表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/19

どこへ行こう?

 朝の日差しの眩しさにふと、私は目覚めます。

 軽く目を擦り、重たい身体を起こして思いました。


「……やっぱり、夢の中なんですね」


 寝て起きたら現実世界、なんて事もあるかと思ったのですが、そんなことなかったようです。

 ならば夢の世界を楽しむ他ありません。

 そうなればやる事はひとつ。


「街探検です!」


 私はネグリジェを脱いで、普段着用しているドレスに着替えます。


「あれ……でも、流石に出かけるなら声をかけた方がいいのかしら」

「別にいいんじゃない?」

「そうですよね……! 自由にしてて構わないって言われ――」


 目が飛び出ました。なんと、カルアくんが隣に立っているではありませんか。


「おはよう、マリア」

「お、おおおはおはおは……」

「あはは、びっくりしてる」

「びっくりしますよ! 昨日はバルコニーに突然…っ夢でも怖いです!」


 私はそばにあった枕をぽいっとカルアくんに投げつけます。

 カルアくんは「おっと」と言いながらも、それをキャッチして笑います。


「ねぇねぇ、話戻そう。今日は街探検だよね?」


 一体誰のおかげで話が逸れたと思ったんです? とふくれっ面でカルアくんを見ますが、彼は気にもとめずに催促してきます。

 私は話を合わせるように、街探検の話題に戻ります。


「そう……ですね。今日は街探検に出かけます! 何があるかドキドキワクワクしますねっ」

「――ならさ、海辺の方とか行ってみるのはどう?」

「? 海辺、ですか? ……って、ここには海があるんですか!?」


 カルアくんの一声に、一気に目が輝くのが自分でもわかりました。

 なんということでしょう。私、海が大好きなんです。

 太陽に照らされてきらきら輝く海も、月明かりに照らされて不思議な感覚になる美しい海も、天候によって全く異なる顔を見せる海も、全部全部大好きです。


「どちらにあるのでしょうか!」

「あれ……。バルコニーから見えなかった? ここからなら右側に見えるはずだけどな」


 そう言ってカルアくんはバルコニーへ向かって歩き出します。閉じていたカーテンを横へくくると、窓を開きました。


「あ、ほらほら。あっちの方に小さく見えない? あれが海だよ」


 一歩先に出てカルアくんは指をさします。

 私も言われるがまま目線をそちらへ向けると、


「わ、わぁぁっ見えますね! 昨日は気づきませんでしたが、ちゃんと見えます! ……かなり遠そうですが」

「大丈夫だよ。夢だもん」


 カルアくんは問題ないよ、と呆気なく答えます。


「でも、本当に遠そうですよ……?」

「行ってみたらわかるって~。え!? もう着いた!? ってなるよ」

「本当に……?」

「本当だって」


 えぇ……と思いながらカルアくんを見つめますが、カルアくんは私の肩をべしべしと叩きながら「大丈夫大丈夫」と楽しそうに言うだけです。


「夢っていうのはね、余計なところは省いちゃうの。だって面白くないでしょ?」


 そう言ってウィンクをキメるカルアくんに、最終的に私は「まぁ、いっか」という気持ちにさせられました。夢ですからね。


「というわけでマリアの街探検海編開幕~!」


 カルアくんは言いながらバルコニーに足をかけました。


「またねー!」


 そう言うや否やバルコニーから飛び出してしまいます。


「えっ!? ちょっ、だからここ三階ですって……!」


 私は心配になり下を覗きますが、既にカルアくんの姿はありません。


「もう、神出鬼没のやり方が危なっかしいんですよカルアくんは……!!」


 私は口に出して叫びます。

 ですがもう、カルアくんがバルコニーに現れても飛び降りても気にならないかもしれません。早くも慣れって怖いです。


「――朝っぱらからうるさいですね、貴女は」

「!?!?!?」


 突然、左から声が聞こえたので驚いてしまいました。

 今度はなんですか!? と振り向いたところ、隣のバルコニーからこちらを見つめるティアさんがいらっしゃいました。

 柵に肘を着き、ため息を吐いています。

 また呆れさせてしまった……? 私は身震いしてしまいました。


「ティアさんおはようございます! 今日もいい天気ですね」


 声をかけられ、目も合ってしまったことですし、とりあえず挨拶をしてみます。


「おはようございます。貴女の騒がしさに目が覚めました」

「あ……それは、申し訳ないです……」


 確かに朝っぱらから騒がし過ぎることには違いありません。私はぺこりと謝罪します。


「まぁ、冗談なんですけど」


 と、ティアさんは私の部屋のバルコニーにほど近い、右側の柵へやって来ました。

 私は反対に左側へ寄ると、近過ぎず遠過ぎずな距離感になります。


「もう起きてましたから」


 ティアさんは小さめの声で、手を添えて囁くように言いました。

 私は耳を傾けて、必死に聞き取ります。

 聞き取りました。


「起きてたんですか!」


 私は謝り損です! とティアさんに怒ります。しかしティアさんは知らんぷりです。

 というか、昨日バルコニーには近づかないでおこうと決めたばかりだったのに、早速こんな状況になってしまっているなんて。

 あたふたしながら私は立ち去ろうとします。


「で、ではっ私はこれで去りますので…! あ、今日は海に行ってきます!」


 一応、行き先を伝えて。


「海……?」


 ティアさんは首を傾げます。


「あ、あれ…?」

「海に行くんですか?」


 ティアさんは顎に手を添えて言います。


「あ、……はい。せっかくなので」

「……そうですか。でしたら、遊び相手をしてやって下さい」

「遊び相手?」


 今度は私が首を傾げます。


「行けばわかります。では」


 そう言うなりティアさんは部屋へと戻ってしまいました。


「…………」


 ここには神出鬼没な人しかいないんですか?


「……とりあえず、誰かに会えるってことですよね?」


 でしたら会いに行くしかありません。

 私も部屋へ戻ると、身支度を整えて外へ飛び出しました――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ