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ミクの故郷 神殿5

 カシャカシャカシャ……


「次のマヨネーズはすぐ出来る!?注文溜まって来てるよ!」


「もうちょっとでボウル2つが先に出来るよ!」


「卵も無くなりそうだから、誰か鳥族に言って追加を!」




 厨房では神殿の職員が総出でマヨネーズと、

それを使った料理を作る姿が溢れかえっていた。


 夏哉もその1人だ。



 いや、正確にはその原因を作った本人だ。


 事の始まりは数時間前。




「へぇ〜色んな食材あるんだな。これも全部獲物から?」


「肉類はすべてそうですね。

野菜は畑か山で、調味料はそれらを作る獣民が店に卸してくれてますよ」


 厨房の一部を借りて料理を始めようとした夏哉に、

ミクが色々と道具や食材の説明をしていた。



「あれ?卵ってないのか」


「あ、この世界での卵は特殊なんです。鳥族の産んだ無精卵を預かり一度神殿で祈りを捧げ、それから初めて食材として扱われ流通するんですよ。手間がかかるから鳥族か神殿中心でしか流行ってないんですよね〜」


 美味しいのにもったいないですね、とミクが語ってくれた。


「そりゃ確かにもったいないな。

逆にそう言われると使いたくなるよね!」


 

 じゃあ……まずはダシ巻き卵からだ!


 厨房にあっただし汁を使ってゆっくり焼いて、

少しずつ大きくしていった。よし。


「カヤさん、これおいしーです!」


 ミクに褒められて気を良くした俺は次を作る。


「これが茶碗蒸し、後で食べるクッキーはまだ焼いてない。

ああそうだ、かき混ぜるの大変だったけどマヨネーズもあるぞ」


 野菜スティックとゆで卵、茹でたものと油で揚げた2種類のじゃがいもを、

厨房にあったケチャップとマヨネーズを添えたもの。


 これだとおつまみみたいだけど、まぁいっか。

卵使う事ばかり考えててメインまだだったわ。


 ミクと俺達を遠巻きに気にしていた獣民も呼んで、

ここで突発の試食会が始まった。



 俺はファミレスでバイトしてた時にたまにキッチンヘルプしてたし、

何より家で食事が作れるようにと子供の頃に姉と2人で頑張って覚えたんだよなぁ。


 なんてボーっと考えながらチキンライスを作った。

勿論チキンは獲物からのドロップ食材を使って。


 皿に盛られたそれへ少しとろっとしたオムレツを乗せて、

中心にナイフを一閃して開けば出来上がり。


「じゃあ次はこのオムライスね」


 この卵の焼き方もかなり失敗したなぁ。

姉と2人で失敗作を食べて、母親に成功したのあげたら喜んでたっけ。



 まだいくつかのオムライスを作っていると、

オムレツを切り開く度に歓声があがるようになった。


 そして歓声を聞いた他の獣民も何事かと寄って来て、

試食会が徐々に拡大していったわけで。




「カヤ様、申し訳ありません!

もうすぐ、もうすぐ応援が駆けつけますので!」


「いや、もうこうなったらとことん作らせて!

なんか楽しくなってきたから大丈夫!」


 申し訳なさそうに卵料理を手伝う職員が叫ぶが、俺としてもファミレスのバイト気分で楽しんでるから、さっき言ったのは本心なんだよな。


「カヤさん、次もオムライス追加です!」


「はいよ!」


 ミクもウェイトレスとして頑張っていた。


 初めはミクの給仕姿に驚いて交代を申し出る獣民が殺到したけど、

ミクも俺と一緒で楽しくなってきたからと言って断っている。


 周りではマヨネーズをかけた生野菜をがっつく馬族や、揚げたての

ポテトフライをじっくり味わっている猪族、ダシ巻き卵を食べて

尻尾が踊っている猫族など、様々な種族の獣民が喜んでくれてる

ようだ。



 そんな様子を見ながら卵を焼き続けていると、


「本当はカヤさんとミクさんの歓迎会の準備をするはずでしたのに、

どうしてこうなっているのでしょう?」


 首を傾げる神殿長。


 いや、あなたそう言いつつオムライス2杯目ですよね?

しかもまだ食べるつもりですよね?




 結局、数人が半熟オムレツの焼き方を覚えた後に解放され、冷蔵庫で生地を休ませてたクッキーを焼いたらそっちも教える事になった。今まで卵なしで作っていたから、俺が作ったクッキーは美味しいから驚いたって言われちゃ嬉しいに決まってる!


 次はクッキーを教えて、さすがに今日はここまで。

明日の朝にパンケーキ作るって言ったらそれも教えることに。




「いやぁ、凄かったなぁ」


「大盛況でしたね!カヤさんならこちらでお店を開いたら、

きっとすごい人気店になりますよ!」


 まだ騒がしい食堂では落ち着いてご飯食べられず、

特別に宿泊部屋まで運んでミクと2人で食べていた。



 オムライスとサラダの晩ご飯を済ませて、

食後はクッキーとお茶をつまんで雑談してた。


「明日はまた厨房でお教えするんでしたよね?

じゃあ今日はお風呂に行って早めに休みましょう!」


「ここも風呂あるんだ?」


「はい!神殿関係者以外にも解放されている、

大浴場が作られているんですよ!」


 トーキョの宿の風呂も結構広かったけど、

それよりこっちの方が大きいのか。そりゃ楽しみだ。


「部屋風呂だったらカヤさんのお背中を流せたのに……

残念です。次は部屋風呂のある宿に泊まりましょうね!」


 おおぅ……ミクさん、ちょっと積極的過ぎじゃない?

でもエロい雰囲気はまったくないから、ただ流したいだけ?



 どちらにしても俺の方が危ういから、

それは避けた方が無難な気がする……




 とにかく風呂に行ってさっぱりしよう!

よく働いた後の風呂は気持ちいだろうなぁ。



もう1つの作品の方に時間を使いまくっているのでこちらの更新は遅れていますが、週1ペースで更新できるよう頑張ってみます!


そんな拙作を楽しんで頂けたら幸いです。

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