ミクの故郷 神殿1
宿に着いてからは大変だった……
ミクはあのロリボディで飲酒出来る年齢らしい。
もっともこの世界では15歳から解禁らしいが。
ちょっとだけ、と夕飯で飲んだミクが更に甘えてくるようになり、風呂に入ると言って服を脱ぎ出したが、慌てて浴衣を投げて着させた。もちろん酔った状態で風呂は危ないから我慢してもらったのだが……
都会のように寝室が別々のツインルームなんてものはなく、
勝手に布団を敷いて寝る民宿スタイルだった。
ちょっと離して布団を敷いたら、ミクが寄せてくる。
そして「もう動かない!」とばかりに布団と布団の間に寝転がる。
このまま寝てくれるかなー?と、
そっと備え付けの眺めのいい風呂にのんびり浸かっていた。
「ふう、いい風呂だなぁ」
半露天風呂から眺める川の音を聞いていると、
長時間の馬車乗りの疲れが癒されていく。
そんな風呂場に……
「お背中流しますよぉ〜」
「うわー!?」
タオル1枚で乱入してきたミクが、
「うへへ〜……う、うっぷ。うぐぉ」
「うわーー!?」
そのまま蹲ってリ、バースした……癒し空間台無しだ!
場所が風呂場だったから、ブツはそのままお湯で流した。
ミクは顔を洗って水を飲ませてそのまま布団に入れた。
酔っ払い、たち悪いね。よーく分かった!
「夕べは大変失礼しました……」
翌朝、ミクに起こされて目を開けたら、
横で土下座の姿が目に入った。
「あれだ。酒はほどほどにね?それでこの話は終わり!
ほら、今日はミクの母校……じゃなかった神殿行くんでしょ?」
「はい。すぐに朝食を用意出来ます。着替えてお待ち下さい」
よく見ると、ミクは自分の布団は片付けて着替えも終わっていた。
でもまだ元気はない。うーん……
「ミク、遅くなったけどおはよう。
今日も一緒に楽しい旅にしようね?」
起き上がって、まだ正座していたミクの傍に座って
頭を撫でてから目線を合わせた。
「……はい。カヤさん、おはようございます!
今日も案内は任せてください!」
ちょっとずるいかもだけど、撫でて機嫌が直るならいいよね!
朝は豚肉のしょうが焼きと豆腐の味噌汁とご飯。
和食っていいよね。で、ずっと思ってた疑問があるんだが。
「なぁ、ミク」
「なんですか?カヤさん」
今日も仲良く手を繋ぎ、神殿のある小山の道を歩いていた。
この山の頂上に神殿があって、歩いても30分程度らしい。
せっかく天気もいい事だし、ミクの機嫌も直ったから、馬車を使わず歩いて登っていた。
「前から疑問だったんだけど、この世界の食材ってアポロニア様が創った獲物を倒すと手に入る事があるんだよね?」
「はい、そうです。ただ与えられるだけでは個々の成長は望めないからと、そして様々な食材を目指して欲しいと、アポロニア様が獲物を世界各地へと散布されました」
「うん。それで地球にもあった色んな物をここでも食べられる、それは分かるんだけど……
例えば、今朝の豚肉のしょうが焼きあったじゃん?あれ、豚種の獣人達には大丈夫なの?あと、禁忌って言ってたケモノを食べる行為に手を出す奴が出てもおかしくないんじゃないか?」
「あー……カヤさんには分かりづらいかも知れませんが、獲物が落とすブタニクやギュウニクなどは、獣民のそれとはまったく別物なんです。
えっと、正確には、獣民には別物と認識されるようになっているんです。この世界に生まれた者には、同じ豚や牛でもまったく一致出来ないんです」
「へぇ。その辺はアルテミア様が調整頑張ったんじゃない?」
ミクは苦笑いを返した。やっぱりそうか。
「この辺りの獲物からはジョーシューブタやジョーシューギュウのお肉が獲れる事がありますね。後で狩りに行ってみますか?」
「いやいいよ。
ほら、俺って戦う力ないって女神様からのお墨付きだから」
「そうですかー。狩りならワタシ1人でも大丈夫ですよ?」
「ほら、今はミクに案内してもらう旅だぞ?
今はそれを楽しむ方がいいや」
戦えないって言われてるのに危険に近づく必要ないよなぁ。
なんて軽い気持ちで答えたんだが、
「そ、そうでしたね!
今回はワタシの家族にカヤさんを紹介するために来たんですもんね!」
急にミクの鼻息が荒くなった。
比喩じゃなくてほんとにフーフー言ってるんだけど!?
話題転換にここの特産品を聞いてごまかした。
肉と言えばジョーシューボタンっていうのもあるらしい。
名前からすると猪か?確か日本で牡丹肉って言われてたはず。
これはミクの故郷近くでよく獲れるらしいから、
行ったら食べられると聞いてちょっと楽しみが出来たな。
のんびり景色を眺めながら歩いたら1時間かかったが、
何事も無く昼前にはビャクイ神殿に着いた。
そこからは、勝手知ったるミクさん無双。
下位眷属というネームバリューの凄さを実は初めて見た。
関係者口から入ったと思ったら、職員や参拝者、
後輩らしき巫女服の獣民女性達に、あっという間に囲まれてしまった……
「おお、ミクって凄い人気あるだなぁ」
もみくちゃにされそうな勢いで囲まれたミクを、
俺はベンチで水を飲みながらまったりと眺めていた。
助けてー!と聞こえた気がするが、俺には無理です。
リアル鳥獣戯画に突っ込む勇気、ないです。
頑張れ!ここで休みながら応援してるぞ!




