表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

夢の世界

 私は一人、暗闇の中にいました。

 耳を済ましてみても何も聞こえず、他に人などいないことがわかります。

 とぼとぼと行く宛てもなく私は歩くことにします。ただ、コンコンと足音が響くので下は床なのだと感じました。

 目が慣れる気配もない程暗いので、何かにぶつかったらごめんなさい。

 そんな気持ちで歩を進めます。


 ――幾らか経った頃、トントン、と肩を叩かれたような、少しばかり怖いとさえ感じる感触を覚えました。


「ど、どなた…?」


 私は後ろを振り返らずに言います。

 すると“二人”の話し声が聞こえてきました。


「こっち向いて欲しいな」

「そうだよ。お話しよう」


 私は言われるがまま、くるりと後ろを振り向きました。

 そこには、そっくりな顔をした男の子が二人並んでいたのです。暗くて見えないはずなのに、何故か、しっかりと姿を捉えることができました。双子だと言う彼らは、私の肩を軽く叩きながら嬉しそうに言います。


「夢の世界にようこそ!」

「会いたかったよ、マリアちゃん」


 マリアと呼ばれた私は、きっと、そんな名前だったのだと思います。

 真っ暗闇の中でそっくりな双子と出会い、私は歓迎されました。

 二人は左右から私の手を取ると、


「俺はカルア、よろしくな!」

「僕はモランゴ、よろしくね」


 そう言って私を連れて歩き始めます。

 カルアくんは赤と緑と黄色の派手な格好――一言で表すなら、【ハーメルン】のような見た目。

 モランゴくんは大きなハットにお洒落なスーツを着ています。アリスに出てくる【帽子屋】かしら。

 そんな事を思いながら、大人しくついて行くことにします。

 二人は楽しそうに、そして、私をこれから面白い世界に連れて行ってくれるような、ワクワクを与えてくれました。


 そしてまたしばらくした頃に、大きな扉が現れたのです。

 大きな扉は暗闇に佇んでいるとは思えない程、キラキラと輝いています。


「わぁ、不思議……」


 口から漏れた言葉に、今の状況が既に不思議なのに。と変な気持ちになりました。

 カルアくん、モランゴくんはそんな私を見ながら、大きな扉を開きました。

 こことは対照的に真っ白で、今度は眩しくて何も見えないような、世界。

 そう思った次の瞬間には、トン、と背中を押されて真っ逆さま。


「わっ!」


 床が無いなんて聞いてません!


 そう叫びたくても、もう扉など見えなくて――。


「また後でねー!」


 そう、カルアくんが叫んだのだけは耳に届いた気がします。


「ち、ちょっと……っ! そんな、の……きゃあああっっ!」


 私は為す術ないまま落ち続けます。

 途中いろんな物が横切りましたが、正直、何も考えられませんでした。


「待って……!! これ、落ちた先でどうなってしまうの!?」


 いくら夢でも、落ちてしまうのは怖い。

 どうか、どうか無事に着地できますように。

 私は願いながら、その身を委ねることしかできませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ