12 姫……ボク…男なのに
「あ〜…まずは東郷」
「はい」
最初はボクか。席順でやるのかな?
「東郷優です。趣味はにぃにと一緒におしゃべりすることです。1年間よろしくお願いしましゅ」
か…噛んじゃった!!
「ぶくっ…つ…次」
先生笑ってるしっ!!
僕は頬を膨らませながら椅子に座った。
むぅ…噛みたくて噛んだんじゃないのに。にぃにみたいにかっこよくお話したかった…。
自己紹介後…
「じゃあ今から教科書を配るからな。A組としての誇りを持って暗記するくらい読み込めよ?」
「「「「「はい」」」」」
僕は配られた教科書をパラパラと捲ってみた。
あれ…?にぃにとやった問題だ。知らない問題が載ってない…。そういえばにぃに…学校の勉強も教えてあげるねって言ってた…。教科書を使って教えてくれたのかな?
「東郷。どうした?」
「何でもないです」
…多分入学前からこの問題を知ってるのはボクだけだよね。なんだかずるしたみたい…。
僕は少しだけ落ち込んだ。
「次は…委員会だな。この学校にしかない委員会もあるからちゃんと聞いとけよ?」
学級委員、環境委員、図書委員、放送委員、風紀委員、書記、姫。
ん…?姫って…何?
「先生」
「なんだ?」
「姫とはなんですか?」
あ。他の子が聞いてくれた。
「皆知っているようにこの学校は男子校だ」
…それと何の関係が?
「…姫って言うのはな…全校生徒の癒しのようなもんだ。ただしこれだけは条件があってな。可愛い子じゃないとダメなんだ。このクラスだと…東郷だな」
「ふぇ?」
急に名前を呼ばれて変な声を出してしまった。
「東郷。お前姫やれるか?」
「姫…?」
ん…癒しって…みんなにお疲れ様〜ってやればいいのかな?それぐらいだったらボクにも出来るかも…。
「できま…」
「先生!!僕ではダメなんですか!!」
立候補者がいるの?ならボクはほかの委員に行こうかな…。ボク図書委員やりたい。
「…しみず。まぁ…お前も可愛い方だとは思うけどな?東郷の方が上だと思うぞ」
「なぜですか!!とにかく姫は僕です!!」
「先生。ボク図書委員やりたいので清水くん…?に姫は譲ります」
「それは出来ない」
…できないの?ならどうしてボクにできるかどうか聞いたの?
「…とにかく。姫は東郷優がやること。いいな?」
「…はい」
「はい」