんとかその手の研究機関には高く売れるって聞いた。欠片とかでも手に入れば……青葉の治療費の足しになるかも! いや、風邪だしそんなかからないんだけど……念のため!

 と、とにかく急ごう! 他の人が来るかもしれないし、是非その前に私が!


 え、私? 自己紹介!? ああ、確かにしてなかったけど……今? ああもう急いでるのに!



 私は、常磐(ときわ)若葉(わかば)! 17歳! 高2! よろしく!


 じゃ、急ぐから!




とまあ、スロースタートですが、これ以降のお話もぜひ。


それと、1つ連絡を。

全部の話をスムーズに読んでいただくことを考え、基本的にこれ以降、各話に前書き、あとがきはつけません。全体通してのあとがきを最終話に掲載しておく予定です。


それでは、これ以降もごゆっくり。

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