9 にぃにって優しいんだね(再確認)
「…ミスコンか。ミユ。優勝したい?」
「…んゆ?」
優勝?みすこん?…何それ?動画撮るんじゃないの?
僕は何もわからず首を傾げた。
「よくわかんない」
「じゃあ棄権しようか。…犯人はわかったし」
「きけん?」
「途中でやめるってこと。悔しいかもしれないけど我慢ね?」
「…ん。大丈夫。悔しくないよ。いつもと同じだもん。皆とおしゃべりして時間になったらばいばいして…あ」
まだばいばいしてなかったね。
「みんな。ばいば〜い」
「ミユ…」
にぃには僕を抱え直すとステージから飛び降りた。
〜おうち〜
「ふふ。まさか優がミスコンに出るなんて思わなかったわ」
「寧子…」
「だって動画サイトで人気のミユよ?コンテストでも狙えるかな〜と。どうせ学校主催のちっちゃいやつだし」
「…ミスコン優勝者はミスターコンテストの優勝者とその後2人で校内を回るんだぞ?」
「それの何が悪いの?」
…うん。ただのお散歩だよね?
「…うちの学校のやつがただ回るだけで終わると思うか?」
「思わないわ…うん。止めてくれてありがと」
「どういたしまして」
ん〜?よくわかんなくなってきたよ?…にぃにとねぇね…難しいお話してる。
「優。もし誰かに話しかけられてもついていっちゃダメだよ?」
「ねぇねとも約束」
「うん。わかった!!」
その時ママがキッチンの方から僕を呼んだ。
「優。おやつできたわよ」
「おやつ!!」
今日は何かな?ママのおやつ大好き!!
僕はすぐににぃに達のところからママに駆け寄った。
「…お菓子で騙されそうね」
「だね」
「にぃに?ねぇね?おやつ食べないの?じゃあボクが貰う!!」
「優。それは食べすぎよ。優の分だけね」
む〜。だってにぃに達食べないんでしょ?
僕が頬を膨らませると2人とも席についた。
「はい。今日はパンケーキよ」
「くまさんパンケーキ!!」
ママはいつも僕のだけ動物さんにしてくれる。
前はウサギさんだったかな?ベリーのお鼻がついててね。可愛いの!!
「いただきます!!」
「どうぞ」
ぱくっ。
美味しい!!カボチャのパンケーキだ!!
そこで僕は気づいた。
よく見るとにぃにやねぇねの前にはパンケーキがなくてコーヒーの入ったカップだけが置いてあった。
「…食べないの?」
「にぃに達はいいんだよ」
「正直甘いものは…ね」
「太るしね」
「ちょ…わざわざ言葉濁したんだから!!」
言葉を濁す?どういうことかな…。あとでにぃにに聞いてみよう。