書類の山!
すごく短めです。いつもすみません。
──ギルドの応接室。
何やら俺のパーティーに大量の応募が殺到しているらしい事を知った俺たちは、急遽それらを捌く事になった。
元からパーティーメンバーの拡張は俺も考えていた事だし、丁度いい機会ではある。
「これが、現在来ている応募者のプロフィールです」
何枚あるかも数えたくないほどの紙束を、机の上にドサリと投げ出すドーラ。
昨日の今日でよくもこれだけ集まったものだと呆れると同時に、有名なパーティーの影響力の強さを感じる。【勇者】とかいう自信過剰過ぎる名前のパーティーと初動の実績が同じというだけでこれだけ応募が来るというのだから分からない世の中だ。
「はわわ、すごい数です……」
「いや、本当によくこれだけ集まったな」
「実際の実力を確認するのが一番手っ取り速いとは思いますが、量も量なのでまずは書類選考ということにしておきました。正直、今後もっと応募は増える可能性があると思いますが……」
「これ、全部目を通さなきゃならないのか。カテゴリごとに分かれていたりは……」
「ごめんなさい、そこまでは分別できていないです」
そんな事だろうとは思った。
とりあえず回復役はミリアがいるので十分だから、今は火力が欲しい所だ。山のように積みあがった書類を数枚手に取り、ペラペラとめくっていく。
「槍使い、剣士、魔術師……うーん、あんまりパッとしないな」
「モロハさん、回復役はもう要らないですよね?」
不安げな表情のミリアが上目遣いで俺の目を覗き込んでくる。そんな捨てられた子犬のような目をしなくても、元より回復役を増やす予定は無い。
それよりも、独り立ちする計画を立てていたにも関わらずミリアが俺を放してくれなさそうなのが問題だ。何だかんだ言いながらミリアを見放せないでいる俺も悪いのだが、今回の白蛇の報酬があれば独り立ちすることもできるかも知れない。
「そうだな……今は火力が欲しいから、前衛職以外は無視してもいいと思う」
「それを聞いてホッとしました……他に条件はありますか?」
「うーん、できれば歳の近い人間の方がいいかな。ある程度年を取った人だと、我が強かったりして折り合いが上手くつかないことが多いからな」
「分かりました。じゃあ、ちょっと探してみますね!」
にっこりと明るく微笑んで、ミリアは書類の山に向かう。
……ダメだ。
こうも純粋な笑顔を向けられると弱ってしまう。
結局何も言えないまま、俺は黙って書類の山に目を向けた。




