私に勝つのは無理でしょう………
扉の先に進んだ俺を待っていたのは、ネロだった。
「待っていました、神風高斗……」
「その姿から、俺は死神と呼べばいいのか?」
「覚えていたなんて、さすがです」
「しかし、ここはどこだ?」
「誰かの記憶の中。というのが正しいでしょう」
「そのしゃべり方………変だよな……」
「チッ………せっかく案内人ぶってたのによ……まぁいいや。そしてお前は私を含めた三人と戦う。シンプルだろ……」
「その先が誰も知らない未来とか言うやつか……」
「そろそろ喋るのも疲れたし、始めようか」
「………決着をつけようじゃないか」
「いいぜ………でも、私に勝つのは無理でしょう……」
死神は言葉と同時に魔法弾を撃ってきた。俺はそれをすべてかわす。
「避けることは上手いねぇ~。だったら!」
今度は鎌を持って接近戦を仕掛けてきた。俺はそれもかわす。
「………すごいねぇ~……その魂をどうしても刈りたくなってきたねぇッ!」
先程とはスピードがケタ違いにはねあがっていた。そのスピードは瑛太とほぼ同じ。いや、それ以上だ。
「さすがに避けるのは無理か……仕方ない!」
今度は魔法障壁を作り攻撃を凌いだ。
「守ってばかりじゃ私は倒せない!」
しかし、死神の攻撃は魔法障壁を破壊するほどとてつもなかった。
「そうだね………やっぱりギリギリの戦いはとても熱くなるよッ!」
俺は新風丸を使って攻撃に出た。しかしそれは鎌によってすべて防がれてしまった。
「やけに慎重だね………そんなに警戒しているのかい?」
俺は無意識に警戒していたのだ。漆黒魔女を……
いや、それだけじゃない。やつにだってあるはずなんだ……
「ああそうだ………俺は奴の力を恐れている」
「いい挑発だねぇ~……その挑発にのってあげるよ………」
「来るか………」
彼女は姿を変えていった。変わったのは姿だけではない。彼女から伝わる力は明らかに俺以上だった。
「チッ………フルパワーならやってもいいのだが………仕方ない」
俺は新風丸を戻して、あるものを取り出した。
「力を貸してもらうよ………晴哉……」
取り出したのは晴哉の零刀であった。
「君との戦いは必ずその零刀が関わってくる……偶然なのかな……」
「……知らないね……だけど君はやっぱり面白い……可愛がってあげよう……」
地面から大量の茨が出てきた。それは俺を捕まえようとどこまでも伸びてくる。
「火炎弾!」
こちらも魔法で応戦するものの、魔力はあちらが上であった。しかし、俺はその茨を斬りながら、少しずつ死神に近づくのであった。
「はぁぁぁッ!」
あと少しで死神に零刀が当たりそうだった。しかし、茨が俺のお腹を貫いた。
「……ぐほぉ……死んで……たまるか……」
俺は茨を斬り着地しようとしたが、すぐに次々と茨が俺の身体を貫いていく。
「捕まえた~」
そして死神は鎌を持って瀕死の俺に向かってくるのであった。