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第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞 への投稿作品

人呼んで偽物鑑定人

作者: 東の関脇

ある街に祖父母のだいからの古美術商があった。立派な目利きと評判だった父親が、流行病で急逝した。独り残された幼い娘があとを継いでから商いはおかしな具合いになっていった。


幼くして古美術商の跡継ぎとなってしまったけれど、幼い子供に古美術品のウンチクなんぞあろうはずもなかった。


それでも商を続けていかないと食べていけないので、手持ちの古美術品を二束三文で売ってしのいでいた。


店主が子供と聞きつけてきた客が、こぞって偽物を売りつけようと集まっていた。


娘は、しばらく、ずらりと並べられた古美術品を眺めていたかと思ったら、『全部偽物ネ。持って帰ってちょうだい』と言って、店の奥に引っ込んでしまった。


流石に怒った客達が怒鳴り散らしていたら、

奥から出てきて、丁寧にお辞儀をしてこう告げた。

『幼い子供に本物の古美術品を売りに来る人が、何処に居ますか?』

『父に教わった唯一の鑑定であり、最後の言葉です。』

『今日は、お帰りください。』と言ってお辞儀した。


店内の古美術品は、シッカリ見えるのに、

おずおずと帰っていく客達が、持って帰る『偽物』は、少し透けてることに気が付いたのだった。


数年後、古美術品の仕入れを兼ねた古美術品の市に出かける。

露店主『お嬢さん、コレはイイ物、掘り出し物だょ〜』

娘『偽物は、要らない。そっちのを安くしてちょうだい♪』

露店主『偽物とは、ひどいなぁ〜。ソレなら安くしておくょ(笑)』(ガラクタがほしいとはねぇ〜。)

娘『全部見て回ったけど、偽物じゃなかったのは、コレだけだったなぁ〜』

『ぁ〜ぁ。本物の価値は、さっぱりわからないのに、偽物は、わかるのょねぇ〜』


いつしか、偽物は、決して仕入れないことが噂になり、偽物鑑定人と評判になっていった。

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