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夜、ヤンキーと遭遇

作者: WAIai
掲載日:2026/07/11

俺が塾を終えて帰り道を歩いていると、急に電話が鳴った。


「誰だ?」


相手を見れば、母親だった。


「もしもし」

「もしもし」


母親の声は甲高く、耳元からスマホを外すと、

「何?」

とつんけんどんに聞く。


すると母親は慌てた様子で、

「牛乳とパン、買ってきてくれない? 買うのを忘れちゃったのよ」


「分かった。コンビニでいい?」

「OK」


短いやり取りを終え、俺はLINEを見る。

彼女からメッセージがきており、

「終わった? 大丈夫?」

と心配するものだった。


俺は1人でにやりと笑うと、LINEをうち返す。


「大丈夫。これからコンビニに寄るところ」


速く打つと、歩いて行く。

周りは空よりも明るく、1人で歩いても平気だった。


彼女からLINEが返ってきて、

「早く話したいよー!!」

というものだった。


俺は頰を緩めると、返事を後にする。


コンビニに到着したのだが、入口の周りにはヤンキー達がたむろしていた。


俺と同じくらいか、それとも上くらいか。


しかし俺は怖いとは思わなかった。

ヤンキー達もこちらを見たが、すぐに顔をそらす。


俺の顔は強面だからなと1人で完結させると、ヤンキー達の間を抜けてコンビニに入る。


「牛乳とパン」


店内を探すと、すぐに見つかり、ついでに自分のスイーツも買う。


「ありがとうございました」


店内を出ると、ヤンキー達はまだいて、何か喧嘩しているようだった。

理由は不明だが、掴みかかっているので、俺は一瞬、どうしようかと思い迷ったのだが、仲裁に入ることにした。


「ちょっと待った!!」


両手を広げ、2人を離そうとすると睨まれる。


「何だよ、お前」

「何でもいいだろう? それより店に迷惑がかかるから、喧嘩はやめておけ」

「こいつが悪いんだよ」

「何!! お前が悪いんだろう」


2人がまたぶつかり合っているので、俺は困ったと思ったその時、ぐうとお腹の音がした。


犯人は女の子らしく、恥ずかしそうにお腹を押さえている。


俺は自分の彼女の顔に見えてしょうがなく、買い物袋からスイーツを取り出す。


「食え。お腹が空いているんだろう?」

「え、でも」

「いいから食え」


押しつけると、ヤンキー達はやる気がそがれたのか、空気が穏やかなものになっていた。


ヤンキーになるにも、人には言えない理由があるからなと思い、俺は何も聞かなかった。


するとリーダーなのか、1人が話しかけてくる。


「サンキュ。助かる」

「おう。困った時はお互い様だ」


俺はお人好しだなと思いつつも、はっきり答える。


ヤンキーの連中も悪い人間ではないらしく、リーダーが頭を下げると、皆、頭を下げてきたのだった。


「じゃあ、俺はこれで」


立ち去ろうとすると、リーダーが話しかけてくる。


「俺のLINE、教えてやる」

「え? 何で?」

「困った時はお互い様なんだろう? 何かあったら呼べ」

「そういうことか」


俺とリーダーは、グータッチすると、スマホを互いに取り出し、LINEを交換する。


「ありがとうな」


礼を言うと、スマホが鳴った。

ビデオ電話らしく、俺の彼女が顔を出してくる。


うわ、今はまずいんだけど、と思ったが、嬉しくてつい出てしまう。


「わー!! お疲れ様!!」

「ありがとうな」


少しはにかむと、リーダーが覗き込んでくる。


「誰?」

「俺の彼女。可愛いだろう?」


素直にうなずくリーダーの肩を叩く。

彼女もびっくりした顔をしており、声をかけてくる。


「誰かと一緒なの?」

「今、仲良くなったところ。いい奴だから警戒するな」

「うん」


彼女はこくりと可愛く、うなずいてくる。


「俺の彼女、うさぎみたいに可愛いだろう?」

「そうだな。仲が良いのか?」

「おう。お前の恋人は?」

「今、スイーツをもらった奴がそう」

「なるほど」


納得していると、スイーツを持った彼女が、恥ずかしそうに俯く。


「大事にしてやれよ」


そう言うと、俺はヤンキー達と別れたのだった。

ビデオ電話は続いており、彼女が戸惑っているのが分かる。


「また後で連絡するから。切るぞ」


彼女はバイバイと手を振ってきて、電話が終了する。


俺は牛乳とパンを持った手を上げ、歩くのだった。

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