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アオハルOSKラブコメ(梅花藻の咲く川)  作者: 湯豆腐タロウ
8/14

ひとり旅と沈黙の夜


その日、電話のベルが鳴ったのは、日が暮れる少し前だった。


僕は歯科技工所での仕事を終えて、下宿に帰ったばかりだった。精密な作業で目が「ショボショボ」していて、夕食を済ませて「ほっと一息」ついていたところだった。最近は仕事にも慣れて、先輩からも「まあまあ使える」扱いになってきていた。でも、充実感の一方で、何かが足りないような、そんな「モヤモヤ感」も抱えていた。


僕たちが付き合い始めてから、もう一年半が過ぎていた。最初の頃の「ドキドキMAX」は薄れて、でもその分、お互いのことがよく分かるようになっていた。舞は明るくて人懐っこいけれど、時々「一人タイム」を欲しがることがある。そんな彼女の「マイペース」な一面を、僕は少しずつ知るようになっていた。


舞の方は、大津市のスイーツカフェで働き始めて半年が経っていた。最初は慣れない環境に「おろおろ」していたようだが、だんだん仕事にも慣れ、お客さんからも「あの可愛い子が作ったケーキ」と評判が良いと聞いていた。


下宿の廊下に響く、黒電話の「リリリーン」という音。受話器を取ると、舞の声がした。


「お疲れ様。今日、仕事どうやった?」


いつものような挨拶から始まったが、舞の声にはどこか「何か企んでる」ような緊張があるように感じられた。


「まあまあかな。舞は?」


「うん、今日はケーキの注文が『大量発注』で、忙しかった」


しばらく「お疲れ様トーク」をした後、舞が突然「爆弾発言」を投下した。


「今ね、高知の中村市に行こうと思ってる」


一瞬、何を言われたのか「理解不能」だった。高知は僕の故郷だ。でも、なぜ舞が一人で高知に「遠征」しようとしているのか。


「え、ひとりで? 『単独行動』?」


「うん。前から行ってみたくて。土佐くろしお鉄道っていう線、見てみたかってん」


土佐くろしお鉄道――高知市から中村市、そして宿毛市まで続く「のんびりローカル線」だった。僕も子どもの頃に何度か乗ったことがある。太平洋沿いを走る美しい路線だが、なぜ舞がそこに「ピンポイント」で興味を持ったのか分からなかった。


最近の舞は、時刻表を眺めることが「趣味レベル」になっていた。休憩時間に小さな時刻表を見て、知らない路線や駅名を「研究」している。「どこか遠くに『冒険』してみたい」と言うことも増えていた。


その言葉に、思わず声が「ツンツン」になった。


「……なんで、ひとりで行くん? 俺、『お荷物』?」


舞は少し間を置いて、「……なんでって、行ってみたかったから」と答えた。


「でも、俺の地元やで。一緒に行ったら『地元ガイド』できるのに」


「そうやないけど…でも、一人で行ってみたいねん」


理由なんて、それだけでいいのかもしれない。でもその時の僕は、心の中に広がっていく「不安アラーム」に言葉を奪われていた。なぜ僕を誘わないのか。なぜ一人で行きたがるのか。


「一人で行って、何するん? 『野生動物』と戯れるん?」


「特に何かするわけやないけど…電車に乗って、知らん町を歩いて、その辺のお店で『グルメ探検』して」


「それだけ? 『それだけのために』高知まで?」


「それだけ。でも、それがしてみたいねん」


舞の声には、確信があった。まるで、ずっと考え続けてきた「人生計画」を話しているような。


「危ないとか思わんの? 『迷子になったら』どうするん?」


「思うよ。でも、それでも行きたいって『ウズウズ』してる」


その言い方が、どこか「意志の固まり」みたいにきっぱりとしていた。まるで、僕の反対を「想定内」として予想していたかのような。


「いつ行くん?」


「来週の休みに。二泊三日で『プチ冒険』」


「宿は?」


「中村の駅前のビジネスホテル『予約済み』」


もう全部「計画完了」しているようだった。僕が心配することも、反対することも、彼女の計画には「織り込み済み」なのだろう。


「何でそんな急に? 『思い立ったら即行動』?」


「急やないよ。前から『温めてた』」


「俺には何も言わんと? 『秘密作戦』やったん?」


「今、言うてるやん」


舞の声が、少しだけ「ツンデレモード」に聞こえた。


僕は何も言えなくなった。電話の向こうで、小さな「ため息」だけが聞こえた。


「また戻ったら電話するね」


それだけを言って、彼女は電話を「ガチャン」と切った。


電話の音が消えたあとの静けさが、やけに「重たい空気」だった。僕の部屋の窓の外では、夕暮れの色がゆっくりと紺に変わっていた。街の向こうから、帰宅ラッシュの車の音が微かに「ブンブン」聞こえてくる。


どうしてこんなふうになってしまったのだろう。舞は、あんなに「べったり」そばにいてくれたのに。いつからだろう、彼女の言葉の奥に、僕の届かない「秘密基地」が生まれ始めたのは。


最初の頃は、何でも「相談会議」で一緒に決めていた。どこに行くか、何を食べるか、どんな映画を見るか。そんな小さなことから、将来の話まで。でも最近は、舞が「独断専行」で決めることが多くなっていた。


仕事が忙しくなって、会う頻度も「激減」していた。電話の回数も少なくなり、話す時間も「短縮バージョン」になった。でも、それは「大人の事情」だと思っていた。お互い社会人になって、責任も増えた。恋人同士とはいえ、すべての時間を「べったり」共有できるわけではない。


でも、舞の一人旅の話は、そんな単純な理由ではない気がした。


僕は冷蔵庫からビールを取り出して、一人で「やけ酒」した。普段はあまり飲まないが、今夜は飲まずには「やってられない」。


舞の一人旅のことを考えていると、胸の奥が「ズーン」と重くなった。なぜ僕は素直に「気をつけて」と言えなかったのだろう。なぜ彼女の「冒険心」を応援してあげられなかったのだろう。


でも、正直に言えば、「ビビって」いたのだ。舞が一人で遠くに行ってしまうことが。そして、その旅で何かを見つけて、僕のいない世界の方が「楽しすぎる」と思ってしまうことが。


最近の舞は、確かに「バージョンアップ」していた。以前のように何でも「報告・連絡・相談」してくれなくなった。一緒にいても、どこか「心ここにあらず」という感じがすることがあった。そして、時刻表を眺める時間が「趣味レベル」で増していた。


僕の知らない舞がいる。そのことが、「不安MAX」でたまらなかった。


数日が過ぎても、舞からの連絡は「音沙汰なし」だった。僕も、電話をかける勇気が「完全消失」していた。何を話せばいいのか「お手上げ状態」だった。


仕事中も、舞のことを考えていることが「激増」した。細かい技工作業をしている時でも、ふと彼女の顔が「フラッシュバック」してくる。先輩に「最近、『ぼーっと』してるな」と注意されることもあった。


一週間が過ぎた。舞は、予定通り高知に「出発」したのだろうか。今頃、土佐くろしお鉄道の車窓から太平洋を眺めて「絶景やん!」と感動しているのかもしれない。


## 帰還報告とモヤモヤ


数日後、下宿の管理人のおばさんから「電話やで~」と呼ばれた。仕事から帰って、夕食を済ませたばかりの「お疲れタイム」だった。


「ただいま~」


舞の声は、変わらず柔らかかった。でも、それは”報告書読み上げ”のようにも聞こえた。


「高知、どうやった?」


「すごくよかった。海が『絵画レベル』できれいで、電車も『最高の乗り心地』やった」


舞の声には、充実感が「満載」だった。一人旅を成し遂げた満足感が、電話越しにも「ビンビン」伝わってきた。


「中村の街も、思ってたより『都会』で。四万十川も見に行ったよ」


「そうか」


僕は「複雑怪奇」な気持ちだった。舞が楽しい時間を過ごせたことは嬉しい。でも、その楽しさに僕が「蚊帳の外」だったことが、なんだか「寂しさMAX」だった。


「一人やったから、自分のペースで『自由自在』に回れて。誰にも気を遣わんでええし」


その言葉が、胸に「グサッ」と刺さった。僕と一緒にいると、「気遣い疲れ」するということなのだろうか。


「電車の中で、色んな人と『フレンドリー』に話したりして。地元のおじいさんとか、同じように一人旅してる『同志』とか」


舞の話を聞いていると、彼女が新しい世界を「大発見」したことが分かった。僕の知らない「別人格の舞」が、そこにいた。


「今、実家にいるよ。よかったら、『お疲れ様会』に来る?」


僕は迷った。だけど、会いたい気持ちに「抗えない」。


「行ってもいい?」


そう答えると、舞は少しだけ間を置いて「もちろん」と言った。


## 醒井での微妙な空気


翌日の夕方、僕は醒井に「参上」した。電車の中で、舞にどう接すればいいのか「作戦会議」していた。怒っているわけではない。でも、何か言いたいことがあるような、ないような「微妙ゾーン」。


前と同じように醒井駅で待ち合わせ、地蔵川を渡った。季節はもう夏の終わりで、川面に咲く梅花藻も少しずつ花を「お疲れモード」にしていた。でも、水の透明度は相変わらず「クリスタル級」で、川底の石がくっきりと見えた。


「梅花藻、もうすぐ『シーズン終了』やなあ」


「そうやね。でも、まだ『頑張ってる』やん」


そんな他愛もない会話をしながら歩いたが、どこか「ぎこちない感」があった。


舞の様子も、いつもと少し違っていた。どこか自信に満ちているような、一回り「レベルアップ」したような印象があった。一人旅を成し遂げたことで、何かを「ゲット」したのだろう。


実家に着くと、お母さんが笑顔で「いらっしゃ~い」してくれた。


「よう来てくれたね。さあ、上がって」


「舞ちゃん、高知の旅行の話、聞かせてもらったよ。すごいやんか、『女一人旅』で」


お母さんは舞の冒険を「誇らしげ」に思っているようだった。


「最初は『ハラハラドキドキ』やったけど、ちゃんと楽しんで帰ってきてくれて、『ホッとMAX』したわ」


夕食の時、舞は高知での体験を「実況中継」してくれた。土佐くろしお鉄道の車窓から見える太平洋の美しさ、中村の街で食べた皿鉢料理、四万十川の清流。


「電車の中で知らん人と『トーク』したりして、それも楽しかった」


「へえ、どんな人?」


「地元のおじいさん。昔の中村の『昔話』とか聞かせてくれて」


舞の表情は「キラキラ」していた。一人旅での発見や感動が、彼女を「輝かせ」ているようだった。


「ホテルも、思ってたより『ハイグレード』で。朝は太平洋が見える『絶景レストラン』で食事して」


「一人で食事するのは、『寂しくて死にそう』にならんかった?」


「最初はちょっと『照れ照れ』やったけど、慣れたら全然『余裕のよっちゃん』やった。むしろ、誰にも気を遣わんでええから、『リラックスMAX』できた」


また、「気を遣わん」という言葉が出た。僕は、舞にとって「気遣いが必要な重荷」なのだろうか。


「四万十川では、カヌー体験も『チャレンジ』したんよ」


「一人で? 『危険じゃない』?」


「インストラクターの人と一緒やけど。めっちゃ『アドレナリン全開』やった」


舞の話を聞いているうちに、僕は彼女の知らない一面を見ているような気がした。積極的で、好奇心旺盛で、一人でも「バリバリ」楽しめる女性。それは、僕の知っている舞とは「別人レベル」で違っていた。


その夜も泊まることになり、前と同じように「豪華ディナー」をご馳走になり、客間に布団が敷かれた。


でも、空気はどこか「微妙な雲行き」だった。


布団に入り、襖越しに聞こえる舞の寝息を聞きながら、僕は目を「パチパチ」状態で閉じることができなかった。舞の一人旅の話を聞きながら、僕は彼女がどんどん「宇宙の彼方」に行ってしまうような気がしていた。


## 翌朝の爆弾発言


翌朝、朝ごはんのあとに舞がふいに「爆弾投下」した。


「今度、優くんのとこに泊まりに行くって言ったけど……泊まれへんかもしれへん」


僕は、驚いたふりもせず、ただ「やっぱりな」とうなずいた。薄々「予感」していたことだった。


「そっか」


「ごめん」


舞は何かを「告白」したそうにしていた。でも、僕が目を合わせなかったからか、そのまま「沈黙モード」になってしまった。


「仕事が『激務』になるん?」


「それもあるけど…なんか、ちょっと『一人タイム』が欲しくて」


正直な答えだった。でも、その正直さが余計に胸に「ズキーン」と響いた。


お母さんが「ゆっくりしていき」と言ってくれたが、僕たちは午前中に実家を「退散」した。


醒井駅までの帰り道、地蔵川の橋の上でふと立ち止まった舞が言った。


「この前の旅、『最高レベル』で楽しかったよ。電車って、やっぱりええな。誰も知らん町に着くの、ちょっと怖いけど、『ワクワクMAX』する」


「……うん」


それだけしか言えなかった。舞の気持ちは分かるが、素直に「共感MAX」することができなかった。


「優くんは、一人旅したことある?」


「ううん、ない」


「してみたら? きっと『人生変わる』よ」


舞は僕を励ますように言ったが、その言葉がなぜか「距離感」を感じさせた。


「一人も良いのは分かるけど、俺は大好きな舞と一緒に『思い出作り』したいな」


「そうだね…でも…私は一人の時間も『めっちゃ大事』やねん」


舞は窓の外を見ながら、どこか「遠い世界」を見つめるような表情を浮かべた。


「舞は、俺と一緒にいるのは『窮屈』?」


思わず「ストレート」に聞いてしまった質問に、舞は少し「びっくり顔」をした。


「そんなことないよ。ただ…」


舞は少し考えてから、ゆっくりと口を開いた。


「優くんと一緒にいると、優くんに『合わせモード』になってしまう自分がいるの。それが悪いってわけじゃないけど、たまには『素の自分』だけの時間も欲しくなるねん」


その言葉に、僕は胸の奥が「ギュッ」と締め付けられるような感覚を覚えた。


「舞の一人での旅行も『応援団長』になるよ。でも、俺は舞と旅行して『思い出コレクション』も作りたいから…」


僕は舞の目を見つめながら、正直な気持ちを「全力投球」した。


「優くん…」


舞は少し困ったような、でもどこか「嬉しそう」な表情を浮かべた。


「一人旅も、二人旅も、どっちも『大切な宝物』やと思うねん。違う良さがあるから」


舞は僕の手を軽く「ぎゅっ」と握った。


「今度、短い旅行やったら『カップル旅行』しようか。そのあと、私も一人で『冒険』してみる。そしたら、お土産話も『交換会』できるし」


その提案に、僕の心は少し「軽やか」になった。舞なりに、僕の気持ちも「配慮」してくれているのが分かる。


「それなら、どこに『探検』しに行こうか?」


「うーん、温泉とか『癒やし系』はどうかな?」


舞の顔に、久しぶりに屈託のない「満面の笑み」が戻った。


僕は誰かと一緒にいることで「安心感MAX」になるタイプだったが、舞は一人の時間を「必要不可欠」とするタイプだった。


電車に乗って、大津で「途中下車」した。


駅前の喫茶店でコーヒーを飲んだが、言葉は「少なめ」だった。時々、舞が何か「言いかけモード」になるのだが、結局「やっぱりやめた」と口をつぐんでしまう。僕も同じで、言いたいことは「山ほど」あるのに、うまく言葉に「変換」できなかった。


「最近、忙しい?」


「まあまあかな」


「体、『大事にしてよ』」


「舞も」


そんな「表面的トーク」しかできなかった。


喫茶店の窓から見える琵琶湖が、午後の光を受けて「キラキラ」輝いていた。美しい景色なのに、僕の心は「どんより曇り空」だった。


「また、『単独行動』するん?」


「うん、今度は北海道に『大冒険』してみたいな」


「北海道…俺も一緒に行きたいけど、舞は『ソロ活』がしたいんよね」


「北海道『超遠い』ね‥」


「遠いから行ってみたいねん」


舞の目が、「遥か彼方」を見つめていた。まるで既に北の大地の風景を「脳内再生」しているかのように。


一時間ほどして、舞が時計を見て「タイムアップ」と言った。


「そろそろ帰るわ」


立ち上がる舞を見て、僕は急に「不安アラーム」が鳴った。


「舞!俺、舞のこと『宇宙一』大好きやから!」


思わず「大声」で出してしまった言葉に、舞は振り返った。


「私も、優くんのこと『地球一』大好きよ」


舞は少し困ったような笑顔を浮かべて続けた。


「でも、大好きやからこそ、お互いの時間も『大切にしたい』ねん。優くんにも、私以外の世界を『発見』してほしいし」


「舞…」


「一人旅から帰ってきたら、いっぱい『土産話』するから。優くんも、何か新しいこと『チャレンジ』してみない?」


そう言って舞は「じゃあね」と小さく手を振って、会社の寮へ「帰還」していった。


僕は見送ったあと、背を向けた。


あの日の帰り道の空気は、どこか「重たい雲」みたいで、そしてやけに静かだった。電車に乗って大阪に向かう間、僕は窓の外の景色を「ぼんやり鑑賞」していた。琵琶湖の水面が夕日に照らされて、「ゴールド」に輝いている。美しい景色なのに、心は「曇天モード」だった。


夜になっても、僕の頭には舞の背中と、言えなかった言葉が「リピート再生」されていた。


なぜ、彼女の旅を、「全力応援」してあげられなかったんだろう。なぜ、心配するという形で、自分の不安を「ぶつけてしまった」んだろう。


ほんとうに守りたかったのは、彼女の自由だったのか、それとも、自分の心の「平和」だったのか。


僕は下宿の部屋で、一人ビールを飲みながら「人生相談」していた。舞の一人旅への憧れは、本当は「理解できる」。新しい場所で新しい発見をする喜び、知らない人との出会い、自分だけの時間を過ごす贅沢。


でも、それを素直に「応援団」になれない自分がいる。舞が一人で「充実MAX」な時間を過ごすことで、僕との時間が「つまらなく」感じられてしまうのではないかという「恐怖」。


そして、もっと深いところにある「大恐怖」。舞が一人旅を重ねるうちに、僕なんかいなくても「十分ハッピー」に生きていけると気づいてしまうのではないかという恐れ。


恋人として、僕は舞にとって「必要不可欠」な存在なのだろうか。それとも、彼女の自由を束縛する「重荷」でしかないのだろうか。


その夜、僕の部屋には「しーん」とした静けさだけが流れていた。


そしてその静けさは、これから長く続く夜の「プロローグ」でもあった。


窓の外では、大阪の街の明かりがいつものように「チカチカ」輝いている。でも、その明かりも、なんだか「遠い星」に感じられた。僕と舞の間に、見えない距離ができ始めていることを、その夜の僕はようやく「理解開始」していた。


翌日からも、「いつもの日常」が続いた。仕事に行って、下宿に帰って、一人で「寂しい夕食」を食べる。舞からの電話を「首を長くして」待ちながら、でも来ない電話に「ガックリ」する。


僕たちの関係に、何かが「進行中」だった。でも、それが何なのか、どうすればいいのかは、まだ「お手上げ状態」だった。


ただ、一つだけ「確実」なことがあった。舞が変わったのではなく、僕が舞の本当の姿を「発見」し始めたということ。そして、その本当の姿は、僕が思い描いていた舞とは「別人レベル」で違っていたということ。


愛するということは、相手の自由を「リスペクト」することなのかもしれない。でも、それは同時に、失うことへの恐怖と「正面対決」することでもある。


僕は、その恐怖にまだ「慣れていない」状態だった。


(この後、僕たちの恋愛に更なる「大波乱」が待っている…)

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