出会い①
「だめだめだめーっ!」
目を開けると、下には木が沢山並んでいました。つまり、森です。
枝が刺さってしまったらどうしましょう。
そんな夢の終わりがあってはなりません。目覚めた先で、恐怖でいっぱいになってしまいます。
メキメキ、パリパリ、ドシンッ
私は木々の合間を抜いながら地面に到着しました。
もっと綺麗に着地できると思っていたのに、人生は甘くないようです。
私は「いたた…」と、尻もちをついたところを撫でながら何とか立ち上がります。
夢とはいえ、夢とはいえ、生きていてよかった。
そんな気持ちになりました。
「……何、やってるの?」
そんな時、木の幹にもたれかかっていたらしい、美しい青年が声をかけてきました。
周りには、大きな音に驚いた動物達が、彼の頭の上を、体の上をパタパタと走り回っていました。
私は素直に事情を説明すると、彼は納得したように膝の上のうさぎを撫で始めます。
(納得してしまいました……)
これも夢、だからでしょうか。
「あ……、あっち」
「あっち……?」
「あっちに行けば、お城がある」
青年はふわり、と指を差しながら言いました。
指先には細い道があり、そこを歩け。ということみたいです。
「ありがとうございます!」
私はお辞儀をすると、その場を立ち去ろうと道の方へ向かおうとしました。
「……シラユキ。少し先に、……多分、シェルディがいる」
「……っ! 私はマリアです! またお会いしましょう、シラユキさん!」
私はもう一度、お辞儀をしました。
シェルディさんにもご挨拶しておこう、私は先を急ぐことにしました。
言われた通りの道を進んで行くと、小さな小屋が建っていました。
「どうした。雑草か? 全く、嫌だよなぁ。今取ってやるからな。――よしよし、綺麗になった」
小屋の前では赤いフードを被った青年が一人、花に水を注ぎながら、話しかけているのが見えます。
話しかけてもよいのでしょうか。
そう思っていると、赤いフードの青年はこちらに気づき、首を傾げました。
「お前、誰だ……?」
「あ、えぇと……マリアです。すみません、突然お邪魔してしまって。こちらにシェルディさんがいらっしゃると伺ったものですから」
「シェルディはオレだが……ん? まさか、シラユキにでも会ったのか?」
そのまさかなのです。
事情を説明し、私はシェルディさんにお城へ行きたいと伝えます。
「いいぞ! オレが連れてってやる」
シェルディさんは快く承諾して下さいました。
そして、ここでも摩訶不思議な事情は、すぐに納得して頂けたのです。当たり前に起きること、なのでしょうか。
(いえ、ここが私の夢だから……?)
考えても仕方ありません。
とにかく私達は、お城へ向かいます。
――しばらく道なりを進んで行きます。
シェルディさんと私は意気投合して、楽しくお話を続けていました。
その甲斐あってか、長い道のりも苦ではなく、有意義なものになりました。
「ひっさしぶりに楽しい時間を過ごせてるぜ」
シェルディさんは嬉しそうに言いました。
私も、と答えると、シェルディさんはぱぁっと顔を輝かせました。
表情がころころと変わって、先程のシラユキさんとは正反対な方だなと思いました。
「あれ、そういえば……シェルディさんとシラユキさんって……お友達ですか?」
「あ~、そうだな。腐れ縁みたいなもの…だな」
なるほど、腐れ縁。
「ふふふ、いいですね。仲良しさんがいるのって、楽しいですから」
私は微笑みます。
しかし、シェルディさんは少しだけ困ったような、少しだけ、悲しそうな表情を私に向けました。
一瞬、でした。
すぐにパッと明るい表情に戻ると、
「……マリア! もうすぐ着くぞ!」
と、話を戻すように前に人差し指を伸ばしました。




