4 にいにの学校。広いです。
「にいに。ボク。そろそろ帰るね」
「バス停まで送っていこうか?」
…にいには心配しすぎだよ。ボク。一人で行けるもん。
「ううん。大丈夫。にいに。お勉強。頑張ってね」
「優もね。にいにの部屋は好きに使っていいよ」
「ほんと!?やったぁ!!」
にいにのお部屋~♪
「ばいばい」
「また手紙送るね」
ボクは来た道をたどって家に帰…
…どこ?
帰れませんでした。
ここどこ?え?確かこう曲がっていったら校門につくはずだったのに…。あれ?ボク…間違えたかな?
僕は周りをキョロキョロ見渡しながら歩いた。
…すると大きなお家が見えてきた。
…学校の外に出てたのかな。あそこで道を聞こう。
僕は扉の前に立ち一生懸命手を伸ばしてインターホンを押した。
ピンポ~ン。…シーン。
あ…あれ?誰も出てこないよ?留守かな…でも、聞こえなかっただけってこともあるし…。もう一回。
ピンポ~ン。
するとさっきとは違い目の前のドアが勢いよく開いた。
「誰だっ!!」
「ふみゃ!?」
僕は開かれたドアで頭を打ち気を失った。
そ~っと目をあけると見たことのない天井が目に入った。
…ここは?ボク…にいにのところから帰ろうとして…。
「起きたか」
「しっかしうちのセキュリティも緩くなったね~」
「…女…入れてる」
「君。誰かの妹?」
…まただ。
「あの…」
「そいつには罰を与えないといけないな」
「いちおールールだしね~」
「期間…一週間…」
「何する?」
「あの…すみません」
「なんだ?」
ぴ~!?この人怖いよ~!!
「ぴっ!!…えと…その…」
「そんな怖がらなくても何もしないよ。…興味ないし」
「その…ボク…」
「う~わ。僕っ子?今の時代にいたんだ」
…聞いてくれない。
「ボク…男です」
「「「「は?」」」」
…言われると思ったけど…悲しいな。
「証拠は?」
「ふぇ?」
「顔はまんま女の子だしね~そう簡単に騙せると思う?」
「…証拠…見せろ」
…証拠?あの…おまわりさんが机バンって叩いて『もう証拠は揃ってんだよ!!』って言う時の証拠?
「あ…にいになら…」
「身内はダメだ」
「もう手っ取り早く脱がせない?」
…ふえ?
「や…やだ…」
「ごめんね~ちょ~っと寒くなるだけだからね~」
寒いの嫌い!!
僕は必死に手足をバタバタさせて抵抗したが全く効き目がなかった。全部取られてしまった。
「ふぇ…ん…にいに…たすけてぇ…」
「ほんとの男の子だったね~」
「この顔でついてるとは誰も思わないだろ」
「ボクの…ふく…かえしてよぅ…」
「ダメ。寒いならこれ被って」
比較的優しそうな顔をした人は僕にブランケットをくれた。
ふわふわ…あったかい。案外優しい人なのかな。顔が怖いだけなんだね。
「優!!」
「にぃにっ!!」
にぃには扉を壊して入ってくると僕を抱きしめた。
「よかった…だから送っていくって言ったんだよ?この学校結構複雑な構造してるから優だと迷うかもしれないと思って…」
「にぃにごめんなさい…」
「…母さん達から連絡があって優がまだ帰ってきてないって……優。服は?」
「取られたの。あの人たちが証拠見せろ〜って」
「…何?」
にぃには僕にブランケットを被せてその人達を睨んだ。
「…なんだ。東郷くんの身内か〜なら手の出しようがないじゃん」
「はぁ…せっかくの上玉だったんだがな」
「優に手を出したら…」
にぃにはそこで僕の耳を塞いだ。
「にぃに。聞こえないよ」
僕がそう言うとにぃには僕の頭を撫でてくれた。
んにゅ〜…ってしてる場合じゃない!!ママのところに帰らなきゃ…今日はねぇねに『撮影あるよ』って言われたばっかりなのに…。
「にぃに。ボク帰らなきゃ」
「…にぃにも早退して送ってくから待っててね」
「ううん。バス停まで行ければ帰れるもん」
「にぃにが心配なの」
…にぃに。心配しすぎ。ボクちゃんと出来るもん。
「にぃに。あのね…今日ね。ねぇねとビデオ撮るの」
「…まだやってたの?嫌ならやめていいんだよ?」
にぃにはそう言いながら僕に服を着せた。
「ううん。だって…動画ならにぃにも見れるでしょ?にぃにがいなくて寂しいけど…いつもお手紙待ってるから…ちゃんと送ってね?」
「うん。絶対。約束するよ」
「ほんと?」
「本当。にぃにが嘘ついたことあった?」
ん〜とね…。
「ないっ!!」
「なら信頼してくれる?」
「うん!!待ってるね!!」
「優も頑張ってお返事書くんだよ?…ひらがなじゃなくて漢字で」
「ぴにゃ!?…まだ上手く書けないもん」
「バランスとかは考えなくてもいいから書いてみな。その方が早く覚えられるよ」
「うん…」
…漢字は苦手。だって…1つの文字でたくさん意味があるんだよ?見た目は同じなのに意味と読み方が違うのもあるし…。小学生になったらちゃんと全部書けるようにするもんっ!!