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ミクの故郷 神殿6

だいぶ日が開いてしまいましたね……


気ままな旅をしていますがお付き合い頂けたら幸いです。

 翌朝。



 気持ちのいい朝陽を浴びながら目を覚ますと、

隣で寝ていたはずのミクが一緒の布団の中にいる。


 何となく途中からあったかい気がしてたから、

こうなってるんじゃないかなーって思ってた。慣れって怖い!



 起こさないようにそっと抜け出そうとしたけど、

俺が動いたことでミクも目が覚めたようだ。


「……あれ?おはようございます?」


「おはよ。ミク、間違えて俺の布団に入ってたぞ」


「えっと、間違えてないです。1人だと寂しくてつい」


 はだけた浴衣を布団の中に入れてもぞもぞと動いている。

上半身だけ起こしてた俺はそっと抜け出した。


 あまりそういうのを覗き見るのも気が引けるし。

目を覚ますためにもさっさと顔洗って来ちゃうか。



 隣の布団で寝てたはずなのに、わざとじゃなくて自分から俺の布団に入ってきたのか……最近のミクさんは積極的だなぁ。




 目が覚めると逆に抱き着いてきていたミクの感触を思い出して危なかったので、食堂で朝食を作って発散させていたらいつの間にかまた行列が出来てた。


 いっそ丁度いいからここでもやっとしたもの吹き飛ばしてくれるわ!



 朝からオムライス限定でせっせと頑張るカヤ。

手伝うミクの好感度が勝手に上がっているのを知らない。


 食器を下げる時の女性獣民の”ごちそうさま”が

やけに深い事もまた気付けていなかった。




「やっと落ち着いた……じゃあ俺達も食べようか」


「はいっ!いただきます」


 今日も調理番を買って出たカヤ達。


 食事が終わった獣民達は修行や授業、奉仕といったそれぞれの義務を果たすために行動を開始している。なので、現在の食堂は静かなものだ。


 こそこそとこっちを見てる住民もいるけど!

顔を向けると見てないふりするし。


 もういっそ周りにいないと思って朝食を済ませて、

神殿長の所へ挨拶へ行く。泊めてもらったお礼と出発のためだ。





「そうですか。ではこの後ミクさんの実家に向かわれるのですね?」


「はい、その予定です」


「まずは馬車ターミナルへ行ってからですね!」


 頷いた神官長が、引き出しから何かを取り出した。

掌より少し長い長方形の、お札のような紙だった。


「では、こちらを持って行きなさい。ミクさんが傍にいれば何もないとは思いますが、危ないと感じたらこれに助力を求めると良いですよ」


「わぁ……精霊の祝詞札ですね!よろしいのですか?」


 普通精霊の力を借りる時は祝詞を読み上げて呼ぶが、

この札は祝詞を省略して呼びかける事が出来るそうだ。


「それはなんだか凄そうな札ですね……」


「凄いんですよ!この神殿内では神殿長のみがお作りになられるのです!

ワタシも作れないのですよ」


「ミクさんはそもそも祝詞が無くても精霊と言葉を交わせるでしょう?」


「えっと、その……でも、それは私にか効果がないので、

誰にでも効果を発揮出来るお札は凄いと思います!」


 要するにどちらも凄いってことか。

自衛の手段を頂けるだなんてありがたい事だな。


「神殿長、お気遣い有り難う御座います。

でしたら、何か俺に出来ることはありますか?」


「いいえ、すでにカヤさんから頂いていますよ」


 え?俺何かあげたっけ?まったく記憶にないんだが……


「マヨネーズとオムライスという素晴らしい料理を!」


 結局食べる事なんだな、この神官長!


「すでに食堂の職員に手ほどきをして頂いたそうで、

その者たちからもお礼の言葉を頂いたのではないですか?」


 ああ、今朝も言われてたっけ。

普段なら乱雑に注文する神官長が大人しくなったって。


「あー、そうですね……

皆さんももう作れるようになっていたのでこちらも嬉しいですね」


「あらっ!じゃあ今日のお昼も楽しみねぇ」




 それから少し雑談をした後、昼で混雑する前に出発なさいとの言葉を頂いて、神殿長への挨拶を〆させてもらい馬車停留所へ向かった。


 目立たないようにと兎族の神官さんだけが見送りに来てくれて、

俺達は定期馬車に乗ってビャクイ神殿を出発した。


「ダルマのターミナルでちょうどいい馬車があると、

今日の夜には山の麓まで行けるんですけど……」


「まぁそれは運次第ってことでいいんじゃない?

急ぎの用って訳じゃないんだしさ」


「そう……ですね!今は2人きりの旅を楽しみましょう!」


 えへへと満面の笑みを浮かべて夏哉に寄り添うミク。

それに慣れつつある夏哉は、軽くミクの頭を撫でる。




 この馬車には他にも乗客はいたが、人型は格が上というこの世界の常識の中でこの2人に”いちゃつくならよそでやれ!”と文句を言える強者はいなかった。リア獣空間を恨めしそうにチラ見……いや、見たくもないのに見せられていた。



 この乗客たちはただ一様に、


”早く馬車ターミナルへ着いてくれ!”


 と願うばかりだったという。



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