兄弟
━━━どうして………
ふと俺は疑問に思う。
━━━なんで………
その疑問が晴れることはない。
━━━だったら………
俺はその日から決意した。
「俺は……Gameoverでいいんだ!」
瑛太は右手を高くつきあげていい放った。
「弟よ。ここまでは互角、よく強くなったと思うよ……だけど聖霊の力はどっちが上だろうね……」
瑛太は昔のことを不意に思い出していた。
それはこのゲームの始まってまもなく………
「鉄!いったいなんの真似だ!」
「何って、聖霊の力をすべての人間に与えただけだ」
「その力は並大抵の人間が扱えるものではない!それにこのゲームのバランスを崩してしまう」
「大丈夫だよ………滅多にそれが発動することなんてないからさ」
そう。俺や弟などが使う化身の能力はすべて鉄が発明したもの。そして彼によって与えられたもの。しかし、化身などと言うのはたてまえで実際のところ自分の隠れた潜在能力の解放を具現化しているだけである。
━━━そんなことはわかっている………
━━━もうお遊びはおしまいだ………
二人は互いの力を解放しあった。闇の力を従える高斗。光の力を従える瑛太。互いの力は互角であった。
「今度はこちらからいかせてもらう」
「来い!兄さん」
瑛太のスピードは獣と一体化していた澪野を超えていた。そして高斗の顔に強力なストレートを喰らわせた。高斗は後ろにのけぞるも、左フックで瑛太のわき腹に同じく強力な一撃を与えた。瑛太の顔は思わず苦痛の顔になるものの、すぐに気合いだけで高斗を吹き飛ばした。
「今のは………効いたぜぇ………」
ポタポタと高斗の鼻からは血が出ていた。その血を腕でこすってから高斗は言った。
「それは………どうも……」
「だけどな………俺の勝ちだぁッ!」
瑛太は高斗の後ろに回り込んでいた。高斗は避けることは出来ず、重い一発を喰らった。後ろを振り向いた時には瑛太の姿は消えていた。
「くっ……どこだ!」
「遅いッ!」
今度は正面からふところに潜り込まれてまたもや重い一発を喰らった。さすがの高斗でもかなり効いているようだった。
「見えない………何故見えない……」
その後も高斗はわからぬまま何度も瑛太から攻撃を喰らってしまっていた。
「まだやるか………さすがと言ったところだが………これでおしまいだよ」
そうだ………これですべてが終わる。そして俺の役目もおしまいだ………
━━━━お前の思い通りなんかにはさせない……
━━━━さよなら………高斗………
瑛太は正面から高斗の心臓を槍で突き抜いたのであった………