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ミリアが……嫉妬!?

更新遅くてすみません



 「モロハさん、今日は何をするんですか?」


 「まずはギルドに行こう。昨日、あの時の白蛇を倒したから報酬を受け取りに行かないと」


 高級食材でもあり、有用な素材にもなるらしい白蛇は、結構な額で取引されるらしい。ドーラがざっと見た見積もりでも二万モネだと言っていた通り、これで当面は金銭に困ることもないだろう。苦労して引きずってきた甲斐があったと言える。

 高級食材ということはそれなりに希少な魔物だと思われるが、ペク・マダラとか名前が付いている時点で魔の森を探せば見つかる可能性が高い。治癒能力の高いミリアと一緒に戦えば荒稼ぎができる可能性もある。

 ゆくゆくは俺にも持ち家が欲しい所ではあるが、これだけの余裕があれば宿暮らしでも支障は出ない。


 「あんなに傷付いていたので心配していましたが⋯⋯モロハさん、ペク・マダラを相手にしていたんですか⁉︎」


 「いや⋯⋯最初はただのコボルト退治だったんだ。途中で狙われたから、まあ何て言うか成り行きで」


 「成り行きで戦わないで下さいよ⋯⋯グレートブラックでもあんなに苦戦していたのに、無茶が過ぎます。あと、私を置いていったことも忘れていませんからね!」


 「ごめんって⋯⋯と、とにかく次からは約束するよ」


 あーだこーだと話をしながら、ミリアと二人並んで道を歩く。

 家を出る前に見た泣き顔が嘘に思えるほどに満開の笑顔で、何故か俺の腕を抱いて離さない。もはや見慣れてしまったいつも通りの修道服越しにも分かる、ミリアの豊満な肢体が惜しげもなくピッタリと押し付けられており、俺の体温をじわじわと引き上げている。

 周囲を通り過ぎる他の人間を観察してみても、そんなに密に絡んでいる人間は見当たらないと言うのに、ミリアのスキンシップが激しいのは依然として変わらない。

 さり気なく振り解こうとしたらさらに強くしがみつかれた。何だか外堀を埋められているようで釈然としないのだが、口元を緩めて幸せそうなミリアの顔を見ていると離すのも惜しくなる。


 「⋯⋯⋯今だけだぞ」


 「モロハさん、何か言いましたか?」


 「いや、何でもないよ」


 「そうですか⋯⋯あっ、いい事を思いつきました。ノロリウを見に行きましょう!」


 「ノロリウ?」


 「はい! 鈍竜とか盾竜とかと呼ばれているのですが、非常に防御力が高い代わりに、とにかく動きが遅いので訓練にはもってこいな魔物です!」


 「へぇ⋯⋯それはいいかも知れないな」


 コボルト退治は実験や訓練も兼ねていたのだが、的が弱過ぎて話にならなかった。もちろん、ゴブリンも同じだが、かと言って黒く光る()()()は相手にしたくない。俺が知っている魔物だと残るは白蛇しかいないが、アレは二個か三個先のステージに立っている魔物だろう。

 ⋯⋯やはり、ミリアの存在は必要不可欠なのかも知れない。


 「んお、ギルドが見えて来たな」


 「入口の前にドーラさんが居ますね。何かあったんでしょうか⋯⋯」


 そのまま歩いて少し手前まで近づくと、俺達の姿に気付いたドーラが大きく手を振ってきた。

 どうやら俺を待っていたらしいが⋯⋯仕事は大丈夫なのだろうか。


 「今日は遅いですね、モロハさん!」


 俺の腕にピッタリとくっ付いているミリアをガン見しながら、少し硬い笑顔を向けてくるドーラ。

 誰が何と言おうとミリアはミリアだから仕方ないのだが⋯⋯まさか、ドーラは朝から待っていたのだろうか。


 「昨晩はお楽「いや、違います」⋯⋯え?」


 「疲れてたので普通に寝ていましたよ⋯⋯それに、ミリアは違いますから」


 「そ、そうですか⋯⋯すみません」


 絶対に言われると思っていたから身構えていたら⋯⋯全く、油断も隙もならない。

 確かに、ミリアの俺に対する態度が少しヤバい方向に行っているかも知れないというのは薄々自覚はしているが、かと言ってそれを俺が受け入れることは無い。

 そもそもこの世界には居ないはずの異分子と言う立場で、目立った行動を取ってはいけないだろう。

 バツが悪そうに苦笑いするドーラに向けて、こちらも愛想笑いで返した。


 「ふふふっ……」


 「ハハハハ……」


 「むぅ……二人とも、何をしているんですか!」


 ミリアが不満気に頬を膨らませ、俺の腕を抱き寄せる力を強めてくる。

 まさか……嫉妬しているのだろうか?

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