ラストバトル
「ようこそ。この遺跡の最深部であるこの場所へ……」
「鉄………なんでお前は………」
俺の拳には無意識のうちに力が入っていた。
「それは君が知らなくていいことなんだよ。でも、それを知ることだって出来るよ……」
鉄は大剣を俺の前に投げ棄てた。
「君が僕に買ったら教えてあげよう……」
そう言って鉄は剣を2本、二刀流であったのである……しかも構えは俺と同じなのである。
俺は大剣を拾い上げ、新風丸を左手に、大剣を右手に持った。
「…………」
静寂と緊迫のなか最後の戦いが始まった。
二人の実力は互角だった。しかも二人とも同じ戦いのスタイルで同じ形状の武器を使い、同じ間合いで戦っているのだ。
「………」
しかしお互いの会話もなく、ただ金属音が鳴り響くだけであった。
二人は時間の動かない世界でただ2本の剣を振り続けているだけだ。
しかし、ここで転機が訪れた。二人は緊迫のなかギリギリで戦っていたため大量の汗をかいていた。それが水溜まりのようになっていたのだ。そしてそれに足をとられた鉄は一瞬の隙を作った。
「……ッ!たぁぁぁッ!」
高斗は大剣を光の早さで振り抜いた。鉄はギリギリで避けたように見えたが、フードにかすっていたため彼の素顔が見えた。
「………やはりそうか………でもここまでとは…」
高斗の目の前に見えるもの。それはまさしく自分なのである。
「鉄……君は………━━━━」
「さあな………俺は自分の意思のためにこの場にいる。だから負けるわけにはいかないんだ」
知らないうちに手足が動かなくなっていた。
「君があるのは僕が与えた力があるからだ……だから返してもう……吸収」
高斗は自分の聖霊の力が亡くなっていく感覚がした。
「……ここからは君が見るものすべてが……」
━━━地獄だよ……
高斗は力を使いきったようにその場に倒れてしまった。