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デート

(はち)は、躊躇いもなく僕の手を握りしめた。


「若は、クレープが大好きやってん」


「ほんまに?」


甘いものが苦手なイメージがあったけど、女の子になりきっていたのだろうか?


「あー。これこれ。」


複合施設の中に、クレープ屋さんがあった。


「どれやったっけ?」


「これやん。イチゴとティラミスのクレープ」


生クリームが、凄いタップリだ。


「あと、タピオカミルクティー」


「そんなんわ…。」


「あっ、無理やったよね」


「全然、大丈夫やから」


僕は、首を横にふる。


「ほんなら、それ2つずつお願いします。」


店員さんは、わかりましたと言った。


「お待たせしました。」


(はち)は、お金を払った。


クレープとタピオカミルクティーを受け取って、傍のベンチに腰かける。


「あまっ!!!」


「苦手やった?ごめんな。無理させて」


「嫌、全然ええから」


そう言いながらも、口の中を生クリームの甘ったるさが広がっていく。


ソーセージが、食べたい。


それでも、兄が(はち)と食べたクレープを頑張って口にした。


「若、ついてるで」


(はち)は、そう言ってポケットからティッシュを取って僕の口の端を拭いた。


「あ、ありがとう」


「ううん、気にせんで」


ニコニコ笑いながら、(はち)は、クレープを食べてる。


「次は、どこに行こかな?」


スマホを開いて、楽しそうにしてる。


「ちょっと、トイレ行ってきてええかな?」


「ええよ」


そう言って、(はち)は僕に笑った。


僕は、個室トイレに入る。


さっき、夏目さんから借りたショルダーバッグの中から兄の日記を取り出した。


ページを捲る。


【今日は、才等八角(さいとうはっかく)君と初めてのデートに来た。

複合施設の中をブラブラと歩く。クレープ屋さんの前で、足をとめる。女子力を考えてイチゴティラミスを注文、タピオカミルクティーも…。口の中に甘さが広がっていく。気持ち悪い。ソーセージがよかった。彼を(はち)と呼び捨てにする事にした。(はち)は、俺の唇の端のクリームをティシュで拭いてくれた。今まで、味わった事ないぐらい心臓がうるさい。よくわからんけど…。楽しかった。】


僕は、日記を閉じて鞄にしまった。


(はち)は、今、兄としたデートを初日からはじめてるのだろうか?


僕は、手を洗ってトイレを出た。


「ごめんな」


「ええよ。行こか」


戻ると、クレープのゴミ等は片付けられていた。


「はい、これ」


立ち上がった僕に、(はち)は、そう言ってタピオカミルクティーを渡してきた。


甘くて、甘くて、とにかく吐きそうやった。


「何か、行きたいとこある?」


「いや、あらへん」


「服、着替えんでええの?」


「これが、いいやろ?(はち)は…。」


「いや、あの日選べんかったから行こか」


(はち)は、僕の手を握りしめる。


「はっちゃん、いらっしゃい」


「なっすん、この人やったら何がええ?」


「ええ、女の子やないの?」


「うん、男や」


「そやなー。これは、どうやろ?」


「めっちゃ、よさそうやん。」


そう言って、(はち)は僕に近づいてきた。


「なあ?試着してきてや」


「うん、わかった。」


僕は、服を受け取る。


広めの試着室に入る。


僕は、日記を捲る。


【二回目のデート。何故か、(はち)が、バイト代がでたから服をかってくれると言う。女物の服を買ってもらうのも困るから丁寧に断る。(はち)は、悲しそうな顔をした。どうせ、短い関係なのだから…。残る物は、いらない。(はち)にハンバーガーの美味しい店に連れていってもらった。】


僕は、日記帳を鞄にしまって試着する。


「できた?」


「うん」


僕が開けて試着室からでると、(はち)はカツラをはずさせた。


「これは、もういらんやろ?よう、におてる。見てみぃ?」


空色のセーターとサクラ色のズボンをはいた僕がうつっていた。


(はち)は、僕の隣で嬉しそうに笑った。


「ブラジャーはずしいな。男のままが、ええよ。なっすん、紙袋ちょうだい」


「これで、ええか。やっぱり、肌白いからようにおてるわ」


「せやろ」


「着て帰るんか?」


「そうしたいんやけど」


「じゃあ、一回脱いで、タグきったるわ。それか、はっちゃんが切るか?」


「せやな」


なっすんさんは、(はち)に鋏を渡した。


「試着室広いから、余裕やろ?ちょっとお客さんきたから。頼むわ」


「はいよ」


そう言うと、(はち)は紙袋と鋏をもって僕と試着室に入った。




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