出会い②
「わっ! 大きい……!」
視界が開けた先に出てきたのは、一際目立つ大きなお城でした。
きっと、この街一番のお屋敷なのだと、初めて見た私でもすぐにわかります。
「こっちだ」
「……正門はあちらではないのですか?」
「いや、オレらはこっちでいい。“特別”なんだよ。それこそ、仲良しってやつだな」
でも、私は初めましてです。
本当に大丈夫なのでしょうか。
そんな心配を他所に、シェルディさんはご機嫌です。広い庭園を、人目に触れないよう、割って抜けていきます。
「シラユキもこればよかったのにな。めちゃくちゃ綺麗に咲いてるじゃねぇか」
シェルディさんは、庭園に咲いている花を見ながそう言いました。
「確かに、すごく綺麗ですね」
「な~」
きっとここでお茶会を開いたら、とても素敵だろう。そう感じます。
「――と、到着したぞ」
シェルディさんは「ここで待ってて」と私に一言伝え、門番らしき人の方へ向かって行きました。
「あぁ、シェルディ様ではないですか。屋敷に御用ですかな」
「はい、ちょっとだけイバラ達借りる時間はありますか」
「今からですか? 今日のご予定的にも大丈夫だと思いますよ」
流石、通っているだけあるのでしょう。門番の方とも関係性はよさそうです。
「おーい許可が降りたぞ」
シェルディさんは少しの間お話した後、こちらに手招きをしながら言いました。
素直に向かうと、門番さんも「いらっしゃいよく来たね」とご挨拶してくださったので、こちらからもご挨拶をします。嬉しい、気持ちがいいとはこの事です。
中へお邪魔すると、とてつもなく豪華な内装が広がっていました。
やはり、中まで凝っています。これが現実ならば、少しだけ、いえ、かなり恐れ多い所に足を踏み入れてしまっています。
シェルディさんは慣れているのか、お手伝いさんを頼らずに、スタスタと、とある部屋へと向かって行きました。
そして、ノックせずにガチャリとドアを開け、
「イッバラー! 遊ぼーぜ!」
と、飛び込んだものですから、私は「えええっ」と驚いてしまったのです。
驚いたのも束の間、私は部屋の中にいる“誰か”と目が合ってしまいました。
その人は、私を見るや否や、機嫌が悪そうに顔を歪めます。
「うるさい……」
イバラと呼ばれた少年は、ソファに腰を下ろして談笑中だったのか、ティーカップを下ろすと、耳を塞ぎながらシェルディさんを睨みつけました。
もう一人、私を見て顔を歪めたブロンド髪の青年は、ジーッと私のことを見つめてきます。
私はそれに耐えられず、咄嗟に、
「ごめんなさいっ!」
と謝っていました。
「……別に。誰だろうと思っただけです」
ティーカップに口を付けながらブロンド髪の青年は静かに呟きました。
彼の、まるでラプンツェルのように長い髪の毛に、私は圧倒されかけてしまいました。ケアはどうされているのだろう。そう、初対面ながらに思ってしまったのです。
「――えぇと、あの、私……」
そんなことより、と気を取り直して、また、同じことを繰り返します。会った事を素直に伝えると、シラユキさん、シェルディさんと同様、二人は納得した様子で頷きました。
「なら、気が済むまでここで暮らせばいい」
「イバラ……!?」
「い、いいんですか!?」
イバラさんの落ち着いた態度とは反対に、ブロンド髪の青年は困惑を見せました。
「ティア、どうせ他に行くところなどこの街には無いよ。小さな街だから」
「それは、そうですけど……」
「お、なら決まりだな! よかったなぁマリア!」
いつの間にか、イバラさんの隣に腰を下ろし、おやつまで頂きながらシェルディさんは嬉しそうに言いました。
「また勝手に……」
ティア、と呼ばれたブロンド髪の青年は、シェルディさんにおやつを分けながら、はぁ、とため息をつきました。
(……ちゃんと分けてあげるんだ)
そう思ったのは秘密です。
「――そうだ、自己紹介がまだだった。オレはイバラ。この屋敷の…、なんて言うのか。両親が不在がちだから、代表の代わりを時々やっている。子息、ではあるからな」
「僕はティアトレーネ。イバラの従者をしています」
「てことなんで、よろしく頼む」
イバラさん、お若いのにしっかりしています。
それにしても夢の割には、設定が細かいような。
「あぁっ!」
「なんですか突然」
理由を説明する際にカットしていた事がありました。
「カルアさんとモランゴさんはご存知ですか!?」




