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崩壊世界の異能者 ~気づいたら世界が生まれ変わっていました~  作者: 佐藤龍
第一の遺跡 目覚める怨念達≪ゾンビ≫
9/33

第九話 遺跡の攻略には準備は必然です

「今から聖水、とかいう物を買いに行くのか?」


「ああ、そうだよ。ゾンビには聖水が効くから」


 ユウにとっての聖水のイメージとは、投げる物だったり追い払うものだ。

 到底、ゾンビに効くとは思えない。

 どちらかというと、物理で殴ったり銃で撃ちこんだりしたほうが早い印象がある。

 まあ、今回のゾンビには物理でも魔法でも攻撃してしまえば再生してしまうのだが。


「そうなのか。ならとっとと買いに行こう。まずは何を買いに行くんだ?」


「まずはバックだ。そのあと、食料と水と焚き火用の乾いた木、そして聖水だね。魔石を掘る道具はいるかい?」


「いらないな。使う必要性もないし」


 ユウは探求者になったつもりではない。

 ただ、ロケットを取り返すためについて行くだけだ。

 そのため、ユウは探求者が欲する魔石を必要としない。

 

「着きましたよぅ!」


 そんなことを話していると、探求者にバックを売る専門店に辿り着いた。

 中に入ると、バックが所狭しと棚に置かれている。

 

 数が数なだけに、どれを選べばいいか迷ってしまう。

 ここは、先輩である探求者方に頼ることにした。

 

「フィー、リリー、ユズハ。悪いがバックを選んでくれないか? 数が多すぎてどれが良いのか分からん。大きさは中くらいで、あとはなんでも良い」


「分かりましたぁ!」


「……了解」


 フィーがはしゃぐように頷き、リリーは敬礼して二人でバックをわいわい騒ぎながら一緒に探し始めた。

 二人は何やら、見た目の事を気にしているようだが、そんなものユウは気にしない。

 使えれば問題はないのだから。

 しかし、ユズハは一緒に探しに行こうとしない。

 

「行かないのか?」


「生憎、僕はバックなら機能とか見た目とかそういうのは気にしないんだ。使えるならなんでもいいし」


 女性らしからぬ発言に、同じことを思っていたユウは驚いた。


「案外、ずぼらなんだな」


 キリッとした見た目とは裏腹の性格にギャップを感じていると、ユズハが首を傾げる。

 

「ずぼらとはなんだい?」


「めんどくさがり、ということだ」


「なるほど。ずぼらか、いいね。次からはずぼらと言うようにしよう」


 きっと、周りからめんどくさがりと言われたりしているんだろうな。

 

 ユズハの発言をユウは予測した。


「周りからめんどくさがりとか言われているのか?」


 失礼と思うが、ユウは考えたことをそのまま口にする。


「良く言われるよ。本音を言えば、外出をするのもめんどくさいんだ。だけど、やらないと自分の身が危険だからね」


 よくもまあ、それで外出しようとする。

 

 そう考えていると、ユズハは続けて喋り出す。

 

「外出する時はいつもエンリが整えてくれるんだ」


 あいつ、頑張ってるんだな。

 

 ユウがエンリの姿を思い浮かべていると、フィーとリリーがバックを選んで持って来た。

 

「これ、どうですぅ?」


「……どう?」


 二人が持って来たのは、ピンク色の中くらいの大きさをしたバックだ。


「チェンジで」


 見た目を気にしないユウでも、流石にピンク色のバックを持って行く勇気はなかった。





 最終的にユウが購入したバックは、地味目な色をした中くらいの物になった。

 次に買いに行った物は、食料と水だ。

 水は革袋に入れればなんとかなり、ワンの家でなら飲める水が確保できるらしいので問題はないという。

 

 逆に、早く準備しすぎると腐るため直前に用意するのが良いらしい。

 次に食料は、肉屋とパン屋で購入した。

 買ったのは干した肉と硬いだけのパンだ。

 この二つが日持ちするようで、探求者が購入するものだという。

 

 そのまま食べるには苦労するため、水でふやかさないといけないらしい。

 そして最後、ゾンビに対抗するために聖水に買いに向かった。

 

 ここまで揃えるのにかなりの時間がかかり、もしギルドからの招集で朝早くでなければ、今頃は昼食を取っていたはずだ。

 今はまだ昼手前で、聖水を買った辺りが丁度良い頃だろう。

 

 なんとしてでも、ワンが先に帰りつくことを防がなければ。

 もし先に帰っていたら、ユウよ。お主の事を思い続けて作った料理じゃ、その食べてくれぬか? なんて恥ずかしがりながら言われるかもしれない。

 

 ……それはいいな。遅く帰ってみようか。

 

「ユウ! 何をしてるんだい? 早く行くよ」


「あ、ああ!」


 ユズハの言葉に、ユウは妄想の世界から現実世界に連れ戻された。

 妄想して遅れていたユウは急ぎ足で追いつく。


「聖水はどういう代物なんだ?」


 ユウは今から買いに行く聖水の知識が全くない。

 あるのはゾンビに効くことぐらいだ。

 

「……聖水は神を崇拝する信徒の祈りが込められた水」


 棒のような口調でリリーは説明してくれる。

 

「神?」


「はいですぅ。信徒の祈りが神に届けられて、祝福を受けたのが聖水なんですよぅ」


 リリーの説明に、フィーがより詳しくが説明する。

 神様という言葉を聞いて、ユウはハハハ、と乾いた笑らいをする。

 

 いきなりファンタジー感が溢れ出したな。

 いや、ゾンビが出て来た時点でファンタジーか。

 

「神様、ね。そういうのがゾンビに効くんだ」


「そうだ。元々、ゾンビは死んだ者を蘇らせた邪な存在。だから聖属性が効くの」


「聖属性?」


 知らぬ単語にユウが首を傾げると、ユズハが説明する。

 

「聖属性というのは適正の一つ。魔法には適正が合って、火、水、風、地、雷、氷、聖、邪、腐などなど。昔のなくなった属性も数えれば色々あるんだ」


「光と闇とは少し違うのか?」


 異能で使える光属性と闇属性が入ってないことに疑問に思い、ユウは尋ねる。


「違いはないよ。ただ、大本である光と闇の属性が枝分かれして、今にいったんだ」


「なるほどね。なら、光属性の適正があれば聖が使えるのか」


 ゾンビに有効な手段である聖属性。

 ユウはその大本である光属性が使えるため、必然的に聖属性を扱えることになる。

 ただし、ユウにはその聖属性のイメージが具体的に分からない。

 

 異能を発動するには、イメージが必要だ。

 そのイメージがなければ異能は発動できず、聖属性なんて宝の持ち腐れだ。

 

 しばらく歩くと、教会が見えてきた。 

 教会は北の小高い丘の上に建っており、階段を登らないといけない。

 それ故に下からでも教会を認識することができた。

 

「でかいな」


 それが教会に対する第一印象だ。

 

「ここら辺はあまり教会と呼べる物があまりないかね。だからここにお祈りを捧げる人が多いんだ」


「お祈り、ね。俺にはそうは見えないけど」


 階段を登る者、降りる者のほとんどが教会に祈りを捧げるような人間には見えない。

 どちらかというと、相手を襲うほうが合っている。

 ほとんどが武器を持ち、筋骨隆々の男が多い。

 

 ユウの言葉を聞いて、ユズハは苦笑を浮かべる。

 

「僕達が報告したあの遺跡がかなり話題になってるらしいからね。それで僕らと同じように聖水を買いに来たんだと思う」


「考えることは同じ、ということか」


 ユウは階段に上り、その後を三人が追う。

 

「頼みがあるんだけど、いいか?」


「何かな?」


「聖水を一つ、買って来てほしい。俺はこの世界の金の単位が知らないからな」


 そう言い、ユウは昨夜にもらった金の詰まった袋をユズハに渡す。

 ユウは聖属性のイメージが湧かない。

 ならば、実物を見て聖属性のイメージを思い浮かべようと考えていた。

  

「分かった。一つだね」


「ああ。俺は待ってるよ」


 階段を登り切ると、下から教会を見上げていた時よりもさらに大きく見えた。

 それは距離的にではなく、雰囲気がそう感じさせる。

 中に入ってみれば、普通の教会のような作りだ。

 

 扉を開ければ真っ直ぐ通れるよう道があり、その両側に背もたれのついた横に長椅子がある。

 正面の奥には女性の姿をした神様の石造があるが、今はそれよりも長い列が印象に残った。

 

 エンリ達と同じ探求者達が、聖水を買いに求めて長く大きな列ができている。

 三人はその列に並び、ユウは椅子に座って待つ。

 その間暇で列の先、聖水を売り買いしている方に目線を向けた。

 

 聖水は小瓶に入ったきらきらとした水で、ゾンビが触れると蒸発するように触れた部分から湯気が生じる

 あんな小さな水でゾンビを倒せることにユウは疑問に思っていると、聖水を売っている人間に驚いた。

 

 そこにいるのは少年少女だ。

 どこにでもいるような少年少女が、聖水を売っていた。

 信徒という言葉に、ユウはどこか修道服を着た大人の女性を思い浮かべていたため、少年少女という事にユウは驚いたのだ。

 

 教会は孤児院のように捨てられた少年少女が集まってるため、今のように働いている

 この時代、働かなければ食事を食べることはできない。

 

 待つこと十数分。三人が戻ってきた。

 両手には二つの紙袋を持っており、計六つの紙袋がある。

 

「……はい」


 と、突然リリーが持っていた紙袋をこちらに渡してきた。

 

「何?」


「……持って。そういうのは男性の役割」


「嫌だけど。俺は聖水使わないと思うし」


 ユウは当然とばかりに答える。

 拒絶され、リリーはムッとした顔になった。

 

「……ワンに言いつける」


「うぐっ! 卑怯だぞ!」


 一番効く言葉に、ユウは苦しむような声を上げる。

 

「……さあ、持って」


 大ダメージだと認識したリリーは、袋を持つ両手をユウに押し出して追撃する。

 

「ぐっ」


 嫌々といった感じで、ユウは受け取る。

 それが間違いだった。

 

「これも持ってくれ」


「す、すみません!」


 便乗するようにユズハとフィーの紙袋も渡された。

 その結果、ユウは六つの紙袋を持つことになって両手だけでは足りず、両腕と顎を使って持つことになる。

 

「お前ら、あとで覚えてろよ」


 恨めしそうに言うユウに、リリーは愉悦に浸かったような顔をする。

 

「……言いつける」


「こいつ!」


 今のユウの顔は妹を人質に取られたような、殴りかかりたいが理性で必死で押しとどめている顔をしていた。

 ユウの弱点を知ったリリーは皆を置いて先に進み、遅れてユウが後を追う。

 

「珍しいね。リリーが楽しそうな姿は」


「そうですね。あんなに楽しそうなリリー、あんまり見ないですもんね」


 ユウを弄るリリーが、二人には楽しそうに見えた。

 現に、先に進むリリーは楽しそうに仄かな笑みを浮かべている。

準備が終え、次は場面変わってギルドに移ります。

そこで現在、何を話しているんでしょうか。

主に、変な人しかいません。(常識人は少数)

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