28 倒れちゃった…。てへ。
「大翔くん…大丈夫?痛くない…?」
「大丈夫だよ。…優くんの方が泣きそうになってるね」
「だってぇ…」
ボク…転んだら絶対泣いちゃうもん。にぃにとかねぇねがぎゅーってしてくれるまでずーっと泣いちゃうもん…。
「…それよりキズ薬をくれる?」
「やだ!!ボクがやるもん!!」
ボク、まーくんにみんなを癒すのも姫委員のお仕事って教えて貰ったもん。
僕はそーっと大翔くんの足にキズ薬をつけた。
「…できたっ!!」
「うん。でもこのままじゃ液が垂れちゃうね」
「あわわっ」
僕は慌ててキズの周りの薬液を拭い、絆創膏を貼り付けた。
「今度こそできたっ!!」
「ありがとう。…優くん、顔赤いよ?」
大翔くんは僕の額に自らのそれを合わせた。
「あっつ!?」
「…ふぇ?」
…お熱あるの?全然そんな感じしないよ?
「…優くん!!なんでこうなるまで放っておいたの!!」
「全然お熱ないよ〜」
「…体温計借りて測ろう?…というか先生は?」
「…んとね。他の学年でいっぱい怪我人が出たからそっちに行ってるみたい」
僕は机に置いてあったメモを読み上げた。
「…はぁ。優くん大人しくベッドに寝よう?で、体温測ろうか」
「…やだ。お仕事してない」
「いいから寝る!!」
大翔くんは僕を持ち上げてベッドに寝かせた。
「むぅ…」
「むうじゃない!!…お兄さんはまだ種目あるし…もうこれ体育祭で良くないかな。はい、体温計」
脇に挟んで測ってみると…
ピピッ
「…何度?」
「えっとね…36度」
「嘘つかないで」
「…38.9度…」
「…39度にまで上がりそうだね。解熱剤とか保冷剤とか探してくるから寝ててね」
大翔くんは僕に布団をかけるとどこかへ行ってしまった。1人になると…急に寂しさを感じた。
「っく…ふぇ…」
やだ…1人やだ…。大翔くん早く帰ってきてぇ…にぃに…。
「…お待たせ…って泣いてる?」
「大翔くぅん!!」
大翔くんは僕が勢いよく抱きついてもふらつきもせず、受け止めてまたベッドへ下ろした。
「1人やだぁ!!」
「…はいはい。そんなに抱きつかれると誘ってるように思っちゃうよ?」
「…ふぇ?一緒に遊んでくれるの…?」
「…」
僕と大翔くんの考えは少し違ったようだ。
ちゅ
「…ぇ?」
「…誘うってこういうことだよ?それにこれなら僕にうつせるしちょうどいいね。優くんの治りが早くなるよ」
「……やら…ちゅー…ぎゅーも」
「…本当に?やっていいの?」
「…いじわるたいとくんやっ!!」
僕が知らないうちに思考だけが幼児化していった。




