想いが交差する先に……
俺と晴哉は先程まで自分の回りで得た情報を交換していた。この二人は手を組み合うことにしたのだ。
「澪野がか………僕には信じ難い話ですが、うだうだしてる場合ではありませんね……」
「気になったから関係ないことを聞くのだが、どうしてタメと敬語の両方を使うんだ?」
「心の余裕があるから………ですかね……」
「まあいいか……話を戻すが、俺たち二人でも澪野と互角に戦えるかは正直分からない…」
二人は険しいかおで話を続ける。
「そしてもうひとつだ……鉄の存在だ」
「確かに、彼ほど厄介な存在はいないですよね……」
それきり、会話は止まってしまった。
そしてある程度時間が経ったとき、ようやく澪野が姿を見せた。
「お前一人か………」
晴哉は澪野に言いながら零刀に手をかけた。
「もちろんだよ……私は自分の仲間は殺したくない……………と言っても信じてはもらえないだろうが…」
澪野はやけに落ち着いていた。冷静なのか、はたまた演技なのか、しかしそれを知る術は二人ともなかった。
「……………」
澪野はゆっくりと戦闘態勢になった。
「私は絶対に負けない!ここで終わらせる!」
そして、目にも止まらぬ速さで高斗に攻撃を仕掛けた。高斗は大剣を素早く取り出し、たちまち攻撃を防いだ。
「何かがおかしい………相手が澪野ではない気がする……気を付けろ!」
そう言うと、今度は高斗から前に出た。大剣を澪野目掛けて投げたあとに、新風丸を取り出した。そしてふりおろすのであった。澪野は大剣を破壊し、新風丸の攻撃を無駄なくかわした。
「見えなかった………なんでだ………さっきまではあんなに体が軽かったのに………今はとてつもなく重い………」
晴哉は自分の身体の異変にようやく気がついた。
「………やっとドーピングがきれて反動の時間がきたわね………晴哉、もう君の声は聞くことがないだろう………」
澪野はそう言うと、晴哉に向かって獣走りをした。
「させるか~!」
高斗は澪野を止めに入ったが、速さで負けて追いつけなかった。
「君の武器で君を殺してあげよう」
澪野は落ちていた零刀を拾った。そして、
「………サヨナラ………」
晴哉の体に突き刺さった。そして、
━━━━彼は呼吸をすることを止めたのであった………
それから少し、静寂が続いた。
「………………ハハハ………ハハハ……」
高斗には澪野が笑っているように見えた。それが高斗にはとても怖かった。だから動けなかった。
「………私はもう終わりにしたいんだ………だから………」
澪野にそう言われた高斗は表情を変えて言った。
「でも僕は………進むしかないんだ………だから………君を僕は超える!」
それは…………
━━━━決別を意味し……………
━━━━想いが皆を動かすのであった……