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ミクの故郷 神殿4

「そろそろ大丈夫かな?」


「はい。静かになってきたみたいです」


 耳をぴくぴく動かして答えるミク。


「じゃあちょっと宿泊場所に案内してもらって、

こっちに泊まるの決まったんだし荷物置いてきちゃおうよ」


「あっ!そうでしたね、ワタシの荷物もカヤさんに持たせてましたね。

すみません気付かなくて!」


 ぱぁっと光って素早く獣人へと姿を変えたミクが、

自身の荷物を俺から取っていく。


 いや、ちょっと一休みしたかっただけで、

別に重くなかったからいいんだけどね。



 まだ講堂にいた職員に声を掛けて宿泊場所を聞き、

そっと抜け出してミクの案内で宿舎へ行く。


「えっと、ワタシと隣同士の部屋を用意して頂いたようです」


「そっか。じゃあお互いちょっと部屋で休もうか。

まだ晩飯考えるにも早いから1〜2時間くらいでいい?」


「その……」


 なんか変な事言ったかな?

ミクがすごく言いにくそうにしてる。


「ここはベッドではなく素足で過ごす部屋ですので、

寝具はお布団なんです」


「へー、日本みたいな布団の風習あったんだ」


「ですので、カヤさんのご迷惑でなかったら……

お布団をそちらに移して一緒の部屋がいいです!」


 勢いで言い切ったミク。

そうきたかぁと、どう答えようか悩むカヤ。


 そしてここはまだ宿舎の廊下。

まばらではあるが修行者や職員も、いる。


 勿論遠巻きにこちらの様子を窺って、

さりげなーくそばを行ったり来たりしていたが、



「「「きゃー!」」」



 突如上がる黄色い声にびっくりして振り向くと、

そこには女性獣民がこっちを見て興奮していた。



今のを聞かれてたのか!?


 どう考えてもまたからかわれるネタを提供したぞこれ!



「ミク、とりあえず部屋で話そう。ここじゃ体裁が悪すぎる!」


「あ、はい!」


 ミクの手を引いて部屋の中へ避難するカヤ。



 しかし、外野視点ではどうみても

”女のお願いに答えて部屋へ連れ込んだ男”にしか見えない。


「みっミク様はあの方と……」


「手を引かれたミク様のお顔、まるで発情期の……」


「きゃー!さすがに、神聖なる学び舎の横でそれは」


「繁栄はアポロニア様の教えでもありますわ!

ここは月光神派ですが、世界で見れば関係ありませんわ!」



 ひそひそと、しかし騒がしく会話が飛ぶ。

そんなネタを提供した事など、2人はまったく知らないわけで。




 部屋での話し合いは、結局カヤが折れた。

傍から見れば誰もがそうなるだろうと予想されていた。


その証拠に、


「ミク様、お布団はこちらの部屋に運び入れしてよろしいですか?」


「えっ?あれ?ありがとうございます?」


 ミクが部屋を出た時、廊下では2人の職員が待っていた。



 もう、何か言う前にはもう1組布団を運びこまれていた。

仕事早いですね、びっくりですよ……




「この食堂では皆さん食べる時間が異なるので、

いつでも自由に作って食べて構わないのです」


 聞けば、種族ごとに食事時間や回数、更には食べる物も異なるので、態々個別に作るのは無理があるそうだ。そこで、料理をするのも己の修行とし、食材や器具は自由に解放され、自身で調理から片付けまで済ませるルールらしい。



「まぁ、そりゃそうか」


 見渡せば何種族いるかも分からない状態。


 しかも2足歩行で調理するものから、ただ草だか野菜だか分からない物をそのまま食べる獣民だっている。それぞれに合わせるなんてやってたら回らないよな、これ。


 うん、納得した。



「それなら俺が作ってもいいかな?

こっちの食材で同じ物が作れるか試してみたいんだ」


「それでしたら、ワタシもお手伝いしてよろしいですか?」


「ん。手伝ってもらえるならありがたいな」


「じゃあエプロン用意しますね!」


 言うが早いか、ミクはぱたぱたと厨房横に走って行く。



「あっちは更衣室なのですかね?」


 取り残されて時間を余した俺は、

まだ横にいた職員の獣民さん達に話しかけた。


 ちなみに、黒猫と茶犬の2頭だ。仲がいい……らしい。


「はい。と言ってもエプロンのような毛並みを汚さないための

服があるだけですので、男女兼用です」


「ヒバリ様、我々もミク様同様敬語はいりませんので、

どうぞ普段通りでお願い致します」


 2人とも俺に敬語なのに、俺だけ溜め口って……

もう少しここに馴染んだらって事で勘弁してもらった。




「はい、カヤさんもこちらをどうぞ!」


 肩に少し飾りのついたオレンジのエプロンを渡される。

ミクとお揃いだ。なぜシンプルなやつじゃないんだ!


 ほら!やっぱり2頭の視線が生温かい!

なんだかミクが天然なんだか狙ってやってるのかわからんぞ?


「えへへ〜おそろいですね〜」


 気付けば俺にエプロンを着させ始めたミク。

くっ!そんな楽しそうな顔されたら断りづらい……




 うん、ここでも流された。


 俺、どんどん意思が弱くなってる気がするんだが。




 まぁいいや。


 とにかくこっちの食材がどんなのあるかね?

出来上がったのしか見た事ないし、確認して献立決めよう。




 そっちに思考を向けてないとやってられん!



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