プロローグ
初めまして、綾部と言います。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
戦闘、ファンタジー、異能力‥‥‥様々な要素を組み込んだ上で、物語を進めていくつもりです。
舞台は日本です。しっかりとした、内容のあるものが読みたいという方にお勧めします。
濃緋色の羽織りを身にまとい、相貌に鋭い光を宿した男は、幾分前には天を貫くようにそびえ立っていた、しかし現在はその原型を留めない陥落した城を見据えていた。
翡翠をはめ込んだような瞳に哀しみの色は見受けられない。口角を多少つり上げようと、通った鼻梁は決して歪になることなどない。ただただ夕刻の空に浮揚する陽に照らされた、琥珀色の髪が鈍く輝いているのみであった。
「宵闇が訪れる」
僅かに開かれた男の薄い唇から、静かに紡がれた言葉が彼方へと流れていく。哀愁、狂気、逸楽‥‥‥ゆっくりと相貌を閉じた男からそれらを感じることは叶わない。
「刻が訪れたか」
抑揚なく再び紡がれた言葉は、やはり先刻と同じように風に乗り、燻る煙の中に消えていった。
刹那、北方からの強風が火煙を掻き乱す。‥‥‥次の瞬間、雲散した煙の中に男の姿はなかった。
ーー真を視る者よ、己の知と技を司れ
男の去った後に残ったものは、朗々とした其の声のみであった。
閲覧ありがとうございます。
大学生活の合間に文を綴っていくつもりなので、更新は早くて週に一度、又は月に一度くらいになると思います。次回からは長くなります。
宜しくお願い致します。
※後に女性陣も出ます