18 ご飯!!…でも好き嫌いぐらいは…許してね?
「優。お待たせ。…あれ?君は…大翔くんだったかな?」
「はい。秋様」
「君には秋様とは呼んで欲しくないな。優の友達のようだし」
にぃには僕の分も机に置くと僕の頭を撫でた。
「にぃに。食べていい?」
「どうぞ」
「いただきますっ!!」
僕は箸を手に取った。
「…優。また持ち方間違えてる。こうだって教えたでしょ?」
「…むぅ」
お箸難しいもん。ママといっぱい練習したけど…全然できないの。
「ほら。大翔くんは上手く持ててるよ?」
「いや…僕は母に厳しく指導されただけですから」
「伝統ある家なんだっけ?…華道家だったかな」
「はい」
…かどうか?『かどうか』って何?パパやねぇねのお仕事とは違うお仕事?
僕一人だけが分からず首を傾げた。
「はむっ」
…ご飯美味しい。定食って和食なんだね。ボクの好きな甘い卵焼きかな?これ。
「優。あと今月中に病院行こうね。母さんから連絡届いたから」
「…行かなきゃダメ?ボク元気だよ?」
「ダメ。前みたいに倒れなようにするためにも…ね?」
…だって病院行くと『てんてき』されるでしょ?…痛いんだもん。ぎゅって目を瞑って腕をぎゅーって固くしてると力抜いてって言われちゃうの。ボク病院やだ。
「優くんは…呼吸器官が弱いんでしたっけ」
「そう。小さい時から喘息も患っててね………ねぇ優?」
僕はビクッとした。
「…入学する時に吸入器もってこなかったの?荷物の中に無かったよね?」
「あ…あのね。ちょうど切らしちゃってね…」
「…へぇ?そんなに頻繁に吸入器使うほど苦しくなったんだね?入学してから?にぃに…そんなの聞いてないなぁ?」
ば…バレてるっ!!ちょっとしか持ってこなかったの!!ぜんそくはひゅーひゅーして辛いけど…吸入器持ち歩くのいつも忘れちゃうんだもん!!今もおうちの引き出しに置いてきちゃったし…。
「…や…えと…ごめんなさい」
「はい。よく出来ました。…でも手持ちがないなら取りに行かないとね。今週の休みは家に帰ろうか」
「…いいの?」
「優の体調が1番」
にぃにはにこにこ笑って僕の頭を撫でていた。
よかった…にぃに怒ってない。…でもおうちから持ってこないといけないのか…ママに怒られちゃう…。
「ほら。ご飯食べないの?」
「食べる!!」
僕は正しい箸の持ち方にして食べ始めた。
和食美味しいよね。お魚と卵焼き大好き。あとね…ママの作るハンバーグ!!…あれ?これ…和食じゃない。
「…優?さりげなく梅干し避けない。ちゃんと好き嫌いしないで食べるんだよ」
「や!!すっぱいもん!!ボク嫌い!!にぃにもにんじん嫌いだもん!!」
「…じゃあ貸して。これあげるから」
やった!!にぃにに勝った!!
僕は梅干しをにぃにのお皿に乗せた。
にぃには僕のお皿に小鉢を乗せた。
「煮物…?かぼちゃ?」
「甘くて美味しいよ。優。好きでしょ?」
「うん!!」
甘いのは好き!!
僕はにこにこしながらかぼちゃを食べた。
「…鈍感って怖いですね」
「…まぁ本人の自覚がないから治らないよ…一生」
…どんかんってなぁに?