15 お姫様
「優くん。学校復帰できてよかったね」
「うん!!…でもにぃににくぎをさされちゃった。もう走るのダメだって。歩くのも最低限にしてって言われたの」
「それは優くんが悪いんだよ?」
うん…よく反省してます…。
「でもねでもねっ!!入院してる間に新しいこと教えてもらったのっ!!」
「それはよかったね」
うん!!ボクもっと賢くなるの!!
「あ…あとね。先生が退院したら来てほしいって言ってたよ」
「うん。じゃあ行ってくるね」
職員室に行けばいいのかな?
僕はカバンを教室に置くと職員室へ向かった。
職員室…
「1年A組の東郷です。神崎先生はいますか」
「お。やっと来たな。こっちだ」
先生が手招いていたので僕はそっちに向かった。
すると先生は隣の席の椅子に座るように促した。
「いいんですか?」
「いいんだよ。そこは空席だ」
あ…誰もいない席だったんだね。でもなんで机と椅子が置いてあるの?狭くなっちゃうよ?
「はい。ココアでいいな?」
「あ。お構いなく」
「子供が遠慮するな」
遠慮は大事ってにぃにに教わったもん。
僕は紙コップを受け取った。
「今日の昼休みに姫の集まりがあってな…本来なら入学してすぐやるはずだったんだが…」
「すみません。迷惑をおかけしました」
ボクが倒れたせいだよね…。ふにゅぅ…。
「東郷。1つだけ注意してくれ」
「はい?」
「姫として特別は作るな。…家族は例外な」
特別?
「彼女は禁止ってことだ。まぁ…うちは男子校だし出会いは少ないから大丈夫だろ。もしも彼女がどうしても欲しいなら自分の親衛隊の許可をとること」
「かのじょ?」
「…は?そこから?」
「よく分からないです。とにかく…特別?を作らなければいいんですよね」
「まぁ…そういうことだ」
…あとでにぃにに聞いてこよう。
僕はコップの中身を全部飲み終わってから職員室を出た。