もう一人の主人公は勇者
勇者side
椿姫が嘆げている頃
勇者となったもう一人の主人公はというと...
はぁあああぁぁあ!?
んだよ、俺じゃねーか!どう見ても!
ゲームの中の勇者はもう少しカッコ良かったはずだろ?
んだよ、俺はモブなんだぜ!
こちらもまた同様に嘆いていた。
なぜか、宿屋にいた俺は鏡の写った自分を見て
悟った。
鏡に写った自分の向こう側にいる自分が
死亡しているのを見た俺。
え?何言ってるんだ?って?
自分でもそう思うぜ。だが!
俺は混乱しているわけでも頭が狂っているわけでもない、鏡の世界って言うのか
自分の死んでるとこ見せられてみろ
自分が死んでる。なんて
こんなこと誰かに言ってみろ、一発で病院送りだぜ。
まさか自分がゲームの中に転生するなんて思ってみなかったぜ。
転移されたとかならまだ救いがあったかも知れないんだけどな。
でも、待てよ?俺って勇者なのか?
どう見ても格好は勇者だよな。
この格好ってあのゲームだよな?
俺の記憶が確かなら、【椿姫の憂うつ~貴女の花を咲かせて~】だ。
は?でも勇者版だろ、コレ。
椿姫を救ってください。ってパッケージに書いてあったな...。
ゲームのパッケージを思い出してみる。
アドベンチャー型シミュレーションノベルライズ....
長っ!相変わらず長いぜ。
でも助けるってどうやってだ?
彼女の傍には、もう夫がいるんじゃなかったか?
人妻を助ける義理はないぜ、
ん?それは2の話だったか?
そんなこと考えていると、ドッシーンと揺れた。
宿屋が揺れた。
地震か?
いや、違う...!
この揺れは....!
やっぱり!
宿屋から出た俺が見たのは、
サイクロプス
モンスターだよ!
「勇者様ーー!」
「きゃー!頑張って!勇者様ーー!」
なんだ?黄色い声援もしかして俺にか?
はぁあああぁぁあ!?
目の前にイケメンの勇者がモンスターに向かって斬りかかっていた!
違う!俺じゃない!勇者って他にもいたのかよ!
どうすんの???俺!!
いや、それどころじゃない!
もう一人の勇者は気づいていない。
目の前の小さな女の子がサイクロプスの足の下敷きになりそうだ!
「クソっっ!間に合ってくれよっっ!」
俺は無我夢中で走り、サイクロプスの足の下にいる女の子を助ける!
「ありがとうございます!勇者様!」
涙を流す母娘に
「いや、お礼はいいから危ないから下がってくれ
な?」
「うんっ!」
そう言うと、二人は走って下がる
その時、女の子が
「ありがとう!おじちゃん」
お、おじちゃん...俺はまだ二十歳前後だぜ。
俺は、サイクロプスに向かって行った。
剣を出して走って
サイクロプスに斬りかかる!