ピリオド
あの日、花嫁を奪われたショックで気絶した僕は控え室で目を覚ました。
目を開けると涙が溢れていた。
意識を失いながら泣いていたらしい。
僕にとって一番大切になるべき日に僕は大切な存在を無くした。
そのせいで僕の世界はまるで変わってしまった。
心が破綻した。
まともな社会的人間活動が出来なくなった。
ごはんは食べた直後に嘔吐するようになったし、眠れなくなった。
脳ミソが常に拍動しているような鈍痛に苛まれる日々。
生きている意味を見い出せなくなってしまった。
そんなある日、僕は僕を心配した姉と一緒に出掛けたんだ。
帝都中央線の駅で、
アイツラヲミテシマッタ。
手をつなぐカナとタクト。
忘れもしない、
僕を台無しにした、男女。
僕を壊して、自分たちだけ幸せになったカップル。
2人は笑ってた。
楽しそうに、
笑ってた。
どっかにお出かけしたのかもしれない、
男の手に紙袋。
女の手にはブランドバッグ。
ユルセナカった。
あの日から、
アノヒカラ、
僕はコイツらを、許せなかったんだ。
走り出した。
僕は、走った。
衝動的だった。
情熱的でさえあった。
確かに僕はそのとき自分は生きているのだと再確認できた。
迫りくる電車を眺めて、
僕は、僕の、クダラナイ人生の讃美歌を探した。
まあ、
何も見つからなかったけど、
でも、
僕は僕の人生のピリオドの伴侶を見つけた。
本当なら、正しく僕の伴侶になっていたであろう、女の子、
大好きだったのに、
なあ、
駅のホームで彼女を捕まえた。
そして、そのまま、僕は彼女と電車に飛び込んだ。
突然の出来事に、彼女は為す術もなかった。
最期のことは良く覚えてないや。
ああ、でも、
蝉が羨ましそうに鳴いていたっけ。
気持ち悪いなあ。
頭すごく痛いのに、その上嫌なことがあった。
そんな状態で衝動的に書いたら問題作が生まれた。
許してください。